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天下統一III

天下統一III

2001年02月20日 18時25分更新

文● culi

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「CPがすべて」なゲーム進行

 次に、松平家でプレイ中の1ターン、1548年9/10月ターンを例に、更新→政治→外交→軍備→戦略/合戦フェイズごとに順に追ってゲームシステムを検証していこう。
 このターン開始時の松平家の当主は松平頼氏。領国は三河~駿河、甲斐、飛騨を完全支配、信濃の大半を支配下に置き、武蔵、尾張と美濃は約半国を制圧、さらに相模、越後、越前に1つずつ支配城がある。レベルは戦国大名、石高178万石でトップだ。

<更新フェイズ>

 さまざまなイベント処理などが自動的に行われるため、プレイヤーは何もできない――が、突然侍大将が出奔したり、外様武将が寝返るのもこのフェイズなので、退屈でも注意深く画面を見ておかないと、後で気がついてアッとビックリ! な状況になっていたりする。
 また、いったん滅んだハズの豪族や大名が、突然武将のいない城を乗っ取って「御家再興」することもある。

他家のイベント。今回、松平家関係では「病に伏せる」(当該ターン中行動不能)武将が2人だけ。7/8月ターンには豊凶作、冬のターンには飢饉(飢饉の国では当該ターン合戦ができない)も比較的頻繁に起こる。

<政治フェイズ>

 このフェイズは、「内政」と「武将」の2大コマンド群に大きく分かれる。
 内政は、おなじみ「楽市楽座」や「兵農分離」コマンドを実行できる。兵農分離は、城単位と国単位が選べるようになったので、CPの少ない大名でも、重要な拠点(城)に限定して、兵農分離率のアップを図ることが可能だ。
 目新しいところでは、「道普請」「築港」というコマンドもできた。道普請を実行すれば、移動や戦闘の際に通過する道(連絡ルート)の疲労度を減らすことができ、より遠くまで直接出兵できる。
 築港コマンドも移動に関係する。ある海域に軍船を多数持っている大名は、海戦を制して制海権を確保し、海路で(たとえば伊勢湾を横断して、三河から伊勢へ)移動ができる。その軍船を(軍備フェイズで)整備する際、築港レベルが一定以上であれば、より強力な「安宅船」や「鉄甲船」が建造できるのだ。

1548年松平頼氏の開始時点のCPは繰り越しを含めて12。まずは寄騎配備で、歴戦の大久保忠員の麾下に大須賀康高を配置(CP-1)。その他、武蔵川越-滝山間を道普請(CP-1)、本城・岡崎で兵農分離(分離率80にアップ、CP-1)、遠江掛川で楽市楽座(CP-1)。

 一方、武将関係コマンドでよく使うのは、「転封」と「寄騎配備」だろう。転封は、城主(宿将)の城を移動させるコマンドだが、常に前線で戦う武将の場合、なるべく移動距離を短く、かつ農兵を多数動員するためには、敵地に近い城の城主にしたほうが何かと便利なのだ。結果、何人かの方面軍団長的な武将については、徐々に兵力を加増しながら常に前線に近い城に転封していくという作戦が有効性を持つわけだ。
 寄騎配備は、織田家などで行われていた同じ名前の制度のとおり、城主や太守を寄親とし、大名直属の侍大将をその麾下に所属させるコマンドだ。寄騎になった武将は、寄親の城主や太守と同時に経験を積むが、合戦の時には出陣武将数に含まれないという特徴がある。そのため、前記の軍団長的武将を、転封で雪だるま式に転がしつつ、さらに多くの寄騎を従属させれば、軍団長のベースとなる直属兵力をより増やすことも可能なわけだ。



<外交フェイズ>

 即効性のあるコマンドは、先に挙げた「外様化」だろう。もっとも、一番よく使うのは、実は「大名」「豪族」「外様武将」「本願寺」「朝廷」「幕府」らに対しての「使者派遣」コマンドであるのは間違いない。どんな交渉をするにしろ、何度も使者を派遣して親睦を図らなければ成功しないのは当然なのだ。とはいえ、CPの少ない大名では、朝廷や幕府にまで使者を派遣できるのは、ごくたま~に、ということになるかもしれないが。
 このほか他大名家相手の「和議」(交戦相手と休戦)や「不戦同盟」も重要だ。IIIでは外交関係が複雑化した分、かなり入り組んでおり、たとえばある大名を滅ぼしたとたん、全国の有力大名の多くを敵に回してしまう可能性もあるのだ(実際に、松平家で今川家を滅ぼした折り、本願寺以下の戦国大名、守護クラスのほとんどと“交戦状態”になったことがあった)。
 ちなみに、先方から使者が来る大名は下手に出ている場合が多いので、こちらから強気に出るかどうか、外交戦略決定の参考になる。

CP残は8。行動は、交戦状態の本願寺に使者派遣(CP-1)、武蔵稲付の太田資景を外様化(成功、CP-2)。そして対北条戦向けに上野の山内上杉家と不戦同盟を締結(CP-2)。

<軍備フェイズ>

 このフェイズのキモは、なんといっても「武将駐留」「駐留解除」の両コマンド。大名の直轄城にヒラの侍大将を派遣できるのは、このコマンドを除くと敵城を落とした後で「駐留するかどうか」の選択が出たときに駐留を選ぶしかない。逆に、いったんどこかの城に武将を駐留させてしまうと、(たとえ大名自身でも)駐留解除コマンドを使わないと本城に帰すことができない。というわけで、ひんぱんに武将の行き来させていると、あっという間にCPが消費されてしまう。
 そのほか、合戦で消耗した直属兵を「兵士募集」で回復させたり、「城の普請」で城レベルを上げたり、「謀略」系のコマンドで他大名の譜代武将や城主を調略したりもできるが、このあたりのコマンドを使いたいころには、残りCPはあるかないかというところ。外交フェイズ終了時点までに、あらかじめ実行予定コマンドのCP数を把握しておかないと、後半のフェイズは何も行動できない羽目になりかねないのでご用心。

すでにCP残は3。飛騨小島の侍大将、姉小路時元を三河長篠に駐在(CP-1)。そろそろ本願寺と全面対決しかねない状況なので、一向一揆対策も兼ねて。駿河府中で、軍船を16建設(CP-1)。残りのCP1は次ターンへ持ち越し。

<戦略/合戦フェイズ>

 合戦のための「出陣」に必要なCPは「0」。だから、次のターンに蓄積する以外のCPは、軍備フェイズまでで使い切ってしまって構わない。その代わり、兵力に応じた資金は必要だ。

このターンは、美濃大桑へ出陣。迎撃がなかったので、野戦をスキップして攻城戦に。計略を試みたがあまり効果が出ず、最後にかけた強襲も成功しなかった。籠城している大名/城主に所属する武将が多いほど、強襲では落城しにくくなる(攻撃の相手が分散されるため)。

 いざ出陣という段になって、移動距離の制約から思ったとおりの武将を集結できない、ということが、特に慣れない序盤はしばしば起こるので、(繰り返しになるが)主力となる武将は、なるべく次の攻略地点に近い城に駐留させておくか、あるいは転封コマンドで近場の拠点となる城の城主に任じておくこと。
 合戦システム自体は、実にオーソドックス、というか、基本的には前作(II)からあまり変更はない。野戦が発生した場合には、5列(地形によっては4列以下の場合もある)の横隊同士が陣形を組んで対峙し(別働隊や伏兵も配置可)敵総大将の軍を撃破するか、敵陣を突破すれば攻城戦に移行する。例によって、鉄砲があれば離れた距離から相手を射撃できるので有利だ。
 攻城戦のほうは、「強襲」「包囲」「計略」「付城」のコマンド選択で進む簡単なものだ。付城とは、目標の城の周囲に建築する城で、敵城の内政、軍備コマンドの実行を難しくする(=敵側の兵力、兵糧の補強を阻んで、次の攻撃で落城しやすくする)という効果がある。
 序盤ではあまり使わないが、兵農分離が進んで直属兵の数が増えて来ると、最初の攻撃目標が落城したあと、直属兵だけがさらに隣接する敵城に移動、攻撃する「第二行動」(セカンドインパルス)を選ぶのも効果的だろう。



野戦の例もひとつ挙げよう。甲斐府中における武田信虎との決戦だ。総兵力では劣っていても、敵の弱いところを集中攻撃して、最終的に突破さえできれば勝利できる。

操作性とテンポのスローさがちょっと気になる……

 ところで、実際に長時間プレイしていると、気になる点もいくつか出てくる。
 まずはインターフェイス。グラフィックス面にはそれほど開発リソースを投入しない、というポリシーはこの手のゲームでは十分理解できるのだが、操作性と情報閲覧性の悪さだけは何とか改善してほしかった。特に、

  • コマンドのある位置と一覧表示の位置が同一の画面領域(右下)にあるため、一覧をいったんキャンセルしないと別のコマンドが実行できない(=必要な情報を見ながらコマンドが出せない)
  • コマンド途中のダイアログでは武将の身分(侍大将、宿将、太守など)が表示されないため、駐留コマンドの実行時など、わかりにくくて不便
  • 国別地図上で表示されている隣国の国境の城の情報が、いちいち国を切り替えないと見られない

この3点にはイライラが募る。

 この種のウォーシミュレーションゲームにしては、全画面表示しかサポートしていないのも残念だ。ウィンドウ表示でもプレイできれば、高解像度デスクトップでプレイしている人にはより遊びやすくなる。
 そして最後はスピード。プレイしたマシンのCPUはPentiumIII-933MHzなのだが、それでも慣れてくると、更新フェイズのイベントの進み方の遅さが耐えられなくなることがある。メッセージを読めるスピードにするためウェイトをかけているようにも見えるが、できれば処理速度については可変設定を設けてほしかった。  いずれも、ゲームシステムの根幹は維持したままで改善可能と思われる。近いうちに、IIのときのように「パワーアップキット」的製品での対策を期待したいところだ。

【2001.2.27追記】

 予定どおり2月22日に店頭に並んだ「天下統一III」だが、上記レビューでも指摘した動作上の不具合が解消しきれず、製品版に残っていたようだ。筆者も発売日に製品版をショップで購入しプレイしてみたが、しばしばおかしな動作や表示が出るのを確認している。
 前作から相当複雑化したシステムについてマニュアルでの説明が不十分なこと、またインターフェイスの問題や、動作がIIなどと比べると相当遅くなっていることも絡みあって、インターネットの掲示板などではユーザーによるかなり激烈な批判も展開されている。筆者個人の意見としては、ゲームシステムの不備な点と動作上の単なる不具合は、切り分けて議論したほうがよいと思う。
 後者、特に明らかな不具合については、問題が解消するまで、可及的速やかに無償でパッチを出すべきだろう。一方、前者のシステム改善については、開発時間とコストの問題もあるので早急な対応は厳しいかもしれないが、ユーザーからの建設的な意見も考慮してもらいながら、できるだけ安価な「パワーアップキット」等での対応を望みたい。

 ──という状況の中、26日付で最初のパッチが登場した(「Ver.1.10」と表記)。コンピュータ側の思考ルーチンが改良され、いくつかの不具合を解消したもので、不可思議なゲーム展開に悩んでいる方はパッチを当ててみるとよいだろう。ただし、製品版(Ver.1.00)でセーブしたデータは、新しいVer.1.10では読み込めなくなるので、その点を覚悟した上でパッチを当てること!

開発元 ミューズソフト(株)
発売元 (株)システムソフト
問い合わせ先 092-752-5264
価格 1万800円(2月22日発売予定)
対応OS Windows 95/98/Me/2000+DirectX 7a
メモリ 48MB以上
ビデオ 800×600ドット/6万色以上
HDD 600MB以上
CD-ROM 2倍速以上(起動時必須)

「天下統一III」Ver.1.10アップデータ(2001.2.26公開)
http://www.systemsoft.ab.psiweb.com/AM/LIB/tenka3v110.html

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