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HDR-HC3

HDR-HC3

2006年03月28日 04時36分更新

文● 伊藤 裕也

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CMOSの弱点を克服!

 HDR-HC3のもうひとつのセールスポイントが、新しいイメージセンサー“クリアビッドCMOSセンサー”の採用である。ソニーが開発したこのクリアビッドCMOSセンサーは、緑色成分を増やした独自の画素配列を45°回転させた状態で配置することにより、高感度化とワイドダイナミックレンジを実現するというもの。センサーの総画素とサイズは210万画素、1/3インチで、HDR-HC3の最低被写体照度は11ルクスとなっている。一般にCMOSセンサーは暗い場所での撮影に弱いとされるが、この値はイメージセンサーにCCDを採用する一般的なカムコーダーと同等のスペック。前機種(HDR-HC1)の最低被写体照度は15ルクスで、暗所での撮影を苦手としていたことを考えれば、大きな進歩といえよう。

 ところで、HDR-HC1では総画素297万画素の1/3インチCMOSセンサーを採用していたことから「これって解像度はどうなの?」と思う人も中にはいるかもしれないが、この点については心配無用だ。先にクリアビッドCMOSセンサーでは画素配列を45°回転させていると記したが、これによって画素が1列ごとに半画素ずつずれて存在することになり、結果として隣接する画素同士の間隔は狭まる。映像撮影時の有効画素数はスクリーンサイズが16:9の場合には143万画素、4:3では108万画素で、静止画撮影時には補間処理により最大400万画素相当での記録が可能だ。



カメラコントロールダイヤルで
マニュアルコントロールに対応

 HDR-HC3は1080i対応のHDカムコーダーではあるが、普及モデルとあってその撮影機能は一般のSDビデオ対応カムコーダーとほぼ同じ水準である。例えば、レンズは光学ズーム倍率が最大10倍(※1)のズームレンズで、手ぶれ補正は電子式といった具合だ。基本的にはすべておまかせのフルオートで撮影するカムコーダーである。

※1 35mm換算で、テープ利用時はf=41.3~485mm(16:9)、50.5~594mm(4:3時)。メモリー利用時はf=40.4~404mm(16:9)、37~370mm(4:3)。

 搭載するAEモードは、スポットライト/ソフトポートレート/ビーチ&スキー/サンセット&ムーン/風景の5つ。動きの激しい映像をブレなく撮影するシャッタースピード優先モードがないことを気にされる方もいるかもしれないが、このシャッタースピードに関していうとHDR-HC3ではスペック上1/500秒までしかサポートできない。HDR-HC3は動きの速い映像をブレなく撮影するような用途には向かないことを付け加えておく。

ボディー側面のレンズ部付近には、フォーカスや明るさなどの設定をダイヤル操作により行えるカメラコントロールダイヤルがレイアウトされている。設定する項目の指定・変更はダイヤル横のボタンを押すことで実行可能だ。なお、液晶パネルはDCR-DVD505でも採用されたクリアフォト液晶プラスを搭載。ただし、サイズは2.7インチワイドである。

 なお、基本的にはオートで――と触れたが、HDR-HC3では3CMOSのDVカムコーダー「DCR-PC1000」で採用されていた“カメラコントロールダイヤル”を搭載し、一部の設定についてはダイヤルから直感的にコントロールできるようになっている。カメラコントロールダイヤルに割り当てることのできる機能は、フォーカス/明るさ/AEシフト/ホワイトバランスシフトの4機能。特にフォーカスはタッチパネルでの操作では非常に難しいだけに、このダイヤルの搭載は大きな魅力である。ちなみにHDR-HC1では、レンズのある部分にマニュアルズーム・フォーカスリングを搭載していた。マニュアルフォーカスの扱いやすさに関していえばHDR-HC1のリングが優れているようにも感じるが、HDR-HC3のサイズを考えたらカメラコントロールダイヤルは妥当な選択といえよう。

 撮影を支援する機能としては、明るすぎて白とびしてしまう部分を視覚化する“ゼブラ”、明暗の差の分布を視覚化する“ヒストグラム”なども搭載している。このゼブラとヒストグラムはいずれも、同社が発売するSD対応カムコーダーの普及モデルでは採用されていない。HDR-HC3はHDVカムコーダーの普及モデルという位置づけだが、このような絵作りをサポートするための支援機能に関してはSDとHDの間で明確な差別化が図られているのである。



メニューはソニーのカムコーダでおなじみのタッチパネル方式。初めての人でも、そう迷うことはないだろう。液晶パネル右下にあるグラフがヒストグラム。この山を見ることにより記録している映像が適正かどうかを一目で把握できる。大変便利な機能だ。ちなみに液晶パネルに縦横2本ずつ走る白線は撮影時に被写体をしっかり捕らえられるよう補助するガイド。これもソニーの普及モデルでは、HDR-HC3のみがサポートしている。

 このほか変わった機能としては、映像撮影中に230万画素の静止画を同時に撮影できる“デュアル撮影”機能が挙げられる。1回の映像撮影中に記録できる静止画は3枚までだが、撮影する映像とまったく同じシーンを静止画で記録できるのはなかなか面白い試みだ。静止画の保存先はメモリースティック デュオ/メモリースティック PRO デュオで、デュアル撮影機能での最大記録サイズは2016×1134ドット。ちなみに、通常の静止画撮影での最大記録サイズは16:9撮影時で2304×1296ドット、4:3撮影時では2304×1728ドットだ。静止画撮影時のファイルフォーマットは、いずれもJPEG形式である。

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