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VAIO type S VGN-SZ90PS

VAIO type S VGN-SZ90PS

2006年02月02日 18時40分更新

文● 編集部・小西利明

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その他のハードウェア面での特徴

液晶ディスプレーの上に装備されたカメラ“MOTION EYE”。ビデオチャットでの自分撮り用だ。
液晶ディスプレーの上に装備されたカメラ“MOTION EYE”。ビデオチャットでの自分撮り用だ。

 SZシリーズはCPU等の主要コンポーネントやデザイン以外にも、さまざまな特徴を備えている。中でもパッと目につくのは、液晶ディスプレーの上に装備されたカメラ“MOTION EYE”だろう。バイオシリーズに詳しい人なら、MOTION EYEと聞いて「ああ、VAIO C1のカメラ?」と思い出すかもしれない。SZシリーズのこのカメラも用途は同じだ。総画素数33万画素の1/8インチCMOSセンサーを内蔵したカメラで、レンズ左のモノラルマイクと組み合わせることで、付属のIP電話ソフト“Skype”を使ったビデオチャットが可能になる。

 本体の右側面にはDVD+R DL対応DVDスーパーマルチドライブと並んで、ExpressCard/34スロットが装備されている。ExpressCardはPCI Expressスロットのカード版というもので、既存のPCカードスロットをしのぐ高速なデータ転送が可能であるが、現在はまだ対応機器がほとんどなく、装備しているノートパソコンも多くはない。SZシリーズではExpressCardスロット用にメモリーカードアダプターが付属していて、SDメモリーカードやMMC、メモリースティックDuoなどを装着可能となっている。

SZ90の右側面には、光ディスクドライブとExpressCard/34スロットが並ぶ。写真では見やすいようにメモリーカードアダプターを半差しにしているが、実際はぴったり側面まで差し込める。
SZ90の右側面には、光ディスクドライブとExpressCard/34スロットが並ぶ。写真では見やすいようにメモリーカードアダプターを半差しにしているが、実際はぴったり側面まで差し込める。

 それ以外にも、パームレスト部右側にFeliCaリーダー/ライターの“FeliCaポート”を内蔵しており、FeliCa対応カードや“おさいふケータイ”、Suica/ICOCAなどの非接触型ICカードの読み取りなどが行なえる。また無線通信機能として、IEEE 802.11a/b/gに加えてBluetooth 2.0+EDRも内蔵している。さらにタッチパッドのボタンの間には、指紋認証センサーを搭載し、指紋を使ったログインが可能となっている。

気になるパフォーマンスをチェック!

 SZシリーズでなにより気になるのは、パフォーマンスとバッテリー駆動時間であろう。そこで今回は簡単なベンチマークテストを中心に、これらを測定してみた。なお今回テストした評価機は発売前のテスト機であり、製品版とは結果が異なる可能性があることをお断わりしたい。

Windows Media EncorderによるMPEG-2~WMV9トランスコード

 まずはデュアルコア化によるCPU性能の向上を調べるために、マイクロソフト(株)が配布している「Windows Media Encorder 9」(WME9)を使用したファイル変換(トランスコード)を行なってみた。ファイルサイズ458MB、再生時間約7分40秒のMPEG-2ビデオファイルを、“最高品質ビデオ(VBR 100)”“可逆圧縮品質オーディオ(VBR 100)”の設定で、WMV9形式のビデオファイルに変換するのに要した時間を計測した。比較対象には、筆者のVGN-S92PS(※1)を使用した。評価機と比べるとクロック周波数で100MHzほど下回り、コアはシングルコアだ。

※1 主な仕様は、CPU:Pentium M 740-1.73GHz(2MB L2)、チップセット:Intel 915PM Express、GPU:GeForce Go 6200、メモリー:DDR2-400 1GB

WME9によるトランスコードテストの結果。短い方が高速である。
WME9によるトランスコードテストの結果。短い方が高速である。

 結果はグラフのとおり、SZ90はほぼ2倍の速さでトランスコードを終了してみせた。さすがデュアルコア化の霊験はあらたかと言えようか。モバイルノートに苦手な作業と言えば、3Dゲームとビデオ編集と言われてきたものだが、これくらいの速度向上があると、もはやビデオ編集が苦手な作業とは呼べないだろう。

3Dグラフィックス性能

 次にメジャーな3Dグラフィックスベンチマークテスト「3DMark03」「3DMark05」(米Futuremark社)を使用して、3Dグラフィックス性能を計測してみた。SPEEDモードのGeForce Go 7400とSTAMINAモードのIntel 945GMの双方で測定し、どの程度パフォーマンス差があるのかも調べてみた。比較対象には前述のVGN-S92PSに加えて、昨年末に発売されたVAIO type BX「VGN-BX90PS」(※2)とも比較してみた。type BXはシングルコアのPentium M搭載機だが、GPUにATI Mobility Radeon X700を選択可能で、グラフィック性能に優れている。

※1 主な仕様は、CPU:Pentium M 740-1.73GHz(2MB L2)、チップセット:Intel 915PM Express、GPU:Mobility Radeon X700、メモリー:DDR2-533 1GB

3DMark03および3DMark05の3DMarks値。
3DMark03および3DMark05の3DMarks値。

 結果はグラフのとおり、SPEEDモードのGeForce Go 7400は高速で、最新の3Dゲームを“最高品質でも軽快に”とはいかないだろうが、十分な画質とハイパフォーマンスで動作させられるだろう。ノートパソコン向けGPUではミドルクラス~ハイエンドに当たるRadeon X700を搭載するtype BXにはかなわなかったが、3DMark05ではその差を詰めている。STAMINAモード時はさすがに、グラフィックス性能はだいぶ落ちる。グラフィックス性能が必要な時にはSPEEDモードで使うという使用スタイルが、ベンチマーク結果からも証明されたと言えそうだ。

 3Dグラフィックス性能比較では、実際のゲームに基づいたテストとして、(株)コーエーの、「大航海時代 Online ベンチマークプログラム」(以下GVOベンチ)での測定も行なってみた。エンジンの世代としてはそれほど新しいものではないが、現在一般的なネットワークRPGでの実力を見るのには適当と思われる。比較対象は3DMarkシリーズと同様。“ノーマル”は800×600ドット/32bitカラー/フルスクリーンで、ノーマル画質での測定。“最高”は1024×768ドット/32bitカラー/フルスクリーンで最高品質設定。“最高+FSAA 4x”は、最高に加えて4xのアンチエイリアシングをかけた状態での測定である。なおSTAMINAモードのIntel 945GMでは、4x FSAAが有効にならなかった。

GVOベンチでの計測結果。
GVOベンチでの計測結果。

 結果はグラフのとおりで、type BXにさほど劣らない数値を叩き出している。さすがにGPU自体の性能差(GeForce Go 7400はローエンド~ミドルクラスGPU)があるので、品質を上げていくと結果の差も開くが、一昔前のデスクトップパソコンにも劣らないパフォーマンスと言えるだろう。実際のゲーム中のプレイ感と比較すると、SZ90のSPEEDモードなら、最高品質でも快適にプレイできると期待される(4x FSAAはややきついか)。

 これらの結果から見るに、SZ90のSPEEDモードは、モバイルノートではトップクラスの優れたグラフィックス性能を発揮すると言えるだろう。

バッテリー駆動時間

 最後にバッテリー駆動時間のテストも行なってみた。SZ90をSTAMINAモード、液晶輝度はレベル5に設定。出先で無線LANを使用しながらウェブブラウザーを使用する状況を想定し、内蔵無線LAN機能を使ってインターネットに接続し、2分に1回バッチ処理でウェブブラウザーの更新を行ないながら、バッテリー100%充電状態から何時間連続動作が可能かを計測している。比較対象はVGN-S92PSを使用した。

バッテリー駆動時間計測の結果。
バッテリー駆動時間計測の結果。

 結果として、公称値の約7時間(JEITA測定法1.0)には及ばなかったものの、5時間もの動作が可能だった。前世代のプラットフォームベースのtype Sと比較すればその差は明らかで、「パワフルだがバッテリーは保たない」という印象のあったtype Sの弱点も、すっかり克服されたと言ってよいだろう。

パワー、バッテリー、デザインを兼ね備えた
優れたモバイルノート

 デュアルコアCPUとGeForce Go 7400搭載で従来機種以上のパワーを備えながら、“ハイブリッド・グラフィックシステム”によりバッテリー駆動時間も大きく延長。さらに軽量化と薄型化にも成功し、デザインもより洗練されるなど、SZ90は従来のtype Sシリーズを一新する優れたモバイルノートに進化したと言えるだろう。1年前にVGN-S92PSを買った筆者も、思わず欲しくなるほど良いマシンだ。パフォーマンスもバッテリー駆動時間も妥協したくないという贅沢な要望にも、応えてくれるノートパソコンである。

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