サン・マイクロシステムズ(株)は4日、メインフレームに匹敵するというUNIXサーバー『Sun Fire 15K』(コードネーム“Starcat(スターキャット)”)を発表した。Sun Fire 15Kには、銅配線技術を採用したプロセッサーUltraSPARC III Cu-900MHzを最大106基搭載することが可能。販売パートナーへは同日出荷を開始し、量産出荷は12月中旬の予定。価格はプロセッサー16基の最小構成で2億8236万9000円。
『Sun Fire 15K』 |
米サン・マイクロシステムズ社のスティーブ・キャンベル氏よりも大きい |
同日の記者発表会でサンの首脳陣は、同日発表する日本IBM(株)のサーバーには、まだ「カタチがない」ことを繰り返し強調した。Sun Fire 15Kは、すでに国内のパートナー企業でも、10台が試験的に稼動している実績があるが、IBMのサーバー“Regatta(レガッタ)”は、限定出荷が11月からとなっている。同社首脳陣はさらに、Sun Fire 15Kより1ランク下の、UltraSPARC IIIを最大24基搭載可能なサーバー『Sun Fire 6800』でも、『IBM eServer i840』などに対して十分競争力があるとしている。
サンのサーバーラインアップ。Sun Fire 15Kは、『E10000』と置き換わる後継機 |
菅原敏明代表取締役社長は、Sun Fire 15Kはすでに70台以上の商談が進行しており、「大きな成功を収めつつある」と語る。また、「オープンシステムで、ここまできっちり装備したマシンを発表できるのは素晴らしい」とし、「メインフレーム、データセンターの分野で新しいビジネスができる」との期待を述べた。
菅原敏明サン・マイクロシステムズ代表取締役社長 |
Sun Fire 15Kに装着できるCPU/メモリーボードの数は27枚で、ホットスワップが可能。ボードにはそれぞれ、4基のプロセッサーと32GBのメモリーが搭載可能で、最大で106基のUltraSPARC IIIおよび576GBのメモリーを搭載できる。I/Oチャンネルは最大18チャンネルで、それぞれ4スロットのPCIスロットに対応し、最大で72スロット(66MHz×32スロット、33MHz×32スロット)を使用可能。サポートするストレージの容量は4P(ペタ)Bまで。システム帯域幅は、最大で毎秒172GBになる。
Sun Fire 15Kの内部。上段に横に9枚並んでいるのがCPU/メモリーボード |
Sun Fire 15Kでは、プロセッサー、メモリー、I/Oがすべて“クロスバー”接続されている。それぞれが1本のバスでつながる“シングルバス”や、複数のバスで接続する“マルチバス”ではなく、クロスバースイッチ(複数の発信元からのデータを、複数の経路を使って送る機器)によって接続されている。パフォーマンスや信頼性に優れているという。また、冗長設計の“Sun Fireplane Interconnect”によって全てのCPU/メモリーボードおよびI/Oがデータ、アドレス、コントロールの全てについて相互に接続する。
クロスバースイッチ。1997年のE10000でも一部導入していたが、今回からは完全にクロスバーとなった |
そのFireplaneによる相互接続のなかで、特定のボードないしはI/O間を接続する“Dynamic System Domains”を、18まで設定可能。これによって、障害発生時の隔離が容易に行えるという。なお、Sun Fire 15Kに対応するOSはSolaris 8。本体サイズは幅84.6×奥行き168.2×高さ191.8cm。
また、“RAS(Reliability Availability Serviceability:信頼性、可用性、保守性)”の向上のために同社は、“アベイラビリティ・アセスメント・サービス”を開始する。パートナー企業と連携して、製品、プロセス、人材、それぞれについての保守サービスやトレーニングサービスを行なう。
サンは日本市場について、ドットコム化がアメリカよりも遅いため、トラディショナルな企業がインターネットの世界に入るのをサポートするという。「バックエンドがしっかりしていなければ」企業は生き残られないというのが、サンの考えだ。
米サン・マイクロシステムズ社のスティーブ・キャンベル(Steve Campbell)氏 |
なお、サンは現在の市場の状況を、“サン対IBM対Wintel(ウィンテル)”の、3つのプラットフォームの争いととらえている。米サン・マイクロシステムズ社のスティーブ・キャンベル(Steve Campbell)氏(エンタープライズシステムプロダクツのマーケティング担当シニアディレクター)は、すでに前モデルのE10000の導入実績が5000台を超えていることを挙げ、また自社のシェアが第2四半期には「50%を超えている」とし、サンが競争を勝ち抜くことへの自身を示した。