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印刷とウェブの新たな関係を模索する“PAGE2006”――展示ブースレポート

2006年02月07日 00時00分更新

文● 千葉英寿

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“PAGE2006”の会場、池袋・サンシャインシティ
会場は例年と同様の池袋・サンシャインシティ。最近は展示会の多くが有明の東京ビッグサイトや幕張メッセで行なわれていることを考えると、伝統を守る珍しい存在と言える

今月1日から3日までの3日間、印刷とプリプレス(前工程)を中心とした専門イベント“PAGE2006”が東京・池袋のサンシャインシティコンベンションセンターTOKYOで開催された。主催は(社)日本印刷技術協会(JAGAT)。3日間の来場者数は合計6万230人となった。毎年、初日は出足が鈍いのだが、特に今年はひどい雨にたたられた。だが、その反動か最終日の会場は来場者の熱気でいっぱいになった。

今回のPAGE2006のテーマは“メディアを活かすビジネスコーディネーション”とされ、印刷だけではない“メディア制作の全般”に関わる指向をより強くしていた。PAGE2006の基調講演や、同時開催された“クロスメディアカンファレンス”においても、電子書籍やウェブなどの印刷以外のメディアに目を向けたセッションが注目を集めていた。展示内容についてはあくまで印刷関連が中心で、ページレイアウトソフト周りのソリューションなどが目立った。



“クロスメディアエキスパート講座”
受験を予定しているであろう来場者で埋め尽くされた“クロスメディアエキスパート講座”

そうした中、JAGATではこの3月に開催を控えている第1回“クロスメディアエキスパート認証試験”に関した出展を行なった。クロスメディアエキスパートとは、印刷に加えて、ウェブやDVD制作といったメディアの枠を超えてのプロデュース/ディレクションができる人材を育成することを目的とした認定試験。JAGATは“DTPエキスパート”を新たな人気資格のひとつに押し上げた実績もあって、このクロスメディアエキスパートにも期待が高まっている。会場にもJAGATが毎回開設している“DTPエキスパートコーナー”での“クロスメディアエキスパート講座”が来場者の関心を集めていた。

ますます充実する
Mac OS Xパブリッシング環境

次期バージョンのリリースが、噂されては消えているQuark XPressだが……
次期バージョンのリリースが、噂されては消えているQuark XPressだが……

インテルCPUを搭載した“iMac/MacBook Pro”が発表された2006年初頭のMac EXPOにおいて、いち早く“Universal対応”を表明したクォークジャパン(株)のページレイアウトソフト『Quark XPress 6日本語版』は例年通り(株)ソフトウェア・トゥーのブースに出展され、セミナーを行なっていた。特に新しいバージョンの発表もなかったが、まだMac OS 9ユーザーが多数を占める印刷業界にあって、Mac OS Xで動作するQuark XPressに関心を示す傾向は今も続いているようだ。



旧Mac OS時代から、フォント管理ソフトの定番と言えば“Suitecase”だ
旧Mac OS時代から、フォント管理ソフトの定番と言えば“Suitecase”だ

同じくソフトウェア・トゥーのブースでは、フォント管理ツールの標準と言える(株)セラーテムテクノロジーの『Extensis Suitecase Fusion』が出展されていた。Suitecase Fusionは従来の“Suitecase X1”に加え、“Font Reserve Server”の技術を融合させた新バージョン。フォントを識別するFont Senseテクノロジーによりフォントの種類やメーカー、バージョンなどの情報から正しいフォントを導き出すことができる。さらにフォント集中管理機能の“Font Vault”がフォントを1ヵ所に集めて管理し、不必要なフォントコンフリクトや重複フォントなどの問題を回避するという。また、『Adobe Illustrator CS/CS2』、『Adobe InDesign CS/CS2』、Quark XPress 6または6.5日本語版に対応する専用プラグインのオートアクティベーション機能により、各アプリケーションで作成したドキュメント内で利用されているフォントを自動的に利用可能にする。

セミナーの様子
セミナーでは(株)ソニー・ミュージックコミュニケーションズなどの事例紹介が特に人気だった

すっかりおなじみになったアップルコンピュータとアドビシステムズを中心とした“Mac OS Xパブリッシング”。そのパビリオン的エリアとなる“グループパブリッシングZONE”では、事例紹介やソリューションなどのセミナーが行なわれていた。今回はグループパブリッシングにより、どのようなソリューションが実現され、どのような成果が得られるのかを具体的に紹介していた。

グループパブリッシングZONEの展示コーナーでは、さまざまなレイアウトソフトのプラグインが紹介されていた。コムネット(株)はベクトルデータ化した図案集『ベクトル図案シリーズ』を展示。すでにさまざまな図案集が存在するが、この図案集はちょっとほかとは違っている。フォトフレームやボトル、グラスなどの工芸用途に最適な“工芸装飾図集成”、浮世絵や花鳥図などの日本古来の図案を集めた“日本の工芸図案集”、ヨーロッパの工芸図案を集めた“西洋の工芸図案集”、そして新たに加えられた江戸の浮世絵、明治の図案、大正レトロなどを集めた“日本の実用図案集”が紹介されていた。データはいずれもJPEG、Adobe Illustrator形式で収録されており、用途によって使い分けができる。

『ベクトル図案シリーズ』の“日本の工芸図案集”
『ベクトル図案シリーズ』の“日本の工芸図案集”

(株)地理情報開発は、Adobe Illustratorのプラグイン『PlugX』シリーズに、国土地理院による『数値地図2500』をAdobe Illustratorで直接読み込んで編集できる『PlugX-数値地図Reader25000』と、その上位バージョンで『数値地図25000』を読み込める『PlugX-数値地図 Reader25000Pro』を出展していた。数値地図Reader25000Proでは、道路の二条線化、経緯度線の自動生成、地図投影法の選択など、本格的な地図制作に必要な機能を備えている。

エボルブテック(株)はAdobe InDesign CS/CS2に対応した数式作成ソフト『Math+Σagic(マスマジック) Prime Edition』を紹介していた。これまでは旧Mac OS用のQuark XPress向けに提供していたが、本バージョンよりAdobe InDesignのプラグインとして動作する。数学/電子工学/電気/物理/会計/機械といった専門分野はもちろんのこと、書籍制作で需要の大きい学習参考書などの分野でも大いに役立つ。作成された数式はベクターデータとして書類に貼り込まれ、プレビューや出力が可能となる。Math+Σagicがインストールされていれば再編集も可能だ。

(株)フォントワークスジャパンは、校正支援機能付き字形変換ツール『舞字形(まいじけい)』を出展していた。Adobe InDesignとOpenTypeの組み合わせにより豊富な字形(グリフ)を扱えるようになったが、その変換と校正作業の煩雑さが課題として残った。舞字形はAdobe InDesignのプラグインとして、あらかじめ設定された字形への一括変換が行なえるというもの。

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