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マイクロソフト、『Visual Studio .NET ベータ2 』日本語版の配布開始――サービスの提供で対価を得るビジネスモデルの時代へ

2001年07月27日 22時55分更新

文● 編集部 中西祥智

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マイクロソフト(株)は27日、同社の次世代戦略“Microsoft .NET”に対応した統合開発環境『Visual Studio .NET ベータ2』の日本語版の配布を、8月29日より開催する“Microsoft Tech・Ed 2001 Tokyo Technical Days”などで開始すると発表した。

『Visual Studio .NET ベータ2』日本語版
『Visual Studio .NET ベータ2』日本語版。C#でWindowsサービスを作成中の画面

同日行なわれた記者説明会で、デベロッパーマーケティング本部デベロッパー製品部.NET Framework プロダクトマネジャーの渡辺忠典氏は、.NETによって「製品を提供するのではなく、サービスを提供することで対価を得るといった、新しいビジネスモデル」が構築されるようになることを強調した。

デベロッパーマーケティング本部デベロッパー製品部.NET Framework プロダクトマネジャーの渡辺忠典氏デベロッパーマーケティング本部デベロッパー製品部.NET Framework プロダクトマネジャーの渡辺忠典氏

マイクロソフトでは、『Visual Studio .NET』を.NETの中核を担う開発環境と位置付けている。『Visual Studio .NET』によって、“XML Webサービス”の構築、およびそれを利用したアプリケーションの開発が行なえる。“XML Webサービス”は、HTMLによるクライアント・サーバー間の連携とは違い、ファイアーウォールを越えてさまざまなシステム間をXMLで繋ぐことが可能。また、『Visual Studio .NET』によって、単一のアプリケーションでパソコンのウェブブラウザーからPDAまで、それぞれの環境に合わせたユーザーインターフェースを提供できるという。

『Visual Studio .NET ベータ2』日本語版の構成
『Visual Studio .NET ベータ2』日本語版の構成。従来のWin32アプリケーションを開発できるのは、『Visual C# .NET』だけとなっている

『Visual Studio .NET ベータ2』日本語版は、ランタイム/ライブラリーとしての『.NET Framework』、言語ツールの『Visual Basic .NET』、『Visual C# .NET』、『Visual C++ .NET』、開発ツール群などで構成される。3種類の言語ツールは、『.NET Framework』に対応したアプリケーションを開発できるが、従来のWin32APIに対応するアプリケーションを開発できるのは『Visual C++ .NET』だけとなっている。

そのほかの特徴としては、ビジネスグラフィックスツール『Microsoft Visio』を用いてUML(Unified Modeling Language)(※1)デザインが行なえること、ダイナミックヘルプによって、コーディングの作業を止めることなくコンテキストに応じた情報を検索できることなど。

※1 統一モデリング言語。ソフトウェアを開発する際に、システムの流れをモデル化して記述する。

ベータ1に比べてベータ2で追加した機能は、まずWSDL1.1(※2)およびUDDI(※3)を正式にサポートしたことが挙げられる。これらによって、さまざまな“XML Webサービス”の検索・参照が行なえ、利用者は複数の細かいサービスを組み合わせた統合的なサービスを受けられるという。

※2 Web Services Description Languageの略。“XML Webサービス”を記述するXMLの形式。

※3 Universal Description、Discover and Integrationの略。XMLを基礎に構築した情報を登録して公開できる仕組み。登録された情報に対して、製品やサービスなど、さまざまな条件で検索して利用できる。

また、“ホスティングサービス”機能も追加した。この機能により、開発したウェブアプリケーションを実際にインターネットを通してテストすることが可能。アップロードするための特別なツールは不要で、プロジェクトを指定すればISPへ直接アップロードされる。ただし現在のところ、米国の2つのISP(EraServer.net、BrinkSter.com)にしか対応しておらず、マイクロソフトでは日本のISPとは協議中だとしている。

.NETを構成する製品
.NETを構成する製品

『Visual Studio .NET ベータ2』日本語版の動作環境はPentium II-450MHz以上(Pentium III-600MHz以上推奨)、3GB以上のHDDを搭載したパソコン。対応OSはWindows NT 4.0/2000(2000を推奨)で、Windows 2000 Professionalを使用する場合はメモリー96MB以上(128MB以上推奨)、Windows 2000 Serverではメモリー192MB以上(256MB以上推奨)が必要となる。

また、同日マイクロソフトは.NETにおけるアプリケーションやサービスの共通基盤『.NET Framework ベータ2』日本語版についての説明も行なった。

『.NET Framework』の構成
『.NET Framework』の構成

『.NET Framework ベータ2』日本語版は、ユーザーインターフェース層やXMLのデータ層、中間データを通してCPUのネイティブコードに変換する“Common Language Runtime”層などに分類される。C++やC#、Visual Basic、Perlなど22のプログラミング言語に対応しており、またWindows以外にも、『.NET Compact Framework』によって組み込み用OSに、さらにFreeBSDなどの非Windows OSにも対応する予定。

対応言語は以下の通り。

  • Perl
  • Python
  • COBOL
  • Eiffel
  • Haskell
  • ML
  • JScript
  • Ada
  • APL
  • C
  • Pascal
  • C++
  • Visual Basic
  • C#
  • SmallTalk
  • Oberon
  • Scheme
  • Mercury
  • Oz
  • Objective Caml
  • Fortran
  • RPG

FortranとRPGについては、6月19日の“TechEd2001”で追加が発表された。

『Visual Studio .NET ベータ2』日本語版は、8月29日より開催する“Microsoft Tech・Ed 2001 Tokyo Technical Days”で配布するほか、MSDNユニバーサル会員は“MSDN Subscriber Downloads”で本日よりダウンロード可能。そのほかにMSDN会員には9月に定期配布、各パソコン雑誌の付録、または実費(送料込み3150円)によるCD-ROM送付によって提供する。

今後のスケジュールだが、『Visual Studio .NET』および『.NET Framework』の英語版は年内に出荷を開始するが、日本語版の提供は2002年第1四半期になる予定だという。

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