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デジタルカメラ撮影の“基本のキ” ズームレンズの効果

デジタルカメラ撮影の“基本のキ” ズームレンズの効果

2001年12月15日 01時13分更新

文● 周防克弥

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焦点距離で倍率が変わる

上はオリンパス「CAMEDIA E-20」、下はミノルタ「DiMAGE 5」のレンズ部分。いずれもレンズ鏡胴部分を手動で回転させてズームする方式で、E-20は2/3インチCCDでの実焦点距離(9~36mm:35mmフィルムカメラ換算35~140mm相当)が、DiMAGE 5は35mmフィルムカメラに換算した数値(35~250mm)が表記されている。

 レンズには焦点距離というものがある。焦点距離はmm単位で表現され、数値が少ないほど「広角レンズ」と呼ばれ広い範囲を写すことができる。数値が大きいと(だいたい50mm以上は)望遠レンズと呼ばれる種類に分類されて狭い範囲を写すことができる。この焦点距離と呼ばれる数値はレンズの中心から結像面(ピントの合うところ、フィルムやCCDの表面)までの距離を示し、レンズが持っている性能のひとつだ。ただし、これだと短いレンズ、例えば35mmフィルムカメラの20mmといったレンズだと、レンズの位置がフィルム面から2cmの距離になってしまい、コンパクトカメラならともかく一眼レフだとミラーボックスの中にレンズがあることになってしまう。もちろんそんな配置になっていることはなく、レンズの組み合わせを工夫して短い焦点距離を実現している。
 そんなわけで、焦点距離といってもレンズの中心からフィルム面までの物理的な距離を指すわけではなく、レンズの長さが短くても焦点距離の長いレンズや、レンズが長くても焦点距離の短いレンズというものも存在する。
 焦点距離の表記の仕方だが、35mmフィルムカメラと違って、デジタルカメラの場合はピントが合う部分(つまりCCD)の面積が機種によってまちまちだ。このため、焦点距離といってもカメラごとに写る範囲が違う場合がある。このため、便宜的に35mmフィルムカメラに換算した焦点距離の表記を使うことが多い。



広角側と望遠側で、同じ物を同じ大きさで写るようしたもの。広角側のほうが写り込む範囲が広く(上)、望遠側だと写る背景は狭くなる(下)。「背景を入れることで写真に意味を持たせたい」ときには、広角レンズを使って広い範囲を写し込むといい。この作例のように、「被写体を目立たせる」ような場合には、望遠側を使うことで写り込んでくる背景を少なくする。

 一般に、標準レンズと呼ばれているレンズの焦点距離は50mmだ。これより短ければ広角レンズ、長ければ望遠レンズと呼ぶ。もちろんこれは単焦点レンズのことで、焦点距離が28~80mmといったズームレンズの場合は28mmのほうはズームの広角側、80mmのほうは望遠側などと呼ぶ。
 広角とは、その名のとおり広い範囲を写すことができることを指す。例えば、数人並んだところを記念撮影する際に、全員を1フレームに入れるときには何歩か後ろに下がらなくてはならない。広角に強い(レンズの焦点距離が小さい)ほど広い範囲を写せるため、部屋の中のような被写体との距離がとれない場合でも、フレームに収めやすい。



広角レンズを使って撮影したもの。近寄って広角レンズを使うと迫力のある写真となり、奥行き感を大きく出すことができる。

 さらに、広角の重要な効果として、パースペクティブ(遠近感)を強く表現できるという効果が得られる。手前のものはより近く、背景はより遠くに見えるような効果があるわけだ。この効果はとくに建物などを撮ると分かりやすい。



後ろに下がって望遠レンズを使うとビルの縦の線が平行に近くなり、遠近感が少なくなる。遠近感に欠ける写真は迫力はないものの、建築写真などの商業目的や資料目的ではパースのない写真のほうがいいとされる(ことが多い)。

 望遠とは、遠くの被写体を大きく写すことであることは説明するまでもないだろう。広角とは逆に、望遠側で写すと遠近感をなくす効果が得られる。
 広角と望遠の中間である35~50mm前後の焦点距離を持つレンズは「標準レンズ」と呼ばれるが、こちらは人の目が見るのと大差ない焦点距離なので、実際に見るような自然な遠近感が得られる。
 ちなみに、人間の眼は実は優秀なズームレンズを装備していて、普段何げなく見ているときには広角で見て、凝視したいときには望遠レンズになる。しかも、ある程度周りまで感じ取れていながら、特定のモノに注目できるのだ。人によって多少の違いはあるが、ズームレンズに換算して広角側は28~35mm、望遠側は135~200mmと言われている。



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