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情報の幅広さと奥深さで勝負するポータル ―― ISIZE

2001年11月17日 10時15分更新

文● 及川晴生

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ISIZEトップページ
トップページはあくまで各コンテンツへのナビゲーションだけの役割。検索窓が見えるが、主にISIZE内のコンテンツ検索で、それ以外のサイトの検索はほかの検索サイトを利用する。

インターネットが普及し始めた頃のポータルサイトというと、ロボット/ディレクトリのいずれかの検索エンジンを備え、「知りたい情報があるサイトへの橋渡し」的な性格が強かった。しかし時間が経つにつれて、ユーザーをできるだけサイトに足止めするという戦略が一般的になり、各ポータルともコンテンツの拡充に力を注ぎ始め、メガコンテンツサイトへと脱皮していく。今回取り上げるISIZEは、そのほかのポータルサイトが単なる検索サイトからの脱皮を図りつつあった1999年1月11日にスタートしたポータルサイトである。

ISIZEがほかのポータルと異なっているのは、生活・実用や趣味、娯楽などさまざまなジャンルの「深い情報」を売りにしている部分だろう。情報、という意味ではほかのポータルサイトでもニュース記事が見られる。しかしISIZEは、ニュースだけではなく、解説記事やコラムなどが豊富に取りそろえ、専門誌のような雰囲気を出しているのが特徴だ。

生活情報から趣味に役立つコンテンツまで

コンテンツは「ライフプラン」と「ライフスタイル」、「エンターテイメント」、「お役立ち」の4つに分類されており、たとえばライフプランなら住まいや貯蓄情報などのコンテンツが含まれている。また種類の多さだけではなく、1つ1つのコンテンツの充実ぶりも目を見張るものがある。

ISIZEのインターンフェイス
インターフェイスは、画面の最上部と左端にナビゲーションメニューを置く、標準的なデザイン。コンテンツごとにレイアウトは異なっているが、基本的なナビゲーション操作は統一されている。ただフレームを利用しているため、画面表示領域の狭い環境では見づらいことがある。

たとえばライフプランに分類されている「住まい」のコンテンツを見てみよう。ほかのポータルサイトでも住宅に関する情報は定番の1つだが、その多くが売買/賃貸住宅の検索を主な目的としている。しかしISIZEの「住まい」ではそれらに加え、雑誌「月刊ハウジング」と連携した「家づくりサポーターズ」、リフォームの見積りもり依頼やリフォーム会社選びのポイントなどが掲載された「住まいをリフォーム」、複数の業者から引っ越し費用の見積もりを匿名で受け取れる「引越し見積もりサービス」などのサービスも提供している。特にリフォームや引っ越しの見積もり依頼まで可能にしている点は、ほかのWebサイトの同様のコンテンツと明らかに一線を画している。



ISIZEならではの要素を豊富に取りそろえる

またどのコンテンツでも、独自性の高い情報が掲載されている点にも注目したい。たとえばエンターテイメントの「スポーツ」では野球やサッカー、F1、NFL、NBA、さらに競馬とさまざまなジャンルを網羅しているが、それぞれ単に結果速報だけに終わらせず、ISIZE独自の情報も豊富にそろえている。特に顕著なのがF1や競馬だ。どちらも速報や各種ニュースに加えて、F1なら壁紙にもできる各レースの写真や、今宮純氏・エディ・アーバインのコラムまである。競馬は勝ち馬を当てると賞品をもらえる「VOTEでGET!」や、お気に入りの馬を登録しておくと出走情報やレース結果情報などがメールで配信される「MY HORSEニュース」など、こちらも充実した内容になっている。

今や各種スポーツの速報を届けるWebサイトは数多く、それだけではユーザーを呼び込むキラーコンテンツにはなり得ない。ISIZEでは、コラムやカスタマイズした情報提供を行なうことにより、各コンテンツを魅力あるものにしている。

さらにすごいのは、これだけのコンテンツを無料で利用できるという点だ。ポータルサイトの収入源として真っ先に挙がるのは、もちろんバナーなどの広告であるわけだが、ISIZEは意外なほどバナーは少なく、またサイズも小さい。逆に積極的に行なわれているのが、そのコンテンツに関連する企業との連携だ。先に挙げた住まいのコンテンツでの、引っ越しやリフォーム業者の見積もり請求をWebから行なえる、というのが代表例だろう。匿名かつWebサイト上で見積もりが請求できるこれらのサービスは利用者にとって便利だが、業者側にとっても日本有数のアクセス数を誇るWebサイトと連携できるメリットは大きい。

従来型ポータルとバーティカルポータルの利点を併せ持つISIZE

ISIZEのスポーツ系コンテンツ
スポーツ系コンテンツは、専門サイト並に内容が豊富。ニュースが常に更新されるだけでなく、読み応えのあるコラムも豊富でついついアクセスしたくなる粘っこいコンテンツになっている。画面の「MY HORSEニュース」のように、ファンにとってはたまらないサービスも多い。

“バーティカルポータル”というコンセプトが注目を集めるようになって久しい。これまでのポータルサイトは、いわば総合力で競争してきた部分がある。さまざまな最新ニュースを掲載し、地図や郵便番号、辞書など検索サービスを拡充させ、さらには無料メール/ホームページやフォトアルバムなどASP的なサービスを提供するなど、閲覧できる情報や受けられるサービスは増大の一途を辿っている。これに対してバーティカルポータルは、専門性で勝負しようというもの。コンテンツの幅はなくても、特定分野についてはほかのサイトに負けない情報を提供することで多くのユーザーを確保しようというものだ。

ISIZEは、従来のポータルの総合力と、バーティカルポータルの専門性の両方を兼ね備えた、他に類のないポータルサイトである。暮らしや就職情報といった生活に密着したものから、映画やスポーツなど趣味性の高いものまで幅広いコンテンツを用意し、またそれぞれにそこでしか見られない内容を盛り込むことで深みも持たせている。

これは約200種類の情報誌を刊行しているリクルートが運営しているという理由も大きいだろう。雑誌と連携したコンテンツもそこかしこで見られ、たとえば「お金」コンテンツでは同社のマネー情報誌「あるじゃん」の家計調査が公開されている。しかし、いくら情報やノウハウを持っていても、それをWebサイトという形で提供できるかどうかはまったく別の問題である。そういった意味でISIZEは、システムや人を含めた環境づくりが非常にうまくいった数少ない成功例の1つだといえそうだ。

惜しむらくは、個々のコンテンツの色が強く、ISIZE全体で見たときの焦点がぼやけているように感じることだろう。ISIZEというブランドを浸透させるには、もう1つスパイスが必要になるのではないだろうか。



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