昨日公開されたばかりの無料IP電話ソフト『Skype 2.0』β版を使用し、長崎県の家庭とテレビ電話を行なうデモが披露された | マザーズ本舗を展開する、子育て環境支援総合研究所 理事長の有馬朱美氏 |
ルクセンブルクのスカイプ・テクノロジーズ(Skype Technologies)社とNPO法人(申請中)の子育て環境支援総合研究所は2日、子育て環境支援事業“マザーズ本舗”にて、無料IP電話ソフト『Skype』を活用した子育て支援事業を行なうことを発表。東京都内にてマザーズ本舗の説明会を開催した。会員向けに24時間コールセンターや医療機関、行政の相談窓口等と、Skypeのテレビ電話機能を使ったコミュニケーションサービスなどを提供する。サービスの開始は2006年4月の予定。
マザーズ本舗の画面イメージ | マザーズ本舗のサービス構成(発表会資料より引用) |
マザーズ本舗は、同研究所 理事長の有馬朱美氏らが長崎県内で行なってきた子育て支援活動を元に構想された事業。社会環境の変化により、とかく孤立しがちな幼い子供を抱えた母親を支援する活動に、地域社会や企業、行政を結びつけることで、それぞれの特色を生かした子育て支援のモデル化を目指すという。有馬氏は今までの活動経験から、子育て支援事業について、“親だけに視点を置くのではなく、周辺にある企業も含めた視点が必要”という意見を述べ、親に対する単なる金銭的支援ではなく、周辺企業の事業も円滑に回るような仕組みの構築を訴えた。そしてSkypeの活用により、親同士がコミュニケーションを取る場を作りたいとの豊富を述べた。Skypeのようなコミュニケーション手段を選択した理由の1つとして有馬氏は、離島の多い長崎特有の現状を例として挙げ、場所や移動手段に煩わされないコミュニケーション手段が必要であるとした。
マザーズ本舗は出産前~小学校入学前の児童を抱える親を対象とした、会員制サービスとして運営される。入会費等は初年度は無料となる予定。会員には会員証となるカードと、Skypeのソフトウェア、ヘッドセット等が支給され、24時間対応の会員向けコールセンターと『Skype 2.0』で実装されたテレビ電話機能“Skype Video”で、フェイスtoフェイスの相談を行なえる。相談内容が医療や法律などの専門分野に関わる場合は、コールセンターから専門家につなぐ。また会員間のコミュニケーションにもSkypeを活用する。Skypeのバージョンは、サービス開始時点の最新版を使用するとみられる。またSkype以外にも、会員向け掲示板運営や情報誌の発行、インターネットTV番組制作、子育て支援事業に関わる人材派遣なども手がけるとのこと。
マザーズ本舗を通じて支援サービスを提供する企業や団体については、現時点では確定していない。有馬氏は医療機関や法律家などに加えて、生活に結びつく地方行政機関との連携が重要であるとして、行政の協力を求めていくことを表明した。
2006年のSkypeは携帯端末を重視!?
Skype対応のスマートフォンを手にしたスカイプ・テクノロジーズ 日本ビジネス開発部長のビンセント・ショーティノ氏 |
マザーズ本舗に協力するスカイプからは、日本ビジネス開発部長のビンセント・ショーティノ(Vince Shortino)氏により、同社のビジネスの経緯と今後のプランについての説明が行なわれた。Skypeは登録ユーザー数で7000万人以上を数え、1日あたり17万ユーザーが増えているという。日本でのユーザー数も300万人以上とのことだ。
Skype 2.0β版のユーザーインターフェース。ショーティノ氏は「シンプルで誰もが使えるものを」というコンセプトを述べた | 2006年のスカイプが目指すキーワード。W-ZERO3の登場で、日本でも盛り上がりつつあるスマートフォンへの対応も促進する |
スカイプの2006年のキーワードとして、ショーティノ氏は“Skypeのモバイル化”“Webへの展開”“ビジネスへの利用”などを掲げた。Webへの展開では、Skypeへのログイン状況などをブログや個人ページなどで表示可能にすることで、Skypeの利用を促進する。マザーズ本舗のサービスでもこのシステムは利用が想定されているようだ。
マザーズ本舗でのSkype対応ウェブサイトのイメージ。連絡先写真の下にある“Skype Me”ボタンから通話できるほか、将来的にはインスタントメッセンジャーのように、Skypeへのログイン状況などもウェブベースで通知できるようになる |
モバイル化については、米マイクロソフト社のPDA/スマートフォン向けOS“Windows Moblie”搭載機へのSkype搭載を挙げた。ショーティノ氏は実際にSkypeを搭載したスマートフォンを例に挙げて、3G携帯電話に無線LANを組み合わせたSkype対応スマートフォンの普及を促進する姿勢を強調した。