このページの本文へ

EMCジャパン、IT管理者向けカンファレンス“EMC Forum 2004 AUTUMN”を開催――“情報ライフサイクル管理”の導入を提案

2004年11月02日 22時52分更新

文● 編集部 小西利明

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
米EMCコーポレーション マーケティング&テクノロジー担当主席副社長のハワード・D・エリアス氏
米EMCコーポレーション マーケティング&テクノロジー担当主席副社長のハワード・D・エリアス氏

EMCジャパン(株)は2日、東京国際フォーラムにて同社とパートナー企業によるIT管理者向けカンファレンス“EMC Forum 2004 AUTUMN”を開催した。基調講演では米EMCコーポレーション マーケティング&テクノロジー担当主席副社長のハワード・D・エリアス(Howard D. Elias)氏により、同社が戦略として取り組む“情報ライフサイクル管理(ILM:Information Lifecycle Management)”の概念と、それに向けたストレージ製品やサービスについての講演が行なわれた。

情報ライフサイクル管理とは近年ストレージ業界を中心に使われ始めた概念で、情報が入力されてから利用、破棄されるまでの間に、情報の価値や使用頻度の変化に応じて、保存するストレージを変えていくというもの。入力されたばかりの情報は使用頻度が高いので、高速・高信頼性のディスクアレイに保存しておく。時間が経つに連れてその情報が利用されなくなっていけば、徐々に低速なストレージ(最終的にはテープデバイスなどの安価なバックアップメディア)に保存場所を変えていく。重要なデータに高速なストレージを優先して割り当てることで、ストレージシステムの利用効率を向上させられるわけだ。ハードウェアとしてのストレージだけでなく、複数のストレージをまたいでデータの移動を行なったり、保護や復旧、データの保存場所を把握・管理するといったソフト群も必要になるので、ハードとソフトおよび関連サービスが一体となって構成される。これらはストレージ業界がハードウェアのビジネスのみから脱却しようとしていることを示す現象であり、基調講演冒頭で同社代表取締役社長の中山隆志氏も、「ハードのプラットフォームプロバイダーから、ILMという視点でハードウェア、ソフトウェア、サービスを一体とする形で、今後ともILMのソリューションプロバイダーとして強力に(ビジネスを進めて)いきたい」と語った。



同社代表取締役社長の中山隆志氏 紙の小切手の処理を元にした“情報ライフサイクル管理”の概念図
同社代表取締役社長の中山隆志氏紙の小切手の処理を元にした“情報ライフサイクル管理”の概念図

エリアス氏は講演の初めに、EMCのビジネスがワールドワイドで非常に好調であり、8四半期連続で増収を達成したと述べた。そして「かつて我々のビジネスの75%は、ストレージハードウェアに集中していた。今は50%強がソフトウェアやサービスで構成されている。その根底にあるのが素晴らしいストレージハードウェアだ」として、同社のビジネスの中核が情報ライフサイクル管理の提供へと変化していることを示した。そして厳しいIT予算の制約のなかで増大する情報量に対応する手段として、情報ライフサイクル管理の導入が強力な戦略であるとした。

またエリアス氏は情報ライフサイクル管理実現への仕組みを4つのカテゴリーに分けて解説した。

階層ストレージ
データ保存のためのストレージ。データの種類や要求されるパフォーマンスごとに異なるストレージシステムが用意される
保護およびリカバリー
データのリモート管理や保護、バックアップのためのソフトウェア群
データの移動
データを適切な時期に適切なストレージへ双方向に移動するためのソフトウェア群
情報およびコンテンツ管理
データベースやファイルシステムの管理。データベース化されない文書や画像、ビデオ、オーディオなどのコンテンツ管理ソフトウェア
同社のラインナップするストレージ製品群。『Symmetrix DMX』シリーズは最高性能を要求される用途向けのストレージアレイ。『CLARiX CX』シリーズは中規模システム向けストレージアレイ。『NetWin』シリーズはエントリーレベルのNAS。『Centera』はユーザーによって参照はされるが変更はされないタイプのデータ(ビデオ、オーディオ、電子化文書等)を管理するのに適した“CAS(Contents Address Strage)”製品
同社のラインナップするストレージ製品群。『Symmetrix DMX』シリーズは最高性能を要求される用途向けのストレージアレイ。『CLARiX CX』シリーズは中規模システム向けストレージアレイ。『NetWin』シリーズはエントリーレベルのNAS。『Centera』はユーザーによって参照はされるが変更はされないタイプのデータ(ビデオ、オーディオ、電子化文書等)を管理するのに適した“CAS(Contents Address Strage)”製品

そしてこれらの4カテゴリーを統合して、一貫性のあるインターフェースで管理する“情報インフラストラクチャ管理”のためのツールも必要になると述べた。そして最後に、情報ライフサイクル管理の導入は環境を評価し、階層ストレージの導入から始めてアプリケーションごとに対応を進め、最後には全体を移行するといった、段階的に計画立てて行なうことを勧めた。

情報ライフサイクル管理の導入には、ユーザーのおかれた環境を評価し、きちんとした計画と段階的な導入が重要であることが、たびたび強調された
情報ライフサイクル管理の導入には、ユーザーのおかれた環境を評価し、きちんとした計画と段階的な導入が重要であることが、たびたび強調された

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン