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“オープンソースウェイ”レポート

2002年12月25日 22時48分更新

文● 編集部

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本間・小松法律事務所の弁護士である小松弘氏は、GNU GPLなどのオープンソースソフトウェアライセンスの国内法規との整合性について、実際にソフトウェアを開発する場合に問題となるポイントを中心に解説した。

本間・小松法律事務所の弁護士である小松弘氏本間・小松法律事務所の弁護士である小松弘氏

GPLのソフトウェアとほかのライセンスのソフトウェアをマージする場合、相互のライセンスの整合性が問題となる。小松氏によると、GPLと整合性のあるライセンスには、

  • ライセンサーによる一方的なライセンス終了事項がないこと
  • 改変部分の公表を強制しないこと
  • 変更されたバージョンの配布を制限しないこと
  • ライセンス料を徴収しないこと

などが必要になるという。一方、GPLのソフトウェアとそうでないソフトウェアをマージする場合、新しいソフトウェアのライセンスにはGPLが適用されることになるが、マージされたソフトウェアを再び個別に配布しようとすると、GPLのソフトウェアから取り出したコードにもGPLが適用されるため、元々GPLではなかったソフトウェアもGPLに“感染”してしまうといった問題があるという。

GPLの“魔女算術”
GPLの“魔女算術”。GPLのソフトウェアとそうでないソフトウェアを組み合わせたソフトウェアがGPLで公開されているとき、GPL部分を切り離したとしても、GPLでない部分にもGPLが残り続けるという

そのほか、GPLの問題点として、

  • GPL V.3のASP条項と現行のGPL V.2との整合性がない
  • GPLにユーザーが同意していることを確認できない
  • 日本の裁判所法で、日本語を使用することが規定されている(74条)が、GPLは英語なので日本の裁判で利用できない
  • 消費者契約法に基づき、GPLの無保証条項が無効になる可能性がある(8条、10条)

といったことがらを指摘。最初の問題については、GPLを表示する「GPL Legend」から、GPL V.2以降のライセンスを適用することを表わすオプション部分を削除することで対応できることが説明された。そのほかの点については、これまで日本にはGPLに関連する判例がないことなどから、今後の検討課題として残されているとした。

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