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冷却CCDでノイズレス撮影に挑戦

冷却CCDでノイズレス撮影に挑戦

2001年08月19日 17時56分更新

文● 行正

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デジタルカメラをバラしてみよう!

 というわけで、ここでは一般のデジタルカメラでもCCDを冷却することでノイズが減るのかどうか見てみよう。

QV-2800UX
今回実験に利用するカシオ「QV-2800UX」。ノイズリダクション機能を早くから搭載し、回転式の光学8倍ズームレンズを搭載するなど使い勝手の良い製品だ。

 用意したデジタルカメラはカシオ計算機の「QV-2800UX」(中古で入手)。後継の「QV-2900UX」が登場したとはいえ、まだまだ実用に耐える製品だ。選んだ理由は“レンズ部の後ろを取り外すだけでCCDにアクセスしやすそう”という単純なもの。問題はQV-2800UXにはノイズリダクション機能が搭載されており、長時間(1秒以上)露光でCCDノイズが補正されるてしまう。1秒に近い露光でもノイズは視認できるほどに載るわけだし、最近のデジタルカメラ製品の多くがノイズリダクションを搭載するなかで、さらにノイズを低減する試みとして意義がある(かもしれない)。



QV-2800UXカバーオープン
レンズ部の後部を取り外すことができれば、レンズ後ろに置かれたCCD部にアクセスすることができる。

 冷却方式には、Akiba2GO!の読者にはお馴染みのペルチェ素子を使うことにする。ペルチェ素子とは電力を用いて熱の移動を行うことができる素子で、電流を流すと素子の両側に温度差が生じるものだ。天文用CCDでもペルチェ素子が用いられているが、PCにおいては「オーバークロッカー」と呼ばれる人たちが、本来の規定動作周波数以上のクロック周波数でCPUを動作させるために使用している。高クロックのCPUが次々と発売され、世代交代のスパンが短くなるなど、オーパークロックするメリットが少なくなり、最近ではあまり流行っていない。それでも、現在でもAthlonにペルチェ+水冷ユニットを組み合わせることで動作時においてもCPUが氷点下となるPCが制作されるなど、ある意味PC改造の最右翼である。



CCD基板部
CCD部分のアップ。茶色のフィルム基板の下に金属の台があり、台ごとレンズ部(プラスチック)にネジ留めされている。

 QV-2800UXの場合、カメラ本体(電池と液晶モニタが収納されている部分)とレンズ部それぞれに前後に分割された外装を採用する。レンズ部の外装を固定するネジのうちいくつかは本体側のボディが邪魔して回しにくい個所に設けられているが、なんとか外すとレンズ上と後部に基板が現れる。レンズ上に並ぶ基板は映像処理とフラッシュ制御を行うものと推測でき、とくにフラッシュ近くの大きなコンデンサには触らないように気をつけたい(電源を切ってからでも感電する可能性がある)。



CCD基板部
CCD基板部のネジを外すと、金属の台とフィルム基板ごと外れてCCD自身を見ることができる。CCDの上には透明な樹脂がセットされている。透明樹脂がマゼンタっぽい色に見えるが、これは「赤外線カットフィルタ」と呼ばれるもので、可視光のみを透過する特別なコーティングがされているため。本来CCDは赤外線にも感度を持つため、このフィルタによって赤外線をカットしている。
熱伝導シート
CCD基板部のチップなどの凹凸を吸収するために導入した「熱伝導シート」。ウレタン製両面テープのような厚みがある。左にあるの銅板は、CCDの台である金属部にマウントしてそこから吸熱できないか考えて同時に購入したものだが、今回は利用しなかった。

 レンズ後部のフィルム基板は金属製の台にマウントされており、台ごとレンズ基部にネジ留めされている。このネジを外すと簡単にフィルム基板と金属台ごとCCDを取り外すことができる。



熱伝導シートの貼り付け
CCD基板部に熱伝導シートを貼り付けてチップなどの凹凸を少なくする。チップが厚みがあるため2枚重ねて貼っている。ただ、これではあまり効率は良くなさそうだ。

 QV-2800UXのCCDは金属の台にマウントされているので、この台を冷やすのが効果的だとは思うが、銅板やヒートパイプなどの取り回しが非常に面倒なことになりそうなので、フィルム基板の上からペルチェ素子をとりつけることにする。フィルム基板上にはチップが載っているためペルチェ素子を密着させることができないが、スポンジ状の「熱伝導シート」を間にはさむことで対応している。



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