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冷却CCDでノイズレス撮影に挑戦

冷却CCDでノイズレス撮影に挑戦

2001年08月19日 17時56分更新

文● 行正

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その2:水冷デジタルカメラの試作

水冷1号
ペルチェ素子に加えて水冷装置(水循環ヘッ)を装着したQV-2800UX。ペルチェ素子部は断熱のためウレタンを巻いて、ビニールテープで巻いてある。

 ただし、ペルチェ素子をCCD部にじかに付けているわけではないこともあって冷却の効率はあまりよくない。もっと根本的に冷却するには空冷では足りなさそうだ。そこで、ペルチェ同様にオーバークロッカーがCPUの冷却に利用する水冷ユニットを用いることにした(もう、かなりヤケ)。



バケツ
ペルチェ素子駆動用のACアダプタなどは省いているが、実験装置はこんな具合。

 (株)プロトンが輸入販売していた(現在販売しているのとは別製品)この水冷ユニットは、CPUに装着するヘッド部と、AC100Vで動作する水ポンプで構成され、CPUの発する熱を効果的に排熱できる。もちろんPCの筐体の外に置かれる水タンクには別に排熱機構が必要で、小型のラジエータなどを工夫して装着した人もいたようだ。

 ここでは、水タンクをバケツで代用することにして、バケツ内の水温上昇には冷凍庫で冷やした保冷材で対応する。



霜
断熱用のウレタンを外してみると、ペルチェ素子の吸熱側は霜が降りている。熱伝導シートを介して基板面に密着していることを考えればあまりお勧めできる状況ではないだろう。

 これにより、CCDの台部分で約-10度程度まで冷える。CCD部は前述のようにペルチェ素子との密着が足りない状態であるが、ペルチェ素子の吸熱側は霜で覆われており、氷点下になっていることは確実だ。この状態をしばらく続ければCCDやレンズ部に結露するのは(というか、もうすでに結露はしていることが)明らかなのだが、とりあえず何枚か撮影する。



-10度カラフル画面
-10度前後における撮影結果。1600×1200ドットを640×480ドットにトリミングし、レベル補正を行ったもの。10度の場合と比べると、わずかにノイズが減少している(ヒストグラムの山が左に移動した)が、まだまだノイズは多い。

 撮影結果を見ると、10度前後での撮影よりもあまりノイズは減少していない。これ以上ノイズを減らすにはもっと冷やす必要があるのかも知れない(天文用冷却CCDは-40度程度まで冷却する)。 



白くま×2
常温時と-5度付近での撮影結果の比較。機材が動かしにくいためアングルが若干変わってしまったが、シャッター速度(1/100)、CCD感度(ISO 320)、光源(蛍光灯)などに関してはほぼ同一条件。1600×1200ドットを320×480ドットにトリミングしたものを並べている。

 参考までに、常温時(約25度)と-5度付近で、実際に撮影してみた画像を掲載する。ISO320という高感度撮影では熱ノイズ以前に画像が荒いものだが、冷却時で多少の改善が認められる程度であり、“ノイズレス”という画像には程遠い。



最低温度記録
現在のところ水冷で記録した最低温度。-40度前後を狙いたい。

 今回の実験では、レベル補正をかけてようやく現れる程度の微小なノイズに注目し、その減少を確かめたわけだが、数秒以上の露光によってレベル補正なしでも視認できるレベルのノイズに注目したほうが、効果のほどはわかりやすかっただろう。ノイズリダクション機能を持たず、CCD部を冷却しやすいデジタルカメラが入手できれば再度チャレンジしてみたい。

 というわけで、あまり実用に供さない実験ではあったが、熱に対してデジタルカメラのCCDが弱いことはよくわかった。夏場の炎天下での撮影などでは、できるかぎりバッグの中に入れるなどしておき、撮影のときだけ取り出すのがよいだろう。また、デジタルカメラでもCCD冷却が実際に効果があることは明白なので、将来的にそういったことを設計に取り入れる製品が登場するかも知れない。個人的には、構えたときに顔に暖かい空気を感じるカメラはちょっといやだが。



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