コア電圧設定に裏技を発見!
マザーボードの裏面にもデバイスが実装されている |
実は、この製品を手にした時、「こりゃ、ダメかも知れない」と感じた。それはSocketAマザーボードにしては電源回路の電力制御素子の数量が圧倒的に少なくてキャパが足りないと思ったからである。ところが、何気なくマザーボードを裏返してみると、先に感じた印象をうち消すだけの電力制御素子が並んでいた。「あら、こんなところに・・・」。まぁ、ひと安心。おそらくは、CPUソケット周りのスペースを確保するためにココが選ばれたのだろう。それにハンダづけのあとを観察すると手作業で実装している可能性もあり、手間のかかる製品なのかも知れない。ともあれ筆者の心配が無用であったことがわかったところでもう少し詳しく見てみた。
コア電圧を制御している“SC2422ACS”とコア電圧を操作するJP2 |
まず、コア電圧についてはBIOSセットアップからではなくてJP2のジャンパ操作からCPUの標準電圧に対して、0.1Vステップ4段階の設定が可能だ。電源回路は、CPUソケットに装着されたCPUのVIDパラメータ(そのCPUの標準電圧を示すコード)をPWM(SC2422ACS)が読み取って規定の出力電圧を作り出すのは従来通りだ。そして、JP2の7ピン~10ピンはそれぞれR61~R64に接続されPWMのFBピン(7ピン)の電圧をコントロールしている。このうち、R61~R64は、表1に示す抵抗値で、ジャンパキャップの位置に応じてコア電圧が高くなり最高+0.4Vアップとなるのだが、これは、取扱説明書通りの設定方法である。
ここまでの説明で“ピン!”と来た方は、かなりの「つわもの」である。そう、ジャンパキャップを追加すれば、さらに高いコア電圧を得られる回路なのだ。
例えば、JP2の2-7と5-10にキャップすれば、PWMのFBピンには、R61とR64の合成抵抗値が接続されることになり結果的に+0.1Vと+0.4Vのオーダーなので規定電圧の+0.5Vとなる(実験済)。極端な例だと4つのジャンパ全てにキャップをすると計算上+1.0Vアップとなり(標準1.75VのAthlonだと2.75Vになる)非常に危険なコア電圧を設定できてしまう可能性があるのだ(これはさすがに実験していない)。と暴露しておくが、この裏技を含めてコア電圧を標準値より高く設定すると大切なCPUを壊す恐れがあるので十分な覚悟と自己責任において操作してほしい。
【表1】JP2とコア電圧設定表
ジャンパピン番号 | 抵抗番号 | 抵抗値(Ω) | コア電圧 |
---|---|---|---|
2-7 | R61 | 100K | +0.1V |
3-8 | R62 | 48.6K | +0.2V |
4-9 | R63 | 32.5K | +0.3V |
5-10 | R64 | 24.0K | +0.4V |