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【レゾナント特集 Vol.3】NTTが描く未来は“誰でも参加型コミュニティ”?

2003年03月31日 00時00分更新

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レゾナント・コミュニケーションにおける、高速な双方向性の重要さは理解できた。しかし、ビジネスのIT化の波は数年前からすでに訪れており、今も盛んに訴える企業CMなどが流されている。そうした既存のITビジネスと、レゾナントの違いは具体的にどこにあるのだろう。“リテラシーフリー”(専門知識不要)という言葉の裏側を探ってみよう。

[遠藤] インターネットで情報発信とかコミュニケーションという話になると、途端に敷居が高くなりそうですが、先ほどのコンピュータおばあちゃんのように、予備知識がなくても、明確な目的があれば、実は簡単にパソコンを使い始めるようになりますよね。これは最近取材した話なのですが、女性がパソコンに転ぶ(使い始める)きっかけは、お受験の時期だそうです。かつては大学生が就職直前に始める、と言われてましたが、今は受験情報などの生の声を集めるために、その時期になるとITリテラシーが一気に上がるそうです。それまでは、家で旦那さんの隣に座ってホームページを一緒にみてるくらいだったのに、自分から受験関係のコミュニティーサイトを探したり、メールでお友達と情報交換したり、パソコンを急速に使いこなし始めるそうです。就職関連では、面接官の印象などをお互いに持ち寄って意見交換しあうサイトもありますよね。
米川 達也氏
[米川氏] 企業がインターネットで面接を始めているところもあります。特にTV電話機能で顔が見えるようになると、いちいち決まった時間に、決まった場所に集める必要がないんです。面接だけじゃなく、占いにも使えるそうですね。有名な占い関係の方に、最近TV電話で相談していたのですが、彼ら(占い師)もいずれはSOHO型のビジネスに乗り出したいと考えているようです。その際に重要なのが、相手の表情が見えることだと言われました。
既存の商売の融合化モデル
ブロードバンドによる、既存の商売・商店同士の融合モデル
[遠藤] 私もその方には、パソコンとは全然違う理由でお会いしたことがありますよ。その占いを行なっているそばのファッションタウンのことをすごく真剣に考えられていて、いろいろ相談に乗ったりしているんですよね。で、数坪くらいの小さなお店のオーナーも、インターネットでビジネスができないかと感じているんだと。ところが、いまあるようなインターネット・ショップを運営するのは大変ですよね。そこで、たとえば、専用のレジにケーブルでデジカメが繋がっていたらどうか? と。これには、私は感動しましたね。つまり、商品が入荷したらポンポンと入荷データを入れる。そこで、商品を撮影するとそれが在庫データにそのまま入る。在庫データは、自動的にウェブに反映されるという仕組みです。お店で商品が売れてレジをポンと叩いたらウェブからも在庫が1個減る。ウェブで商品が売れたら在庫が1個減って、店員さんが梱包して郵送する。そういう、“ウェブレジスター”ともいうべきものができないものかと……。それくらいのリテラシーで、インターネットは“見るだけでなく活用できるべき”だと。
[米川氏] そのとおりですよね。でも、せっかくのビジネスアイデアや意欲があるのに、“道具”や“環境”が足かせになって進めない、というのも多いと思うんです。そこは今後の課題だと認識していて、ビジョンの中でも、“誰にでも簡単に、安心して使っていただける”ということを1つのポイントとしています。そのために私たちは、今、いろいろなビジネスのアイデアを持っているパートナーの方々と、ビジネスモデルと技術(道具立て)の両面でトライアルを行なっているんですね。

豊富にアイデアのある人たちとの対話を通じてブロードバンドの新しいビジネスを創造するとともに、ビジネスを支える使いやすい道具立ても試しています。具体的には、この特集の1回目、2回目で取り上げていただいていますが、ブルーノート東京のライブ映像をホテルに配信して、ホテルのディナーに付加価値を出したり、FOMAとパソコン間でTV電話を実現して、お客さまとオペレーターが互いに顔を見ながら応答することで占いやカウンセリング(相談)などの新たな対面型サービスを探る、あるいは300万画素の高精細なデジタルカメラで1時間ごとに定点撮影した映像を束にして配信するといったもので、“既存ビジネスを発展”させたり、“新規ビジネスの創出”を探っています。このような取り組みで得たことを水平的にほかのビジネス分野に展開できるものとして、提示していこうと考えていますし、私たち自身の新しいサービスメニューにつなげたいと思っています。

これらのプロジェクトに共通するのは、NTTが背後の仕組みをなるべく簡単に、利用しやすい形態で用意するので、お店の方、好奇心旺盛な主婦や高齢者、オンリーワン技術のある中小企業の皆さん、あるいは今のビジネス形態に伸び悩みを抱えている多くの企業の方に、“一緒に光ブロードバンドで新たなビジネスチャンスを見つけませんか”“皆さんの持ち味を存分に生かして販売の拡大につなげていきませんか”、というビジネス参加への呼びかけなんです。ブロードバンドは単に高速で快適なウェブブラウズを実現するだけでなく、日本の産業・経済活動を元気づける原動力(エンジン)になりうる、NTTはレゾナント・コミュニケーションでその点を訴えていきたいのです。
遠藤と米川 達也氏

――米川氏の話は、決して高所から見下ろしたような現実離れしたものではなく、今まさに訪れようとしているブロードバンド社会を、どうやって一過性のブームに終わらせず、ビジネスチャンスとして利用するかを考えていることがわかる。家庭やSOHO、個人商店などの誰も気軽に参加できるような仕組み、あるいは企業がIT化・光ブロードバンドを単なるイメージではなく、実際にビジネスを拡大・展開するために“有効なツール”として利用するための手段を、さまざまなテストケースを重ねながら探っているわけだ。情報を囲い込むのではなく、進んで情報を発信した人にこそメリットが返ってくる、そんな明るいインターネット時代がすぐそこまで来ているのかもしれない。

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