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EMC、プレス・ラウンドテーブルを開催――米本社社長兼CEOのジョセフ・トゥッチ氏が出席

2004年12月01日 22時54分更新

文● 編集部 内田泰仁

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EMCジャパン(株)は1日、都内オフィスにてプレス関係者と来日中の米EMC社社長兼最高経営責任者のジョセフ・トゥッチ(Joseph M. Tucci)氏によるラウンドテーブルを開催した。参加した記者からの質問では、同社が製品戦略として掲げる“情報ライフサイクル管理(ILM:Information Lifecycle Management)”に関連した話題が多く取り上げられ、トゥッチ氏によって基本的なILMの概念、今後の展開などの説明が行なわれた。

米EMC社社長兼最高経営責任者のジョセフ・トゥッチ氏

トゥッチ氏は冒頭、2004年度のここまでの業績について説明。これによると、企業買収で傘下に入った企業の実績を除く2004年度の売り上げは対前年比プラス約20%、買収分を含めた実績はプラス30%以上になっているといい、同氏はILMというコンセプトが広く受け入れられた成果だとしている。また、ミドルレンジ製品が急激に成長中で、前年比50%以上の見込みだという。

今回のプレスラウンドテーブルでは、ILMに関する質問が多く出たが、トゥッチ氏はILMを「(EMCにとって)戦略であり、ビジョンであり、現実に存在する製品でもあり将来に向けた大きな旅路でもある」と表現、同社による現在および今後の重要なテーマであると位置付けるとともに、その基本構造を、ストレージ、保護およびリカバリー、データの移動性、情報/コンテンツ管理の4つからなる“階層ストレージ”構造とした(ILMの詳細な概念説明はこちらの記事に詳しい)。また、ILMによる効果としては、データの迅速な移行と可用性の向上、管理の一元化などを挙げている。

ILMの進展に向け、現在の製品に追加して今後さらに必要だと考えている機能について問われたトゥッチ氏は、“情報のための情報”つまりメタデータを持った状態でのデータ保存が必要になってくると述べた。ILMは、情報の価値や使用頻度の変化に応じて、保存するストレージを変えていくことを最大の特徴としている。メタデータの活用により、現在以上に管理者/管理部門がデータの性質を把握しやすくなっていくとしている。

また、企業に対して従来紙での保存が義務付けられている財務/税務関連の文書を、電子データして保存することを認める法律、“e-文書法”(“電子文書法”とも。正式名称は“民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律案”)に施行(2005年4月)をにらんだ日本のストレージ市場の動きはあるのか、という質問が出されたが、これに対しては、日本に限らずこのような法令が施行される動きは世界的に似通っており、各国、各地域で同じようなニーズが拡大しているという。

トゥッチ氏が社長に就任(2000年、当時は最高業務執行責任者を兼任、2001年からは最高経営責任者を兼任)して以来、同社ではソフトウェア開発会社の企業買収を積極的に進めており、代表的な事例としては、バックアップ/リカバリーソフトウェアを持つ米レガートシステムズ(LEGATO Systems)社、エンタープライズ向けのドキュメント管理ソフトウェアを持つ米ドキュメンタム(Documentum)社、サーバーおよびクライアントの仮想マシンソフトウェアを持つ米ヴイエムウェア(VMware)社などがある。

現在EMCでは、自社で約5000人のエンジニアを抱えているというが、トゥッチ氏は、「いかに多くの優秀なエンジニアがいたとしても、ありとあらゆるアイデアが生み出されるわけではなく、すべての製品が迅速に最適なタイミングで市場に投入できるわけではない」と考えているという。そのため、中小規模の優秀な開発会社への投資や企業買収は、EMCの製品/コンセプトを強化する製品や技術の補強を目的としたものだと述べており、ILMにおいても、EMCが従来より持つ技術に加え、レガートやドキュメンタムが持つ技術も大きく取り入れられているという。

なお、企業買収に関連して、今後どのようなセグメントの企業の買収を検討しているかという質問も出されたが、これについては「(ストレージ関連市場においては)セグメントごとのプレイヤー(=企業)の数は必ずしも多くない」ため、セグメントについて公の場で言及してしまうと、そのセグメントの企業の株価に与える影響が大きくなってしまうので、具体的なコメントはできないとした。

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