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W-ZERO3

W-ZERO3

2005年12月15日 08時13分更新

文● 編集部・小林 久

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バッテリー寿命は? ウェブブラウジングの快適さは?

 細かな操作感に関しては、追ってお伝えしていくが、とりあえずバッテリー寿命や表示速度などの簡単なベンチ結果を掲載しておく。

 バッテリー寿命に関しては、無線LANを使用してずっとウェブブラウジングし続けた場合を想定して計測した。大き目の画像を複数枚貼り付けたウェブサイトを相互にリダイレクトさせている。PHSは待ち受け状態で、液晶ディスプレーの輝度は最大、画像の展開やページレイアウトのためにCPUにも多少負荷がかかっている状態となる。

 テスト開始後、1時間11分後に3段階あるバッテリー残量の目盛りが1段階となり、データ通信をやめる旨の警告が出た。その19分後には電池アイコンが空の状態になり、強制的にバックライトが落ちて、CPUの処理速度もセーブされた。ブザーとともに本体の電源が入らなくなったのは、1時間53分後だった。

 この数字をどう評価するかは難しいところだが、音声通話を行ないながら、データ通信もヘビーに行なうためには、画面の輝度を抑えたり、無線LANアダプターの電力供給をこまめにストップする、あるいは予備バッテリーを用意するなど、ユーザー側で何らかの工夫が必要になりそうだ。ちなみに、ウィルコムが公式に発表しているスペックでは、連続通話時間が約5時間、連続待ち受け時間が約200時間となっている。

バッテリー
バッテリーにはシルク印刷が追加された。3.7Vで容量1500mAhと高容量である

 転送速度に関しては、ASCII24内のウェブページ(合計429KB)を実際に表示し終わるまでの時間を計測した。結果には、純粋な転送速度以外にHTMLを解釈して表示するレンダリング時間も含まれている。無線LAN(IEEE 802.11b)経由で、12MbpsのADSL回線(時間は比較的回線が空いている早朝)に接続した場合の表示時間は下表の通り。スループットとしては約173~276kbpsとなっている。ADSLの実効速度の目安として、ノートパソコンを有線接続した際の表示時間も掲載している。

 無線LAN接続としてはやや遅いと感じるかもしれないが、これにはADSL回線そのものの遅さも関係しているだろう。注目してほしいのは、パソコンとの差で、2~3倍強の時間がかかっていることが分かる。これは主にCPUの演算能力とウェブブラウザーの処理性能(処理の重さ)に起因したものである。データそのものを受け取っていても、HTMLの解釈やW-ZERO3の画面に適したレイアウトに表示調整するためのオーバーヘッドがかかる。ウェブサイト表示の快適さに関しては、回線速度よりW-ZERO3自体の処理性能がボトルネックになってきそうだ。

ブラウザ 表示時間
Internet Explorer
(画面に合わせる)
20.26秒
Internet Explorer
(表示調整しない)
12.72秒
Opera for Mobile
(画面に合わせる)
18.63秒
Opera for Mobile
(表示調整しない)
14.93秒
ノートパソコンで接続した
際の参考値
5.91秒

 W-SIMを利用した接続では、少なくとも60kbps以上の速度で安定して接続できた。ただし。速度にはかなりのバラつきが生じており、90kbps程度まで上がることもあれば、60kbpsを少し上回った速度でしか接続できない場合もあった。そのため、細かな数値は公開しない。ウィルコムのパケット通信の特徴として、性能をフルに引き出すためには、通信の負荷をある程度高くし続けなければならない。結果が安定しなかったのは、テストで利用したページがのファイルサイズが比較的小さかったことも関係しているかもしれない。

 いずれにしても、PHSを利用した通信端末としては、かなり高速な印象であり、かなり快適なウェブブラウジングが行なえるのは確かである。「WX-310K」のフォトレポートで紹介しているように、筆者は同機種のブラウジング機能やシンプルな使い勝手を高く評価している。しかし、Opera for Mobileが利用できるようになったことで、W-ZERO3のブラウジング環境もかなり強化された。

 操作が複雑でやや扱いにくい面も依然としてあるが、VGA液晶パネルと無線LAN機能、携帯電話機を上回る処理性能などの要素も加わっている。ウェブブラウザーを中心に使用したいと考えており、パソコン用のページもとにかくストレスなく見るという観点では、その快適さはWX-310Kを大きく上回る水準になったと言ってもいいかもしれない。

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