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『Adobe Acrobat 7.0』で目指す電子文書ソリューションの未来とは?――米アドビ システムズ パム・デジオ氏に聞く

2004年12月14日 09時21分更新

文● 取材・文:千葉英寿

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パム・デジオ氏
米Adobe Systems社 インテリジェントドキュメンツ事業部でAcrobatのプロダクトマーケティングを担当するパム・デジオ氏

アドビ システムズ(株)は今月1日、同社の戦略的製品であるPDF作成・管理ソフト“Adobe Acrobat”の最新バージョン“Adobe Acrobat 7.0シリーズ”を発表した。これに合わせて来日した米アドビ システムズ(Adobe Systems)社のAcrobatプロダクトマーケティング担当ディレクターのパム・デジオ(Pam Diezel)氏に、PDFならびにAdobe Acrobatの製品戦略、さらにPDFをインフラとしたサーバーソリューション戦略について直撃した。



[聞き手(以下、千葉)] まず始めに、今回発表されたAdobe Acrobat 7.0で打ち出された製品戦略の方向性を聞かせていただけますか?
[パム・デジオ氏] Adobe Acrobat 7.0(以下Acrobat 7)では、開発やマーティングの方法で戦略を多少変えました。というのは、以前は、さまざまな産業や職種のお客様にとってなんらかのフィーチャー(特徴・特色)を設け、幅広くかつ水平的に対象を見てきましたが、Acrobat 7ではもう少しフォーカスを絞って、具体的にはエンジニアリングやクリエイティブ・プロ向けのフィーチャーを増やしました。ワークフローやソリューションにフォーカスすることで、(アドビの他製品の販売)戦略の一部としてエンタープライズ向けに浸透を図っています。
[千葉] 具体的にはどのようなことを差すのでしょう?


『Adobe Acrobat 7.0 Professional 日本語版』
『Adobe Acrobat 7.0 Professional 日本語版』のパッケージ
[デジオ氏] Acrobat 7のフィーチャーには、ワークフローに向けて戦略的に考えている機能がいくつかあります。まず、Acrobatを使ってPDFファイルを作った場合、無償の『Adobe Reader 7.0』(今月中旬より無償配布開始予定、以下Reader)のみを持っている人でも、そのPDFファイルを開いて、文書にコメントする“注釈機能”を使えるようにしました。これにより(Acrobatユーザー以外の多くの方が)ワークフローやコラボレーションに参加できるようになりました。例えば、エンジニアリングのワークフローを考えた場合、プロジェクトには下請けやパートナー企業、ベンダーといったファイアーウォールの外にいる人々とコラボレーションしなければなりません。これまではパートナーに対して何らかの(PDFファイルにコメントをつけるための)ソフトウェアを供給しなければならなかった訳ですが、Readerをダウンロードするだけで誰でもがプロジェクトに参加することができるようになりました。


Adobe Reader 7.0の注釈機能を活用したワークフロー
Adobe Reader 7.0の注釈機能を活用したワークフロー
[千葉] 注釈機能が無償のReaderに搭載されたことは、ユーザーにとって朗報ですね。ほかにビジネスのワークフローを変える機能はありますか?
[デジオ氏] 最近では文書のセキュリティーや知的所有権が大きくフォーカスされていますが、ファイアーウォールの外にいるパートナーや顧客、ベンダーなどと文書をやりとりする中で、文書の閲覧に関するセキュリティー保護のために、『Adobe LiveCycle PolicyServer』という製品との連携を可能にしています。ユーザーのデスクトップからも中央の管理部門からでも、フォームを使って会社のセキュリティーポリシーを適用し、文書の閲覧権限や有効期限の変更、失効といった運用管理が実現できます。
Adobe AcrobatとAdobe LiveCycle Policy Serverを使ってセキュリティポリシーがコントロールできる
Adobe AcrobatとAdobe LiveCycle Policy Serverを使ってセキュリティポリシーがコントロールできる
[デジオ氏] また、ワークフローはしばしばフォームを使って管理されることが多く、これはワークフローの中に組み込まれていますが、『Adobe LiveCycle FormDesigner』でフォームを作成することによって、それぞれのワークフローに適したフォームを使って入力情報を効率的に管理できます。このようにAcrobat 7では、PDFファイルによるコラボレーションの強化を実現しています。

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