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Biz Express Focus “Ready for e-business”

2002年06月07日 14時00分更新

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 ワンマーケットではOSにLinux、データベースにIBMのDB2を用いたECソリューションを提供している。

図2 OneMarket PowerEC概念図

 製品構成は、低価格初期導入モデルのAdvantage、専有サーバを使用するPremium、Premium Deluxe、ハードウェアごとパッケージとして購入するEnterpriseの4種類がある。Enterprise版以外はASPでの提供となるため、サーバなどハードウェアのメンテナンスに煩わされたくない企業や、社内にハードウェアの専門知識を持った人がいない場合に適している。

 OneMarket PowerECは、オブジェクト指向のECソフトウェアで、基本エンジンに必要に応じてさまざまな機能を提供するオプションモジュールを追加してユーザーに適したECサイトを構築する。

 扱えるECの形態は、B2C、B2BおよびOne to Oneマーケティングなどで、OneMarket PowerECの最新バージョンでは携帯電話などのモバイルにも対応できるようになるという。

 サイトのGUIについては、すべてHTMLテンプレートの形で用意されているので、その中から必要なものを選んで使ったり、またテンプレートそのものをカスタマイズして独自の設計が施せる。オプションモジュールとHTMLテンプレートにより迅速かつ柔軟なサイト構築が可能にもかかわらず、ECサイト構築に関する専門知識を必要としないのもこの製品の特徴である。

 eビジネスを展開するうえで欠かせないのは、何よりシステムの安定性である。OneMarket PowerECは、基幹部分のマーチャントエンジンは、バグなどの問題でもない限り変更しない。新機能はすべてオプションモジュールとして追加するため、マーチャントエンジンは実績を積むほどに安定化する。つまりASPなどでの使用実績がそのままOneMarket PowerECという製品の信頼性に寄与するのだ。

 また、オープンソースのLinuxを使用しているため、OneMarket PowerECになんらかの不具合が見つかった場合に、OSのソースにまで遡って原因を追求できることもこの製品の強みだ。柔軟なカスタマイズが可能で、なおかつ堅牢性を維持できるシステムである。

セキュリティ対策

 eビジネスを展開するうえで問題となり、また多くの人々が気にしつつもなかなかはっきりとわからないのがセキュリティの問題である。ワンマーケットもその点の問題は十分に配慮しておりいくつかの対策を施している。インターネット通信におけるサイト攻撃やウィルスなどの一般的な問題はどのASPやISPも似た対策を施していると思われるので、主にOneMarket PowerECという製品特有のセキュリティ対策についてみることにしよう。

 まずOneMarketは、データをDB2に格納することでIBMの提供するDB2のセキュリティ機能によってデータを保護している。たとえば、データベースの操作は直接DB2とデータベースマネージャを経由して行い、通信にはDB2の持つ暗号化機能を利用している。これによってHTTP通信に伴うリスクを避けている。

 また決済面において、支払いは済んだが品物が届かないとか、支払いの入金確認ができないなどの問題がある。これらは必ずしもOneMarket PowerEC側だけで対処できる問題ではないが、OneMarket PowerECを通して行われたあらゆる決済履歴の明細をユーザーに公開することで、ユーザー側からも常に取引の詳細を確認できる仕組みになっている。

世界はひとつのマーケット

 OneMarketというネーミングは「世界はひとつのマーケット」という考えから付けられたものだ。OneMarket PowerECを使用しているユーザーもその辺をよく理解した利用形態が見受けられる。

 ShockwaveではOneMarket PowerECを用いたダウンロード販売やRPGの課金システムを作っている。

 家具店などがオンラインショップを開くことで店舗スペースを増やすことなく販路を広げる手段として利用している。

 また、OneMarket PowerECを用いてWebサーバ上に販売拠点となる各国の言語で書かれたショッピングサイトを展開して、世界各国からの注文を一手に受け、商品は最寄の倉庫から発送するというビジネスを展開している例もある。OneMarket PowerECのマーチャントサーバは多言語、外国通貨決済にも対応しているのだ。

 このようなサイト運営は今後のeビジネスにとって示唆的であると思われる。たとえば、店舗はWeb上に持ち、在庫は倉庫費用の安い海外に置いて、そこからFedExなどのデリバリーサービスを使えば、日本のような高い物流コストや店舗費用を圧縮できる可能性があるからである。OneMarket PowerECとは、つまるところ調達、在庫、販売管理最適化のための選択肢を地域レベルから一挙に世界レベルに広げられる道具なのである。

 

■eビジネスの今後

 今回の取材で、異口同音にeビジネスの発展にはまずeビジネスへの信頼が成立しなければならない、という言葉を聞いた。紹介したECシステム関連製品は、いずれもこの課題をクリアすべく開発されている。そして、その信頼性、堅牢性、低コストを実現するためにLinuxが採用され、またLinuxを積極的にサポートしているIBMのミドルウェア製品群が利用されている。

 事例紹介でも触れたように、eビジネスへの参加は、すべてを新規に行うよりも、すでにあるビジネス、特に部内での調達システムや、卸しなどの大量売買などからの参入が有効ではないだろうか。これらは、顧客側の抱える不安定要因(リピート率や流行の変化など)が少なく、対投資効果を比較的確実に予測できるからである。

 まったく新しいビジネスを新しい技術を用いて展開するというのは、いってみれば二重にリスクを背負うということである。まずは、従来のビジネスに新しい技術を適用して、その中から新たなビジネスの可能性が開けてくるのではないだろうか。

 IBMとそのパートナー企業は、Linuxを介して、新ビジネスのためのさまざまな製品を価格、性能面において広範にカバーし、提供している。まずは、お持ちのビジネスプランを気軽に相談することから始めてみてはいかがだろうか。今回紹介したソリューションと関連企業の情報は、こちらのサイトからアクセスできる。

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