メガビットに達する米国PLCベンダー
こうした低速な電灯線ネットワークのほか、まさにメガビットクラスのスピードを実現する高速な電灯線ネットワークも続々登場している。米国ではアイトラン(ITRAN Communications)、エニキア(Enikia)、ビデオ・コム(VideoCom)などのPLCベンダーが続々と10Mbpsの壁を超える電灯線ネットワークを実現している。すでにチップを供給しているベンダーも多く、大量生産とそれに伴う低価格化が進めば、一気に普及する可能性を秘めていると言えるわけだ。
こうしたPLCベンダーを手がけるベンダーとPCベンダーとの技術提携なども相次いでいる。マイクロソフトは電灯線ネットワーク製品の開発を手がけるアイトランとの技術提携、そして資金提供を行なうことを発表。すでにSCP(Simple Control Protocol)という電灯線ネットワーク向きの簡易プロトコルを発表している(http://www.microsoft.com/HOMENET/scp/)。これは、電灯やスイッチといった省メモリでTCP/IPを実装するのが困難な「Small Device」向けの制御プロトコルで、実現しようとしている機能はまさにホームオートメーションが目指す分野と同じである。冒頭でも紹介したホームオートメーション仕様をCEBusを策定しているCEBus Industry Counselとの技術提携も発表されており、UPnPのアーキテクチャの中にこうしたホームオートメーション仕様が組み込まれていくことになる。
一方、今年の6月にはサン・マイクロシステムズも米ザリアプロダクツ(Thalia Products)と提携し、PLC製品で動作するソフトウェアやプロトコルの開発をJavaやJiniをベースに行なうことで合意している。
標準化作業とインテルの動向
当然ながら標準化作業もスタートしている。米国では4月に家庭内電灯線ネットワークの仕様策定を行なう業界団体である「HomePlug Powerline Alliance」が結成された。インテルのほか、シスコ、スリーコム、AMD、コンパック、モトローラなどそうそうたる顔ぶれである。中でもホームネットワークに並々ならない意欲を見せるインテルは、これまでもUSB、Bluetooth、HomePNAなどさまざまなインターフェイス仕様の標準化に中心的な役割を果たしてきた経緯がある。PCの半導体の元締めであるインテルがこうしたネットワーク技術に興味を示すということは、次世代のPCに搭載される可能性があるということである。
このように21世紀を目前に電灯線ネットワークがブレイクのチャンスをうかがっている。もちろん、国内では法制度の問題があるが、無線でも、ファイバでもなく、今まで注目を集めなかった意外な伏兵が、ラストワンマイルをあっさり実現してしまうかもしれない。
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