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Pentium D搭載ショップブランドPCでデュアルコアCPUの性能を探る!

2005年07月19日 00時00分更新

文● 宇野貴教

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実際の運用に近い状態の
ベンチマークテストで速度チェック

 ユーザーサイドとして気になるのは、「デュアルコアによりどれくらいパフォーマンスがアップするか」という点だろう。マルチスレッド対応アプリケーションを前提として単純に考えれば、ちょうど2倍ほどアップすればいいわけであるが、現実はそうはうまくいかない。それはアプリケーションの動作原理上、常に2つのCPUが並列してフル稼働するわけではないためで、せいぜい1.5倍前後が妥当なラインだ。それでも3GHzのCPUが4.5GHz相当になるわけであり、なかなか魅力的なスピードアップである。
 では、実際にその効果を確かめるため、マルチスレッドアプリケーションを各種用意し、実際に動かしてその速度を同じ動作周波数のシングルコアCPUと比べてみよう。テストに用いたマシンは、インテル製デュアルコアCPUであるPentium D 830を搭載したドスパラの「Prime Magnate LM/D」。Pentium D 830は、コストパフォーマンスに優れ、ハイエンドユーザー以外にも手が出しやすいCPUだ。動作周波数は3.0GHzである。そして比較用としてシングルコアCPUのPentium 4 630(3.0GHz)も準備した。なお、Pentium 4 630は“HyperThreading機能”(以下HT)を搭載するが、これはオンとオフの2パターンでテストした。テスト環境は、チップセットに“i945G”を搭載するASUS製マイクロATXマザーボード「P5LD2-VM」、メモリはCORSAIR製PC4200 DDR2 512MBx2、HDDはSerial ATA接続のSAMSUNG製「SP1614C」(160GB) 、ビデオはチップセット内蔵のマシンを用いている。

計測マシン
「Prime Magnate LM/D」を計測用マシンとして使用。同じクロック数のシングルコアCPUとデュアルCPUを用意した

同クロックのPentium4と比較して
最大1.5倍のパフォーマンスアップ!

 もっともデュアルコアの効果が高いと思われる動画エンコードは、「TMPGEnc 3.0 Express」によるMPEG-2ファイル作成と、「Windows Media Encorder 9」によるWMV9ファイルの作成を行なった。
 さて結果であるが、Pentium DはHTをオフにしたPentium 4の約1.8倍近い速度が出ており、デュアルコアのパワーを見せつけた形だ。Pentium 4がHTオンだと差は縮まってしまうが、それでも1.4~1.5倍前後早くなる。マルチスレッドを効率よく活かせるアプリケーションであれば、同じ動作クロックのPentium 4の150%の性能と見てよいだろう。ただし、アップルの音楽管理ソフト「iTunes」によるMP3エンコードではHTオフの約1.5倍、HTオンの約1.25倍、「Shade 8」によるCGレンダリングではHTオフの約1.8倍、HTオンの約1.3倍となり、動画エンコードほどの大差はつかない。つまり、アプリケーションによってデュアルコアの効果は微妙に変化するのである。もちろんシングルスレッドのアプリケーションならば、両者の差はまったくなくなってしまう。従って、Pentium Dシリーズのポテンシャルは、使うアプリケーションにより同じ動作周波数のPentium 4の約1~1.5倍となると見てよいだろう。

「TMPGEnc 3.0 Express」ベンチ
「TMPGEnc 3.0 Express」によるMPEG-2ファイルの作成にかかる時間を計測
「Windows Media Encorder 9」ベンチ
「Windows Media Encorder 9」によるWMV9ファイルのエンコード時間を計測
「Shade 8 Professional」ベンチ
「Shade 8 Professional」を使用したCGレンダリング時間を計測
「iTunes」ベンチ
アップルの音楽管理ソフト「iTunes」でMP3ファイルのエンコード時間を計測

 Pentium D 830の実売価格は3万7000円前後。現在最速のPentium 4はモデルナンバー670の3.8GHzで、市場価格は約10万円である。アプリケーションに左右されるとはいえ、3.0GHzの1.2~1.5倍、つまり3.6GHz~4.5GHzのPentium 4相当のパフォーマンスを、Pentium Dはこの価格で入手できるのだ。マルチスレッド対応アプリケーションは今後続々と増えていくのは確実なことを考慮すれば、Pentium Dはお買い得度満点のCPUであることは間違いないだろう。エンコードやCGレンダリングをバリバリ使っている人には、導入をおすすめしたいCPUだ。

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