アドビ システムズ(株)は1日、Windows/Mac OS用PDFファイル作成ソフト“Adobe Acrobat”をバージョンアップし、『Adobe Acrobat 7.0 Professional』『同 7.0 Standard』『同 Elements 7.0』として2005年1月21日(Elements 7.0のみ2005年5月以降発売予定)に、無料配布のPDFファイル閲覧ソフト『Adobe Reader 7.0』を今月中旬に、それぞれ提供開始すると発表した。各製品の主な機能と価格は以下のとおり。各製品は本日から同社の直販サイト“アドビストア”で予約受け付けを開始している。
Adobe Acrobat 7.0 Professional 日本語版のパッケージ |
Adobe Acrobat 7.0 Professional 日本語版
- 特徴
- フォーム作成やレビュー(評価・批評)原稿をするビジネスプロフェッショナル、およびCADエンジニアやクリエイティブプロフェッショナル向け
- Adobe Reader 7.0でコメントをつけられる“注釈権限付きPDFファイル”を作成可能
- XMLベースのPDFフォーム作成ツール“Adobe LiveCycle Designer”を搭載
- プロジェクト管理ソフト『Microsoft Project』からワンボタンでPDFファイルを作成可能
- “AutoCAD”“Microsoft Visio”のドキュメントレイヤーに対応し、VisioオブジェクトデータをPDFファイルに変換・管理可能
- CMYKデータを読み込んでPDFファイルを作成可能
- 価格
- 通常版 5万7540円
- アップグレード版/アカデミック版 2万1735円
Adobe Acrobat 7.0 Standard 日本語版のパッケージ |
Adobe Acrobat 7.0 Standard 日本語版
- 特徴
- Microsoft Office製品などからPDFファイルを作成し、PDFファイルの共有/回覧/レビューを行なう一般ビジネスユーザー向け
- Microsoft Outlook/Access/Publisherから1ボタンでPDFファイルを作成可能
- PDFキャビネットでPDFの管理・整理が可能
- はんこスタンプツールを搭載
- 新しいOCRエンジン(エー・アイ・ソフト(株)の“読んde! ココ”)を搭載
- XMLベースPDFフォーム作成ツール“Adobe LiveCycle Policy Server”(オプション)と連携可能
- 価格
- 通常版 3万6540円
- アップグレード版/アカデミック版 1万3125円
Adobe Acrobat 7.0 Elements 日本語版
- 特徴
- 一般企業の社員や組織の職員、OfficeアプリケーションなどからPDFファイル作成のみが必要なユーザー向け(Windows版のみ)
- 全文検索が可能
- 販売形態はライセンス販売のみ(100本以上、店頭販売はなし)
Adobe Creative Suite Premium日本語版
- 特徴
- Adobe Acrobat 7.0 Professional 日本語版を含む、クリエイティブプロフェッショナル向けパッケージ(Adobe Photoshop CS/Illustrator CS/GoLive CS/InDesign CS/Version Cueを収録)
- 価格
- 通常版 20万7900円
- アップグレード版13万4400円
- アカデミック版 7万3290円
- Adobe Creative Suite Premium 1.3 アップグレードキット 2万1735円
Adobe Reader 7.0
- 特徴
- 3Dビューアーのサポート
- 起動速度など、パフォーマンスの向上
- Adobe Acrobat 7.0で作成した“権限付きPDFファイル”に対して、レビューや注釈を付与可能
なお、Adobe Acrobat 7.0シリーズで作成されるAdobe PDFも“1.6”にバージョンアップしている。透かしや寸法線など新しいマークアップツールに対応したほか、実寸で30m以上の大型図面のPDFファイルの作成が可能になり、OpenTypeフォントの埋め込みにも対応した。
同社では、今回のバージョンアップの背景には、企業や公的機関の課題として
- 顧客や市民ニーズへの対応
- 業務コストの削減
- 政策や規制への適合(2005年4月施行予定の“e-文書法”など)
などがあり、Acrobatシリーズを含む“Adobe Intelligent Document Platform”で組織全体のドキュメントサービスを効率化・低コスト化できると説明する。
パフォーマンスの向上については、AcrobatシリーズおよびAdobe Readerで、起動シーケンス(手順)を見直し、(システム構成にもよるが)十数秒以上待たされていた起動時間を数秒程度に短縮したという。また、テキストやグラフを含むWord文書をPDFファイルに作成した場合に最大80%、テキストのみ文書でも20%の速度向上を確認したとのこと(いずれも同社でのテスト結果)。
透かしを設定しているプロパティー画面 | 透かしを追加したPDFファイル |
ユーザーインターフェースも、メニューを整理し、2階層目以降にあったツールのうち、ユーザーがよく使うものを1階層目に移動し、マークアップツールとして用意していた赤ペンや付箋紙を、市販文具と同様の色に変更している。
PDFキャビネットの画面 |
Professional/Standardに追加された“PDFキャビネット”は、作成・閲覧したPDFファイルをサムネールで一覧表示し、元のファイルを開くことなくページ内の参照が行なえるほか、複数のPDFファイルをまとめてメールで送信することができるPDFファイル管理ツール。なお、これはWindows版のみに搭載されている。
セキュリティー機能の強化として、Professionalには標準添付(Standardではオプション)の“LiveCycle Policy Server”を利用すると、すでにメールなどで送付済みのPDFファイルについても、閲覧可能な期限を決めて、一定時期を過ぎると表示・閲覧を不可能にできる。
Outlookで複数の受信メールをPDFファイルにまとめて送信可能になった |
このほか、Microsoft Officeシリーズに含まれる多機能メールクライアントソフト“Outlook”のメールや管理書類を複数まとめてPDFファイルに変換したり、PDFファイルを添付しての送信が可能になった。これにより、個人単位でクライアントとやり取りした結果を、容易に部門・部署単位でも共有できるという。
なお、Adobe Reader 7.0が新たにサポートした“3Dビューアー”は、独自のU3D形式の3D PDFファイルの閲覧が可能なことを示すが、現時点でAdobe Acrbatシリーズ(7.0)ではU3D形式の3D PDFを作成できない。U3D形式の3D PDFを作成できるアプリケーションとしては、米Bentley Systems社の3D CADソフト『Micro Station』が対応予定となっている。
Professional、Standard、Adobe Reader 7.0いずれも対応OSは、Windows 2000(SP2以降)/XP(Tablet Edition含む)、Mac OS X v.10.2.8/10.3、CPUにPentiumクラス(Windows版)もしくはPowerPC G3/G4/G5(Mac OS版)、メインメモリーはWindows/Mac OSともに128MB以上(256MB以上を推奨)。インストールに必要なHDDの空き容量は、Professionalが570MB+インストールファイルキャッシュ300MB(推奨)以上、Standardは450MB+300MB以上、Adobe Reader 7.0は70MB以上。