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アドビ、ファイル結合や墨消し機能を備えた“Acrobat 8”ファミリーを発表

2006年09月19日 11時34分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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アドビ システムズ(株)は19日、PDFファイル作成ソフト“Adobe Acrobat”を2年ぶりにバージョンアップし、“Adobe Acrobat 8”として11月下旬以降に発売すると発表した。Acrobat 8ファミリーの主なパッケージと発売時期は以下の通り。

『Adobe Acrobat 8 Professional 日本語版』
『Adobe Acrobat 8 Professional 日本語版』のパッケージ
Adobe Acrobat 8 Professional 日本語版(Windows版/Macintosh版)
11月下旬出荷開始予定
通常版:5万7540円(アドビストア価格)など
Adobe Acrobat 8 Standard 日本語版(Windows版)
11月下旬出荷開始予定
通常版:3万6540円(アドビストア価格)など
Adobe Acrobat 3D Version 8 日本語版(Windows版)
2007年上半期出荷開始予定
通常版:13万5870円(アドビストア価格)など
Adobe Acrobat 8 Elements 日本語版(Windows版)
出荷時期、価格とも未定(2007年中予定)
Adobe Reader 8 日本語版(Windows版/Macintosh版)
12月無償提供開始予定
アドビ システムズよりプレスリリース訂正の連絡がありましたので、Adobe Reader 8 日本語版の提供時期を修正しました。 (2006/09/19)


個人向けとグループやチーム向けの2つの機能強化

今回のバージョンアップは、個人向けのPDF活用の支援と、グループやチームでのPDF活用の支援という2つの機能強化が図られている。

『Adobe Acrobat 8 Standard 日本語版』
『Adobe Acrobat 8 Standard 日本語版』のパッケージ

個人向けの機能強化点としては、

  • 起動速度の向上
  • 操作ガイドの搭載
  • ツールバーのカスタマイズ対応
  • PDF→Wordの文書ファイル再編集時にレイアウト再現性の向上

などが挙げられる。操作ガイドは、ユーザーが操作している状況に合わせて表示内容を変更するもので、ユーザーが目的に応じてメニューから選択し、操作手順を確認できる。Word文書のレイアウト再現性の向上は、PDFを作成したオリジナルのWord文書が手元にない場合でも、PDF文書からの再編集が容易になるという。特にWordにAcrobatを組み込んでタグ付きPDFファイルを作成していれば、レイアウト情報を共有できるためWordからのPDF作成を推奨しているが、仮にタグ付きPDFでなくとも構造情報を正しく解釈できるように改良しているという。

一方、チームでのPDF活用向けの機能強化点としては、

  • ファイルの結合とパッケージ化
  • 共有レビュー機能の強化
  • 墨消し機能の追加
  • PDFフォームによるデータ収集機能の追加(Professionalのみ)
  • OutlookのほかLotus NotesからのPDF作成、スケジューラーの書き出しに対応

などがある。ファイルを結合したPDFファイルの作成は従来から対応していたが、新たに結合されたExcelデータをExcelを別途起動せずにプレビューしたり、必要なシート/ページのみ選択してPDFファイルに結合できるようになった。例えば異なる工程の見積書を1つのExcelファイルに複数シートで作成した場合、ある工程を担当する企業には当該シートのみ選択してPDFファイルを作成・送信できるというわけだ。

また、複数の文書形式のファイルを1つのPDFファイルにまとめるパッケージ化をサポートした。これはPDF文書内ページに組み込まれる結合機能では、文書の差し替えが頻繁に起こる場面で不便というユーザーの声に応えたもの。

『Adobe Acrobat 3D Version 8 日本語版』
『Adobe Acrobat 3D Version 8 日本語版』のパッケージ

共有レビュー機能は、PDFファイルの校正・確認を共同で行なうための機能。AcrobatユーザーだけでなくAdobe Readerのユーザーでも参加できる。ファイルの置き場所はネットワーク上の共有フォルダーでよく、専用サーバーなどを立ち上げずとも容易に共有レビューが実行できる。また、レビュアーの意見を管理する“レビュートラッカー”(Acrobat 7から搭載)を改良し、ステータスが細かく見られるようになった。具体的にはレビューの個数、参加者数や参加者の一覧などが可能。

墨消し機能は、作成したPDFから他社に見せてはいけない(見せたくない)部分を削除するもの。一度墨消ししたファイルはアンドゥできず、当該個所はデータ自身から削除されるため元には戻せない。これは官公庁のユーザーから、“消したことを残すことに意味がある”というリクエストを受けて搭載したもの。メタデータ(タイトルや作成者などの付加情報)も検索対象として、当該文字列を一括墨消しすることができる。

PDFフォームによるデータ収集機能は、ユーザーに記入させたいフォームフィールドの作成を支援する機能で、入力フォームを一括生成できるというもの。文書中の罫線枠(空欄)やアンダーバーを自動検出して、当該個所に入力フォームを自動設定する。記入されたPDF文書から内蔵を効率的に収集・管理する機能も備える。具体的には、記入内容をCSVもしくはXML形式で出力できる。ただし、これは簡易的に入力フォームの作成・管理を行なうもので、大規模なデータ収集を行なう場合は別途サーバー製品を利用してほしい、としている。

今回のAcrobatのバージョンアップに合わせて、PDFの規格も1.6から1.7にバージョンアップし、対応するAdobe Readerが12月に無償提供される。


なお、同時に“Adobe Acrobat Connect”ファミリーを日本で販売開始することも発表された。これは従来『Macromedia Breeze 5.5』と呼ばれていた製品をリブランドしたもの。個人向けウェブ会議ソフト『Acrobat Connect』(日本では2007年発売予定で、北米では先行販売中)と、企業のトレーニングやセールス/マーケティングツールとして活用できるエンタープライズ製品『Acrobat Connect Professional』の2つがある。後者は12月中旬の出荷開始予定で、最小構成時の参考価格は約320万円(メンテナンス&サポートを除く)。旧Breeze時代には(株)セブン-イレブン・ジャパンに導入し、全国1万1500店で約21万人の従業員に、新商品の情報などを分かりやすく提供、といった実績があるという。

アドビ システムズよりプレスリリース訂正の連絡がありましたので、Adobe Acrobat Connect Professionalの最小構成時の参考価格を修正しました。 (2006/09/19)
『Acrobat Connect Professional』の画面 『Acrobat Connect』の画面
社員教育向けに蓄積した教材ファイルでの学習機能などを持つエンタープライズ製品『Acrobat Connect Professional』の画面個人向けウェブ会議ソフト『Acrobat Connect』の画面。日本では2007年発売予定

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