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米スリーウェア、シリアルATA RAIDカードを9月に発売

2002年05月14日 23時37分更新

文● 編集部 佐々木千之

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ATA RAIDカードの開発・製造を手がける米スリーウェア社(3ware,Inc.)は14日、都内で記者発表会を開催し、シリアルATA12ポートを備えたRAIDカード『Escalade 7C80』を9月に発売すると発表した。RAIDレベルは0、1、5、10(※1)、およびJBOD(※2)をサポートする。価格は15万円程度の見込み。販売は、国内代理店の(株)アスクを通じて行なう。

※1 RAID 10:2台のHDDをミラーリング(RAID 1)したディスクアレイを複数用意し、それらをさらにRAID 0によってまとめたもの。RAID 1+0ともいう。

※2 JBOD(Just Bounch of Disks):接続された複数のHDDを1つの大きな仮想HDDとして扱う機能。HDDの障害に対応する機能やディスクアクセスの高速化機能はない。

米スリーウェア社、日本事務所代表の橋本博文氏
米スリーウェア社、日本事務所代表の橋本博文氏

米スリーウェアはHDD関連の技術者が集まって1997年2月に設立したベンチャー企業(本社:カリフォルニア州マウンテンビュー)で、廉価なATAインターフェースのHDDを使用してSCSI HDD並みの信頼性を持ったRAIDシステムを目指しているという。米国外ではドイツと日本に事務所を持っている。スリーウェアの製品ラインアップとしては、“Escalade(エスカレード)”と、“Palisade(パリセード)”の2つがある。

シリアルATA RAIDカードの動作デモンストレーション
シリアルATA RAIDカードの動作デモンストレーション。4台のHDDを接続している。データ転送速度は毎秒100MB以上という(ディスクアレイの構成はRAID 0)

EscaledeはHDDとのインターフェースにUltraATA(33/66/100/133)を採用したPCIカード(64bit/32bit)で、OS側からはSCSIディスクシステムとして認識される仕組みで、ディスクアレイからの起動もできる。PalisadeはHDDとのインターフェースはEscaledeと同様UltraATAだが、iSCSI(※3)に対応したネットワークストレージ製品となっている。米スリーウェア日本事務所の橋本博文氏によると、EscaladeシリーズにはUltraATAのポートが2、4、8ポートの製品があるが、欧米ではビデオコンテンツに関わる企業で8ポート製品が多く使われているという。

※3 iSCSI(SCSI over IP):IPネットワークを通じてSCSI機器を利用できるようにする規格。SCSIのコマンドをIPによってカプセル化する。

スリーウェアのコントローラーカードは、独自に開発したASIC(特定用途向けIC)を搭載し、RAIDカード上の各UltraATAポートに独立してデータアクセスできる“ストアスイッチ”機能を持っている。これは、ネットワークスイッチ製品のパケット交換技術を応用したもので、同社の特許技術であるとしている。SCSIやファイバーチャネルでは、複数のHDDでバスを共有するため、バス空き待ちの遅延が発生したり、あるデバイスがバスすべてをふさぐ形で障害を起こす可能性があるとしている。

スリーウェアが特許を持つ、“ストアスイッチ”アーキテクチャーの概要
スリーウェアが特許を持つ、“ストアスイッチ”アーキテクチャーの概要

また、ミラーリング(RAID 1/10)を行なっているディスクアレイで、データの読み出し時に、読み出そうとしているデータがHDDのヘッドに近い位置にあるほうのミラーディスクから読み出すという“ツインストア”技術や、UltraATA HDDへのコマンド自体をいったんディスク上に書き込み、それを読み出して最初に発行したコマンドと同じことを確認することで、システム動作の信頼性を向上する“コマンド・リード・バック”などの機能も備えている。

“ツインストア”技術の概要
ミラーリングシステムのデータ読み出し速度を高速化する“ツインストア”技術の概要

シリアルATA12ポートモデルを発売予定

今回スリーウェアが発表した製品は、UltraATAインターフェースの代わりに、シリアルATA(※4)インターフェースを採用したことが特徴となっている。現時点では搭載ポート数として8ないし12を予定しており、製品名は『Escalade 7C80』になる見込み。予価は15万円前後としている。なお、シリアルATAモデルの発売に先駆け、UltraATAインターフェースを12ポート搭載した『Escalade 7C50』を6月に発売の予定。価格は12万円前後になるとしている。

※4 シリアルATA:米IBM社、米シーゲイト・テクノロジー社、米マックストア社など主要HDDメーカーなどによる“Serial ATA Working Group”が策定している、高速シリアル転送によるATAインターフェース規格。現在のパラレルATAが40線(80芯)のリボンケーブルを使用しているのに対し、シリアルATAでは2組4本の細いケーブルで接続できる。ケーブルの長さもパラレルATAの18インチ(約46cm)に対して1mと長くなっている。最初のシリアルATA規格である“UltraSATA/1500”のデータ転送速度は毎秒150MB。

『Escalade 7C80』
『Escalade 7C80』右側の端に並んでいるのがシリアルATAインターフェースコネクター
『Escalade 7C50』
『Escalade 7C50』12ポートのUltraATAインターフェースを持つ

なお、Escalade 7C80の発売からしばらくは、シリアルATAインターフェースを持ったHDDの入手が困難であると考えられるため、パラレルATAをシリアルATAに変換するアダプターをオプションとして提供するとしている。価格については現時点では未定。2003年夏に、米インテル社がシリアルATAインターフェース内蔵するチップセットを計画していることから、2003年夏以降はシリアルATAインターフェースを持つHDDが入手しやすくなるとしている。

パラレルATAからシリアルATAへの変換アダプター
パラレルATAからシリアルATAへの変換アダプター

ASICをシングルチップ化して価格を下げる

今後は、現在マルチチップ構成となっているRAID用ASICチップセットを、1つのチップにまとめてシステム価格を下げるとともに、マザーボードなどへ直接このチップを搭載することを計画しているという。このシングルチップASICを搭載した“Escalade 8000”シリーズは、順調に開発が進めば年内にも登場予定という。ホスト側のインターフェースとして、64bit/32bit PCI、iSCSIに加え、PCI Express(※5)やInfiniBand(※6)も視野に入れているという。

※5 PCI Express:PCIバスの仕様策定と管理を行なう団体である“PCI-SIG”が、次世代のパソコン用I/Oバス規格として策定したもの。従来“3GIO”というコードネームで呼ばれてきたが、4月に米国で開催されたWindows開発者会議(WinHEC)において、正式名称としてPCI Expressとなることを発表した。

※6 InfiniBand:米インテル、米ヒューレット・パッカード社、米デルコンピュータ社などによる“InfiniBand Trade Association”が策定した、サーバー向け高速接続技術規格。

また、詳細については明らかにしなかったが、シングルチップASIC搭載製品とは別に、UltraATAインターフェースを2ポートまたは4ポート搭載した、ローコスト版のEscaladeも、秋に発表予定としている。

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