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ソニーミュージックエンターテインメント

超本格派ブロードバンドサイト“MORRICH”

2001年09月04日 04時09分更新

文● 及川晴生

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操作面で注目したいのはオンデマンド・コンテンツの選択方法だ。メインウィンドウの右側には、コンテンツを表わすいくつかのバナーがクルクルと回転している。ユーザーはこの中から閲覧したいコンテンツを選択するわけだ。ポイントは操作性の高さで、バナーが回転している領域の、真ん中から上にカーソルを置くと上方向に、真ん中から下なら下方向にバナーが回転する。さらに領域の中央から上、あるいは下にマウスカーソルが離れるほど回転スピードが上がっていき、中央付近にカーソルを置けば回転は止まる。文字にするとややこしそうだが、実際に使ってみるとこれが何とも気持ちのいい操作感で、かつ直感的に理解できる。

ぐるぐるメニューバナーが回転している、オンデマンド・コンテンツの選択メニュー。コンテンツを見るときだけでなく、その選び方にまで気を配っている部分は大いに参考にしたい。

またコンテンツを分類せず、一覧形式でどのようなコンテンツが用意されているのかを見られる点にも注目したい。MORRICHのサイトを見ていると「このコンテンツが見たい」という能動的なユーザーと同時に、「まずサイトにアクセスして、そこにあるコンテンツのリストのなかから見たいものを選ぶ」という受け身のユーザーのアクセスも多いと思う。こうしたユーザーに対してコンテンツをどのように分類しても、見たいコンテンツがハッキリとしていないのに、ジャンルを選ぶことなどできない。結局、どんなコンテンツがあるのかすべての分類を見て回ることを余儀なくされ、「面倒臭い」という印象さえ持たれかねないわけだ。MORRICHのように一覧形式で表示されれば、ジャンルを選んだり階層を辿ることなく、すべてのコンテンツが簡単に把握できる(※1)。コンテンツの種類や映像のクオリティにばかり注目してしまいがちだが、こうした細かな使い勝手への配慮も嬉しい。

MORRICHはInternet Explorerのインターフェイスを消し、さらに全画面表示にすることで独自の世界観を築き上げている。こうした試みを行うWebサイトは多いが、MORRICHほど成功している例は少ないだろう。ただ、それだけに些細な部分が気になってしまった。MORRICHの画面上のアイコンは、すべてマウスカーソルを置くことでそれがどういったものかを表わす文字列が表示される。画面上部の再生や停止などのアイコンの場合、このポップアップがアイコンの下に表示されるのだが、それがマウスカーソルと重なり見にくい。またトップページの「Enter」をクリックすると新しいウィンドウが開くわけだが、それについて何も説明されておらず、最初は驚いてしまった。どこかに新しいウィンドウが開く旨を表記したほうが親切だろう。

回線の問題さえクリアできれば、ぜひ一度見ておくことをオススメしたいWebサイト。ブロードバンドがあれば、これだけのことがインターネットでできるということを改めて思い知らされるハズだ。またFlashを駆使し、まるでCD-ROMタイトルをブラウズしているような、これまでのWebサイトにはない操作体系を実現している部分にも要注目である。

※1 ただ、これは特殊な例ということも理解されたい。多くのWebサイトは、「××の商品情報が見たい」など明確な目的意識を持ってアクセスされる。このようにユーザーが能動的にコンテンツを選択するWebサイトでは、キチンとコンテンツを分類することで使いやすい環境を作ることができる。

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