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温度センサー付き無線ICタグで“生酒”をおいしく届ける!――NTTデータらが流通実証実験を実施

2006年03月09日 19時54分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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(株)エヌ・ティ・ティ・データ(NTTデータ)、トッパン・フォームズ(株)、(株)日本アクセス、日野自動車(株)の4社は9日、東京・大手町のアーバンネット大手町ビル内NTTコーポレートニューズルームにプレス関係者を集め、温度センサー付き無線ICタグを使って適正な温度管理が必要な“生酒(なまざけ)”を正しい温度帯で流通させ、店頭に並ぶまでを監視・検証するという流通実証実験を今月27日から4月10日の日程で実施すると発表した。

生酒の流通実証実験の概要
生酒の流通実証実験の概要

この実験企画は、無線ICタグを開発・提供するトッパン・フォームズ、温度管理用の冷蔵庫を搭載したハイブリッド車(トラック)を開発・提供する日野自動車、流通システムを提供する日本アクセス、無線ICタグから送信された温度データの逐次モニタリングなどのシステム全般を開発・提供するNTTデータの4社が共同で実施するもの。さらに、実証実験のためのフィールド企画として、日本酒(生酒)の蔵元(製造元)として新潟県長岡市の吉乃川(株)と福島県会津若松市の末廣酒造(株)、無線ICタグを使って流通された製品を店頭に並べ、情報キヨスクで温度情報の履歴などを照会する店舗提供として(株)マルエツの立川若葉町店などが参加・協力している。上記期間のうち、27日から29日の3日間を物流実験に、30日から4月10日までを店舗内実験に当てるとのこと。

吉川明夫氏 宇高恵一氏
NTTデータのビジネスソリューション事業本部CRMサービスユニット長の吉川明夫氏トッパン・フォームズの取締役 情報メディア統括本部担当の宇高恵一氏

発表会場にはNTTデータのビジネスソリューション事業本部CRMサービスユニット長の吉川明夫氏、トッパン・フォームズの取締役 情報メディア統括本部担当の宇高恵一(うだかけいいち)氏、日本アクセスの常務取締役 ロジスティック統括本部長の星 秀一氏、日野自動車の商品企画部チーフエンジニアの長谷部 透(はせべとおる)氏らが出席し、実験の概要や狙いなどを説明した。

星 秀一氏 長谷部 透氏
日本アクセスの常務取締役 ロジスティック統括本部長の星 秀一氏日野自動車の商品企画部チーフエンジニアの長谷部 透氏

最初に吉川氏が挨拶し、「医薬品や食料品など、温度管理をきちっとしなければならない製品の流通がある。この実験では、食料品野中でも特に温度管理が厳しいと言われる“生酒”を使って、流通の全体で温度管理が正しく行なわれることと、その温度管理が正しく行なわれているか検証することの2点を実験する。顧客は店頭で商品を手に取ったときに、(専用キヨスク端末を使って)温度管理が正しく行なわれているかどうかを確認できる。実験では、実際の店舗を使って消費者の受容性(システムの効果を正しく理解し、受け入れられるかどうか)、技術面での課題、運用・実用面の問題を検証したい。これによって(こうした温度管理が厳密な)商品の販路拡大を目指す」と狙いを語った。

無線ICタグ付きシール シールを付けた生酒の瓶を12本入れた箱
個品識別のための無線ICタグ付きシールシールを付けた生酒の瓶を12本入れた箱。この内側に温度センサー内蔵の無線ICタグを取り付ける

今回の実験では、まず蔵元が瓶詰めした生酒の瓶の首にICタグを付けたシールを添付して個品(こひん)識別を行なうとともに、箱詰めした際に箱の中(場合によっては箱の外側)に温度センサー付きの無線ICタグ(この実験向けに新開発したもの)を同梱して、輸送経路での温度を逐次計測、無線通信でアクセスポイント経由でセンターに集積する。使用する無線タグの仕様は以下の通り。

温度センサー付き無線ICタグ

温度センサー内蔵無線ICタグ
温度センサー内蔵無線ICタグ。この実験のためにトッパン・フォームズが新たに開発したという
温度・湿度センサー内蔵
-10~60℃(誤差±1℃)、10~95%RH
非接触データ通信機能搭載
通信周波数300MHz帯、通信到達距離は10m
サイズ/重量
幅70×奥行き40×高さ17mm/約44g
電源
電池内蔵で1年間の動作が可能(従来品より1/5~1/6程度の省エネ化を実現)
コスト
5000円程度(従来の同等製品の1/3程度)

個品識別用ICタグ

粘着加工済みラベル
90×35mm
メモリー容量
112bytes(追記・書換え可能)
通信周波数
13.56MHz(ISO15693対応チップ内蔵)
温度センサー内蔵無線ICタグからの信号を受信するアクセスポイント
温度センサー内蔵無線ICタグからの信号を受信するアクセスポイント

こうして箱詰めされた製品は、日野自動車が三洋電機(株)と共同開発した移動式電気冷蔵庫“E-CRB(Electric-Cold Roll Box)”を乗せたハイブリッド車で蔵元から店舗まで流通する。その過程で逐次計測した温度情報をセンターで集積し、規定の温度帯から外れた場合には警告を出すなどの温度管理を行なう。店頭では、商品のICタグを情報キヨスクに近づけると個品情報からひも付けられた流通時の温度変化の履歴を確認できる。なお、個品識別するICタグ付きシールには温度センサーが内蔵されておらず、温度センサーは箱単位で設置・計測される。個品タグは流通経路や流通時の“箱単位での温度変化”を参照するためのもの。

集計したデータをグラフ化した専用アプリケーションの画面
集計したデータをグラフ化した専用アプリケーションの画面。線が急激に上がっているのは、温度センサー付きICタグを冷蔵庫から取り出して室温になるまで放置したため

将来的には、無線ICタグからの温度変化をフィードバックして到着時にちょうど解凍が終わるように冷蔵庫の温度設定を調整したり、温度センサーを体温の測定に用いて患者の体温を24時間継続して計測する、といった応用も検討していると今後の展望を語った。

専用冷蔵庫付きのハイブリッド車
日野自動車がアーバンネット大手町ビルの駐車場に持ち込んだ、専用冷蔵庫付きのハイブリッド車

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