今年1月Linuxについての4社協業による成果としてエンタープライズに向けたLinuxカーネル機能強化が発表された。今回はその協業4社の内の1社である日本IBMとそのパートナー企業のeビジネス展開を取材した。
Linuxは誕生してから目ざましいスピードで成長を遂げたサーバOSとして注目を浴びてきた。現在その存在は単なる「インフラストラクチャー」ではなく「eビジネス」を支えるべき主柱となってきており、その兆候は全世界で見ることができる。
たとえば、「モルガン・スタンレー」「マクドナルド」「クレディ・スイス」「アマゾン・ドットコム」「ワーナー・ブラザース」をはじめとして大手銀行や通信会社がLinuxを採用し始めている。その使用も単なるプリンタ/ファイルサーバやメールサーバといったものから、基幹業務に密接に関係したDBサーバやECサーバ、スーパーコンピューティングクラスタからERP、CRM、SCMとまさにeビジネスの中核で使用されはじめている。
IBMではeビジネス構築のため豊富なLinuxベースのハードウェア、ソフトウェア、サービスを提供している。特にソフトウェアはeビジネス構築には欠かすことのできないビジネスアプリケーションの原動力であり、堅牢で優れた柔軟性を持ち、豊富な機能を提供している。
Linux開発者への朗報 -Eclipse
写真1 WebSphere Studio |
Webサービスとは、インターネット上で公開されているアプリケーションを人手を介することなく、動的に結合し利用できるサービスだ。たとえばインターネット上のホテル予約システムや航空機予約システムと社内イントラネットの出張申請システムをWebサービスで連携させると、出張の行き先や日程を入力するだけで、出張に必要な予約と出張申請の両方を自分のPCから同時に行うことができるようになる。つまりアプリケーションレベルでの連携が途中に人手を介することなく可能になるわけである。
EclipseはLinux開発者にとって多くの利点がある。そのひとつは、ベンダー各社が持っているツールの長所とEclipseプラットフォームを連携させ、このプラットフォームをさらに洗練された業界標準の開発プラットフォームへと進化させることができる点である。もうひとつの利点は、Eclipse SDKだ。このEclipse SDKを用いてプラグインを開発することにより、開発者は好みの機能をワークベンチに追加していくことができる。EclipseをベースにしているWebSphere Studio Application Developerは、SOAPやWSDLなどの最新のWebサービス標準技術に対応したアプリケーション開発機能を備えている。ウィザードによる対話形式の開発が可能であり、Webサービスに関する詳細な専門知識を必要としない。単なるデータベース連携にとどまらず、EJBによるトランザクション管理にも対応した新しいWebサービスを容易に作成することができる。さらに、EJBのテスト用クライアントアプリケーションの生成、Webサービスの活用に必要なUDDIビジネスレジストリへの公開など、Webサービスに必要な開発機能をエンド・ツー・エンドで提供し、Webサービスの実現を強力に支援している。また、J2EE、XML、HTML、携帯電話やPDA用のコンテンツなど、多様なWebアプリケーション開発に対応している。
Linuxでの効果的なオファリング -
DB2 for Linux
写真2 DB2 for Linux |
DB2は多くの主要なOSに対応した歴史ある堅牢なDBマネージメントシステムで、各OS間で同じ機能、同じ操作性を実現したマルチプラットフォーム対応の製品である。Linuxは安定性と機能性の面で他のプラットフォームに劣らないことが確認されており、DB2の安定性とあわせることで、極めて強固なDB環境を構築できる。処理速度の面でもDB2 for Linuxは100Gバイト TPC-Hベンチマークで世界最高のパフォーマンスを打ち出している。
今回発表された製品は、インテルベースのLinuxマシン専用の製品であり、従来の複数プラットフォーム対応の製品に対して、料金面で大変有利(初年度のライセンス料が約半額)になっている。対象製品はエンタープライズ・エディションとワークグループ・エディションの2つ。
このようにDB2 for Linuxは、性能、安定性、価格のすべての点において高いパフォーマンスを提供している。
Linuxソリューション
全世界で2600を超えるWebSphere、DB2、LotusやTivoliをベースにしたソリューションが準備されおり、日本でも多くのISVがLinux上でのソリューションを取り揃えている。
今回はその中から2つをピックアップして紹介する。