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CP-80Z

CP-80Z

2001年10月08日 20時11分更新

文● 行正

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PIMを活用してカラー印刷機能を強化

サンプル1
撮影サンプル1。元画像は1440×2166ドットだが、427×640ドットにリサイズしている。マクロモードでの撮影。

 CP-80Zには、他社のデジタルカメラにない「Print Image Matching用に開発された色再現技術」という特徴がある。エプソンの提唱するPrint Image Matching(PIM)は、デジタルカメラの出力する画像データファイル(Exifデータ)の、メーカーノートと呼ばれる領域に、カメラの色特性や撮影モードなどの情報を書き込んでおき、印刷時の色調整などに利用するというもの。とくに、Windowsで標準的に用いられているカラープロファイルであるsRGBよりもデジタルカメラやインクジェットプリンタの色再現範囲が広いことを利用し、カメラの色特性を精密に記述することで、Windows上では扱えない範囲の色を印刷することもできる。



サンプル1アップ
撮影サンプル1の中央部を640×480ドットにトリミングしたもの。非常に鮮やかな画像となっている。

 CP-80ZはPIMを強く意識した設計で、一般のデジタルカメラではモニタで見たときの階調とびを避けるために彩度を落して撮影するほどの高い彩度領域でも確実に記録する。記録されたデータは高彩度領域の階調表現が圧縮された状態であり、PIM対応プリンタで印刷する際に階調を引き伸ばして印刷する。このため、画像によっては印刷するとごく自然に見えるのに、モニタでは不自然に見えるケースもあるという。



印刷サンプル
撮影サンプル1をエプソンのPM-790PTで印刷し、スキャナで取り込んだもの。左からsRGB(Photoshop5.0)、オートフォトファイン4(Photoshot5.0で印刷、プリンタドライバ内で彩度強調)、PIM(エプソンの印刷ソフト「PhotoQuicker3.0」)。sRGBでは彩度が低めに印刷され、オートフォトファインは彩度は高めだが色は若干変わっている。PIMでの印刷は非常に高い彩度で印刷されているが、花弁の筋がとび気味だ。
撮影サンプル2
撮影サンプル2。元画像は1440×2160ドットだが、掲載用に427×640ドットにリサイズしている。F4.6、1/125秒(Exifデータ値)。

 実際に使ってみると、デザインからくる操作性にはかなり疑問が残る。とくに本体から飛び出したストラップ孔部分がシャッターボタンの位置にあるため、指をシャッターボタンに掛けにくい。また、周囲のラバー状の部分は滑り止めになっているが、本体の銀色の部分が滑りやすいため、持ったときに手のひらが滑りにくくても本体に掛けた指に力を込めにくくてグリップしづらい。さらに、アニメーションアイコン表示のメニューは見た目にはおもしろいものの、マニュアルを読まないと“いったい何の機能なのか”わからないものもある。



撮影サンプル2アップ
撮影サンプル2の中央部を640×480ドットにトリミングしたもの。補間モードでの撮影なので、細かな毛の再現などに若干甘い部分がある。
撮影サンプル3
撮影サンプル3。元画像は1800×1200ドットだが、掲載用に640×427ドットにリサイズしている。F4.6、1/750秒(Exifデータ値)。

 撮影した画像は非常に鮮やかで、明るい色あいだ。コダックや富士フイルムのデジタルカメラ製品は彩度強調を行っており、キヤノンやオリンパス、ニコンの製品群に比べると高めの彩度で撮れる傾向にあるが、CP-80Zはコダックや富士フイルムよりもさらに鮮やかに写る。ノイズは少なく、輪郭強調のため画質はクリアな印象を受けるものの単一色の部分がペッタリとした平板な印象も強く、強調された彩度のため、全体的に人工的な印象も受ける。



撮影サンプル3アップ
撮影サンプル3の左部を640×480ドットにトリミングしたもの。補間による高解像度化がされていないが、非常に鮮やかな色あいに撮れる。
撮影サンプル3
撮影サンプル4。元画像は1440×2160ドットだが、掲載用に427×640ドットにリサイズしている。F4.6、1/90秒(Exifデータ値)。

 鮮やかな色表現は確かに昨今のデジタルカメラの傾向であり、同社のインクジェットプリンタの特長でもあるが、彩度強調や記憶色強化がなされた画像を見慣れると、自然な色再現の画像(や実物)を見たときになんとなく物足りなく感じてしまいそうだ。鮮やに撮れて鮮やかに印刷できるという特長は一見して注目されやすく初心者に受けは良いだろうが、正確な色再現ということを考えれば少々疑問が残る。
 とはいえ、カラープリントのことまで考慮した設計のデジタルカメラ製品はほとんどないことを考えれば、富士写真フイルムコダックコニカなどが進める印画紙出力サービスとともに、今後の製品展開に注目したい。



撮影サンプル3アップ
撮影サンプル4の中央部を640×480ドットにトリミングしたもの。日陰部分にも関わらず黒っぽくならず、色あいの表現力は高い。
CP-80Zの主な仕様
撮像素子 有効218万(総230万)画素1/2.6インチCCDセンサ
レンズ 光学2倍ズーム、f=5.6~11.2mm(35mmフィルムカメラ換算:35~70mm相当)、F3.3~4.6
記録画素数 2160×1440(補間)/1800×1200/720×480ドット
記録媒体 CFカード TypeI(8MBメディア付属)
液晶モニタ 1.6インチD-TFD(5.5万画素)
インターフェイス USB、DC入力
電源 単3×4本(アルカリ乾電池/リチウム乾電池/ニッカド充電池/ニッケル水素充電池)
本体サイズ 130(W)×46.7(D)×73(H)mm
重量 265g(本体のみ)

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