より使いやすくなった編集・フォトレタッチ機能
DIP9では本来の機能に関しても、ユーザーインターフェイスの強化をはじめ、新機能の追加や機能強化により大幅にパワーアップしている。特に目立つものは、「輪郭トレースツール」「スマート除去」「ブレンドブラシ」などの編集・レタッチに関する新機能だ。
画面4 “輪郭トレースツール”。幅太の線により輪郭を大まかになぞるだけで、選択範囲の指定をラクラク実行できる。画面左はなぞっている最中で、画面右はツール適用後。輪郭を判別する幅の太さはユーザーが任意に変更可能だ。 |
輪郭トレースツールは範囲指定ツールの一種で、マーカーのような太い幅のラインでデジタルイメージのアウトラインをおおまかになぞると、なぞった部分の輝度や色の濃淡から境界線を自動的に設定してくれるものだ(画面4)。切り抜きの範囲指定は時間を要する面倒な作業だけに、この機能の搭載は歓迎したい。
画面5 スマート除去ツール。消し去りたい対象を囲んで塗りつぶしボタンを押すだけで、その対象を除去できる。 |
続くスマート除去ツールは、デジタルイメージの中から不必要な要素を除外できる機能である(画面5)。選択範囲を指定して「塗りつぶし」をクリックすれば、あとは自動的に周囲のイメージを使って不必要な領域の要素を塗りつぶしてくれる。顔にできたニキビや車についてしまったキズも、本ツールを使えばそのエリアを囲むだけでカンタンに修正できるのだ。なお、除外したい要素の面積が大きい場合には塗りつぶす部分のつじつま合わせが難しくなり、修正時に逆にゴミが発生する場合もある。どちらかというと、小さな傷を修正するのに向いているツールといえよう。前述の輪郭トレースツールにも言えることだが、必ずしも万能ではない点にご注意いただきたい。
画面6 デジタルイメージの一部をブラシパターンとして使用できるブレンドブラシ。ここでは空の色を参考に電線を消しているが、ほかにもさまざまな使い道がある。 |
最後のブレンドブラシツールは、デジタルイメージにおける情報の一部をブラシパターンとして参照、ペイントできる機能だ(画面6)。ペイントした部分はオリジナルの画像との違和感を小さくするため、ツール名にもあるようにブレンド処理が行われる。スマート除去ツール同様、傷の除去などフォトレタッチに効果を発揮する。
ほかにもデジタルイメージをボケた感じに処理する「ガウス(ぼかし)」、デジタルイメージにおけるコントラストを高めることでシャープに見えるようにする「アンシャープマスク」、傾いた写真を即座に修整する「傾き補正」(画面7)など、さまざまな機能強化が図られている。
画面7 撮影時のミスなどにより傾いてしまった写真を補正する傾き補正機能。水平もしくは垂直になる線を引きボタンを押すだけで効果を適用できる。 |
競合ソフトに対するDIP9の強み
競合ソフトとなるフォトレタッチソフト「Adobe Photoshop Elements 2」となる。写真をクリックすると当該レビュー記事に移動します。 |
アドビシステムズの画像管理ソフト「Adobe Photoshop Album」。 |
価格は1万2800円。店頭での価格は1万円前後だろう。今回のバージョンアップにより、デジタルイメージの管理からレタッチ、出力と、このパッケージひとつでデジタルイメージの処理全般に対応できるようになった。すべてを1つのソフトでまかなえるのは大きな魅力といえよう。
価格・性能面で競合する製品としては、アドビシステムズの「Adobe Photoshop Elements 2」などが挙げられる。Photoshop Elementsは初心者~中級者層をターゲットにしたフォトレタッチ・デザインソフトだ。Photoshop譲りの強力な編集機能を有するが、フォトレタッチ・デザインを目的としたソフトだけにデジタルイメージの管理は内蔵のファイルブラウザのみ。アドビではデジタルイメージの管理ソフトとして「Adobe Photoshop Album」を用意してはいるが、これは市販のパッケージソフトなので別途購入する必要がある。デジタルイメージを扱う総合環境を求めるなら、DIP9にアドバンテージがある。
Microsoft Digital Image Pro 9の主なスペック | |
製品名 | Microsoft Digital Image Pro 9 |
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CPU | Pentium-700MHz以上 |
メモリ | 256MB以上 |
HDD | 350MB以上 |
対応OS | Windows 98/Windows Me/Windows 2000+SP3以上/Windows XP |