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BBテクノロジー、事業戦略を発表――有線テレビ放送サービスを開始

2002年11月13日 21時37分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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また孫氏は、BBテクノロジーの事業戦略について説明した。

孫氏は、「ブロードバンド技術により、すべての家庭でさまざまな情報を安価に楽しく気軽に活用できる時代がやってこようとしている。ブロードバンドらしいキラーアプリケーションとしてBBフォンを開始しているが、それに加え今後BBケーブルTVサービス開始する。電話回線を通じてIP技術を利用した本格的なブロードバンドによる放送がもうじき始まろうとしている」

ユーザー獲得数
今年1月1日から昨日現在までの各社の1日当たりのADSL新規ユーザー獲得数をグラフ化したもの。黒い棒グラフがYahoo! BBの数値で、黄色は棒グラフを平均化したもの(出所:NTT総務省初表、他は推定値)

「われわれの1日当たりのADSL新規ユーザー獲得数は、昨日現在で約1万人だ。すごい勢いで伸びてきている。2ヵ月前は5000人くらいだった。2ヵ月で倍増している。他社の1ヵ月分がわれわれの数日分だ」

加入者数
Yahoo! BBの商品別累積加入者数の推移

「われわれは本格的な純粋IP電話“BBフォン”を提供した。エンドtoエンドで100%IPだけで、従来の電話機を利用してハイクオリティーな音質を出せるというのは世界で初めて。現在77万ユーザーがBBフォンを使っている。他社はADSLサービスのみを提供しているが、われわれの商品はADSLに加えBBフォンがセットでついている。商品の中でもADSLサービスとBBフォンがセットになったものが大きく伸びている。特に12Mbpsユーザーは先月までで20数万人だったが、現在は32万人、申込ベースでは44万人だ」

加入者数シェア
単月加入者増加数シェア(出所:NTT総務省初表、他は推定値)

「累積数ではすでに日本一だが、単月当たりの新規獲得シェアも10月で47%になった。4月は12%だった。今月はさらにシェアが伸びる。50%を超えるだろう」

解約率
サービス解約率の推移(出所:NTT総務省初表)

「解約率は他社と比べてもいちばん低い。1%前後だ(3月と4月は引越しシーズンのため若干上昇)。解約率が究極の顧客満足度調査だ。解約の半数は引っ越しによるもの。解約しなくても引越しできるようなサービスの準備を進めている」

他社との価格比較表
他社との価格比較表

「他社と価格を比較すると、ADSLサービスとISPサービスの合計は他社が平均4100円、われわれは2280円。だが大事なのは通信費用のトータルコストで、われわれの電話通話サービスは平均1100円程度、通常の音声通話料金は平均4000円だ。われわれのほうがトータルで年間5万~6万円安くなる。われわれのサービスはADSLに加えBBフォンがセットでついてるので通話料が安くなる、これが決定的な差別化だ。なおダイヤルアップサービスと比較すると、日本は先進国では珍しくブロードバンドのほうがナローバンドより安いという国。一方ダイヤルアップは先進国の中でいちばん高い。ナローバンドユーザーはブロードバンドに変えたほうがコストも一気に安くなる。特にわれわれのサービスに変えると年間10万円安くなるだろう」

「BBテクノロジーの事業は、ダークファイバーベースのピュアIPネットワークによりインフラそのものが低コストで設計されている。世界で最も進んだネットワークだ。全国を独自の光ファイバー網で結びギガビットのIPネットワークを構築している。一方他社はATM(Asynchronous Transfer Mode)を使っている。10年前に出来上がっている技術であるATMを利用して、それにADSLを乗せるのは容易だ。ATMで提供するサービスはナローバンドに比べると改善したものにはなっているが、われわれのように革命的なサービスは提供できない」

「今年春までYahoo! BBに注文をいただいても半年お待たせしてご迷惑をかけた。根本的な原因は、これまで存在しなかった光ファイバー網による完全IPネットワークを設計/構築したため、構築に想像以上の手間暇がかかったことにある。しかしお待たせした分だけ革命的なサービスが提供できる。遠回りだが新しいネットワーク網の設計にこだわったのは、世界初の完全な音声クオリティーのIP電話を提供したかったからだ」

「BBケーブルTVもこのネットワークのおかげでDVDやハイビジョン並みの映像を提供してもビクともしない。マルチキャストでこのような規模でサービスを提供できるのはわれわれだけだ。このために最先端ネットワークにこだわって作った。われわれが提供したかったのは、従来のナローバンドインターネットを少し速くするということではなく、IP電話やテレビ、モバイルなど本当にブロードバンドらしいキラーアプリケーションを提供したかったからだ。だからネーミングもYahoo! ADSLなどではなくYahoo! BBとした」

「BBフォンは、電話機は現在使っているもので、電話番号もそのままで利用できる。パソコンを立ち上げる必要がなく、音質も高音質(QoS)だ。さらに障害時には自動的に迂回してNTT回線経由で通話できる迂回機能もある。110番や119番といった緊急電話やフリーダイヤル、携帯電話にもつながる。他社もIP電話サービスを提供しているが、現在の電話番号をそのまま利用できる機能や障害時迂回機能などはわれわれが特許出願済だ。BBフォンユーザーは年内には100万人を超える。さらに来年の早い時期に200万人を超えるだろう」

「トリオモデムは、専用無線カードを差し込むだけで無線LANルーターに切り替わるもので、1台でADSLモデム、IP電話、無線LANルーターの3役を兼用する。われわれは自らオリジナル技術を利用して機器の設計開発を行なっており、他メーカーからモデムを購入している他社とは差がある」

「ADSLは一時的なサービスで、いずれは光ファイバーになるという人がいるが、ADSLでハイビジョン並みの画質の映像や音楽を安価に提供できるなら、しかも電話回線を使ってテレビで利用できるなら、光ファイバーでなければ利用できないサービスなどあるのだろうか。ハイビジョン以上のリッチコンテンツはない。それがADSLで提供できる。これ以上何が欲しいのか。私は自宅で100Mbpsの光ファイバーと12MbpsのYahoo! BBの両方を使っているが、体感速度は同じだ。0.1秒で表示するのと0.01秒で表示するのとでは肉眼ではほとんど差がない。だったらADSLでほとんどのユーザーは十分ではないか。技術進化により、家庭のメタル線は強力なネットワークとなった。今までは活用できなかっただけだ」

「ADSLがブロードバンドの主役だ。韓国は3年半でブロードバンド世帯普及率が70%になったが、日本もそうなって不思議ではない。米国ではあまり普及していないが、米国ではナローバンドよりブロードバンドのほうが高い。韓国はナローバンドもブロードバンドも同じ金額。日本はこの間まではブロードバンドが1万円したが、現在はナローバンドが7500円、ブロードバンドは2280円で提供できる。今後3年のうちにナローバンドに残っているような不思議な人はいなくなるだろう。水は必ず高きから低きに流れる。高いナローバンドサービスから安くて性能のいいブロードバンドサービスに皆が変わるだろう」と語った。

どうやって儲ける?

また孫氏は、BBテクノロジーのビジネスモデルについても説明、「われわれのサービスは安すぎて、どうやって儲けるのかと聞かれるが、実はわれわれの1顧客当たりの平均収入は現在約3700円でどこよりも高い。ADSLサービス自体は安いが、BBフォンや無線LANなどを合わせて複合サービスとしてみると事業としてまんざらではないのだ。NTTはADSLと電話は別事業、イー・アクセスやアッカは2000~3000円前後だろう。われわれは世界で最も進んだIPネットワークを構築してサービスを提供したいるため、他社と同じユーザー数を獲得してもいちばん儲かるのだ」

収入の仕組み
収入の仕組み
コスト構造
コスト構造。総費用のうち、変動費が売上高の50%程度で、固定費は月間40億円、顧客獲得費用は1ユーザー当たり2万円程度。なお固定費の設備投資はほぼ終わったという

「ようやくビジネスターゲットの見通しが出来上がった。損益分岐点は200万ユーザーで達成する見込みで、あと数ヵ月で達成できるだろう。われわれはサービス開始後1度も値段を下げておらず、平均単価は毎月上がっている。もうじき4000円になるだろう。単月黒字化は来年度実現できる見通しが立った。資金調達もすべて目処が立っている。手探り状態のステージを越えた」

「インフラ事業は数がすべて、シェアがすべてと言っていい。数が少ないと話にならない。数をもって量産効果を出すとさまざまなサービスが揃い、割安効果が出てくる。今年春までは混戦模様というより苦戦していたが、BBフォンのスタート以降変わった。現在は成長期だ。ソフトバンク・グループが目指すのはブロードバンドNo.1企業。ライフスタイルを新しく提案する企業集団でありたい」と語った。

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