アドビ システムズ(株)は7日、デザイン・プロフェッショナル向けの統合制作環境である『Adobe Creative Suite』の最新版として『Adobe Creative Suite 2日本語版』(以下ACS2)を発表した。今秋、米本社が米マクロメディア(Macromedia)社を統合することを発表済み(現地時間4月18日のニュースリリース)の同社にとって、大きな変化を前にした“最も大きな製品リリース”であり、成熟したデザイン・スイートの登場だ。
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『Adobe Creative Suite 2 Premium 日本語版』のパッケージ |
ACSは、
- 画像編集作成ソフト“Adobe Photoshop(アドビ フォトショップ)”
- ベクターイメージ作成ソフト“Adobe Illustrator(アドビ イラストレーター)”
- ページレイアウトソフト“Adobe InDesign(アドビ インデザイン)”
- ウェブサイト作成ソフト“Adobe GoLive(アドビ ゴーライブ)”
- PDFファイル作成ソフト“Adobe Acrobat(アドビ アクロバット)”
という出版・印刷、ウェブサイト、モバイルコンテンツといった各種メディアを制作するためのアプリケーションを1つの“デザイン・スイート(制作向け統合アプリケーション群)”としてまとめたものだ。最新バージョンのACS2では、各アプリケーションを強力に連携させる上で重要な役割を果たす『Adobe Bridge(アドビ ブリッジ)』、『Adobe Stock Photos(アドビ ストックフォト)』、『Adobe Version CUE(アドビ バージョンキュー) CS2』といった独自の新規ツールを備えているのが特徴。本日から同社直販サイト“アドビストア”で予約受付を開始し、7月上旬に発売開始となる。
同時にACS2を構成するアプリケーションも、『Adobe Photoshop CS2日本語版』、『Adobe Illustrator CS2日本語版』、『Adobe InDesign CS2日本語版』、『Adobe GoLive CS2日本語版』、『Adobe InCopy CS2日本語版』として単体で販売される。
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『Adobe Creative Suite 2 Standard 日本語版』のパッケージ |
各パッケージの名称/製品構成とアドビストアでの販売価格は以下のとおり。
Adobe Creative Suite 2 Premium 日本語版(Windows版/Macintosh版)
- 構成製品
- Adobe InDesign CS2日本語版、Adobe Photoshop CS2日本語版、Adobe Illustrator CS2日本語版、Adobe GoLive CS2日本語版、Adobe Acrobat 7.0 Professional日本語版、Adobe Version CUE CS2日本語版、Adobe Bridge、Adobe Stock Photos、Help Center(Adobe InCopy CS2日本語版は含まず)
- 通常版
- 19万7400円
- アップグレード版
- 13万4400円(アップグレード対象ユーザはAdobe Photoshop CS以前の日本語版ユーザ)
- アップグレード版
- 8万6940円(アップグレード対象ユーザはAdobe Creative Suite Premium日本語版ユーザ)
- アップグレード版
- 7万1400円(アップグレード対象ユーザはAdobe Creative Suite Premium 1.3 日本語版ユーザ)
- アカデミック版
- 7万3290円
Adobe Creative Suite 2 Standard 日本語版(Windows版/Macintosh版)
- 構成製品
- Adobe InDesign CS2日本語版、Adobe Photoshop CS2日本語版、Adobe Illustrator CS2日本語版、Adobe Version CUE CS2日本語版、Adobe Bridge、Adobe Stock Photos、Help Center(Adobe InCopy CS2日本語版は含まず)
- 通常版
- 15万5400円
- アップグレード版
- 10万2900円(アップグレード対象ユーザはAdobe Photoshop CS以前の日本語版ユーザ)
- アップグレード版
- 6万900円(アップグレード対象ユーザはAdobe Creative Suite Standard 日本語版ユーザ)
Adobe Photoshop CS2日本語版(Windows版/Macintosh版)
- 通常版
- 9万2400円
- アップグレード版
- 2万6250円(アップグレード対象ユーザはAdobe Photoshop CS以前の日本語版ユーザ)
- アカデミック版
- 4万1790円
Adobe InDesign CS2日本語版(Windows版/Macintosh版)
- 通常版
- 9万2400円
- アップグレード版
- 2万6250円(アップグレード対象ユーザはAdobe InDesign CS以前の日本語版ユーザ)
- 特別提供版
- 6万8250円(特別提供対象ユーザはAdobe PageMaker 7.0以前の日本語版ユーザ)
- アカデミック版
- 3万1290円
Adobe Illustrator CS2日本語版(Windows版/Macintosh版)
- 通常版
- 8万3475円
- アップグレード版
- 2万6250円(アップグレード対象ユーザはAdobe Illustrator CS以前の日本語版ユーザ)
- アカデミック版
- 2万9400円
Adobe GoLive CS2日本語版(Windows版/Macintosh版)
- 通常版
- 2万6040円
- アップグレード版
- 1万2705円(アップグレード対象ユーザはAdobe GoLive CS以前の日本語版ユーザ)
- アカデミック版
- 9660円
Adobe InCopy CS2日本語版(Windows版/Macintosh版)
- 通常版
- 2万790円
- アカデミック版
- 9345円
●スイートとしての価値を高める“連携”ツール
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Adobe Bridgeのウィンドウには、画像プレビューのほか、ナビゲーションや画像の情報なども表示する。プレビュー表示には、スライダーでサイズ調整でき、サムネール表示、フィルムストリップ表示、詳細表示、バージョンおよび代替案表示に切り替えができる |
『Adobe Bridge』は、各アプリケーション間の連携を強化し、デザイン・ワークフローのHubとしての役割を果たす。特に“ビジュアルファイルブラウザー”は、その名が示すとおり、前バージョン(Adobe Photoshop CS)で好評を得ていた“ファイルブラウザー”を進化させたもので、個人向け画像管理ソフト『Adobe Photoshop Album』で採用したスライダー表示のGUI(ユーザーインターフェース)を採用し、画像やレイアウト、動画といったクリエイターが過去に作成してきた情報資産の管理/検索/プレビューを直感的に操作できる便利なツールだ。
Photoshopとの連携はもちろん、Illustrator、InDesign、GoLiveといった各アプリケーションからアクセスでき、デザイン作業の生産性向上を高められるという。また、複数のCamera Rawファイル(デジタルカメラで記録したRAWデータ)に対して画像の補正、切り抜き、加工処理を同時に行なうことができ、制作現場で大量の画像を扱う場合に役立つとしている。
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Adobe Stock Photosで見つけた画像は、低解像度版をカンプ(レイアウト用素材)として使用することができ、最終的に印刷などで使用する画像の高解像度画像のみをダウンロード購入することができる |
アドビが新規のオンラインビジネスとして立ち上げる画像素材配信サービス“Adobe Stock Photos”もAdobe Bridgeから利用でき、ストックフォト上の画像を閲覧、試用、購入、管理が行なえる。ストックフォトには日本の(株)アマナをはじめ、米国のストックフォトプロバイダーなどが参入しており、デザイン・プロフェッショナルにとっても即戦力となるだろう。今後、Adobe Stock Photosには、ヨーロッパやアジア諸国のストックフォトプロバイダーも加わる予定だという。
ACS2は、2003年12月に発表した最初のバージョンである『Adobe Creative Suite』から、各アプリケーションを連携させることで作業効率化をはかるべく、さまざまな工夫を施してきた。そのひとつが作業工程において発生するファイルのバージョンを徹底して管理し、グループワークの多いデザインのワークフローを革新したAdobe Version CUEだ。今回、『Adobe Version CUE CS2日本語版』として、さらなる機能強化を果たし、より直感的で視覚的な操作が可能になり、堅固性も向上している。“連携ツール同士”も相互連携がはかられており、Adobe BridgeからVersion CUE CS2へとダイレクトにアクセスし、ファイルバージョンの切り替えも可能となっている。
日本語版独自の機能として、“SING(Smart Independent Glyphlets)”での外字環境を実現する『SING外字ソリューション』をサポートした。SING外字ソリューションはIllustrator CS2のグリフレット作成、グリフレット管理ツール、InDesign CS2およびInCopy CS2でのSING機能の活用などを実現する。
ACS2の動作環境は以下のとおり。
Macintosh版
- PowerPC G4、G5プロセッサー
- Mac OS X v.10.2.8~10.3.8(10.3.4~10.3.8を推奨、PowerPC G5ではMac OS X10.3以上が必要)およびJava Runtime Environment 1.4.1
- メモリー384MB以上(アプリケーション1つ+Adobe Bridge+Version CUE使用時、複数アプリケーション使用時には512MB~1GBを推奨)
- HDD(全アプリケーションのインストール時) 4GB以上(Premium)、もしくは3GB以上(Standard)
- プロダクトアクティベーション(ライセンス認証)のためにインターネット接続または電話回線
Windows版
- Pentium IIIまたはPentium 4クラスのCPU
- Microsoft Windows 2000(SP4以降)/XP(SP1以降)
- メモリー384MB以上(アプリケーション1つ+Adobe Bridge+Version CUE使用時、複数アプリケーション使用時には512MB~1GBを推奨)
- HDD(全アプリケーションのインストール時) 3GB以上(Premium)、もしくは2GB以上(Standard)
- プロダクトアクティベーション(ライセンス認証)のためにインターネット接続または電話回線
