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汽車でGO!

汽車でGO!

2001年02月07日 23時23分更新

文● 中村聖司

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汽車でGO!

アンバランス

5980円(2月9日発売予定)

タイトーの「電車でGO!」シリーズは、数年前の圧倒的な勢いこそなくなったが、現在もまだまだ元気いっぱいだ。アーケードでは「電車でGO! 3通勤編」が現役稼働中(2001年3月にプレイステーション2への移植が予定されている)だし、ゲーム専用機ではPS2オリジナルの「電車でGO!」の開発が進められているほか、「電車でGO! 2高速編」「電車でGO! 名古屋鉄道編」「電車でGO! プロフェッショナル仕様」など派生版もたっぷり用意されている。中には「RCでGO!」や「ジェットでGO!」といったまったく別のゲームまで開発されているが、今回ご紹介するのは電車でGO!のグラフィックスエンジンを用いた派生版「汽車でGO!」。“電GO!ファン”も楽しめる1本だ。

安心して楽しめる機関車運転シミュレータの名作

チュートリアルも付属。初心者は「はいっ!」とハキハキ返事しながら、制帽をかぶったお姉さんの解説を聞こう。が、これだけ理解してもダメなんだな。

 アンバランスより発売されるPC版「汽車でGO!」は、プレイステーション(以下、PS版)からの移植作品。以下に述べることはPS版をプレイした方なら100も承知の内容になる。PC版の特徴や触ってみた印象については最後のほうにまとめたので、「俺はプレステで徹底的にやり込んだ!」という人は、途中を飛ばして、最後だけチェックするのがいいだろう。



視点は2種類。こちらは身を乗り出した状態からの視点。プラットフォームに止まるときはこの視点からが便利。一部の計器は見えなくなるけど。
こちらは通常の車内での視点。視界は大幅に狭まるが、すべての計器がチェックできる。

 さて、汽車でGO!は、これは電車でGO!にも言えることだが、電車/汽車というレールの上しか走れない、車や飛行機と比べて断然扱いの難しい素材を、リアルさを損なうことなくたっぷりとゲーム性を詰め込んだ、まさしくアイデアの勝利的なシミュレータだ。その内容は、実在の路線で汽車(電車)を実際の走法に則って走らせ、駅の停止線のところでキチッと止める、というただそれだけのゲームなのだが、これが連続プレイ必至の抜群のおもしろさを秘めているのだ。

駅構内で再加速したのがバレバレですが、やっとcm単位で止められました。ゴルフで言うと、これはグリーンにおけるパットに相当するわけですが、えらい難しいです。でもこれがまた楽しい。

 汽車(蒸気機関車)の操作はあくまで簡単で、汗水垂らして石炭をスコップですくってボイラーに突っ込んだりする必要はなく(それではアクションゲームになってしまう)、ボタンひとつですべての操作が手早く行える。本作の楽しみは機関車を自らの手で走らせること、だけではない。それではすぐに飽きるし、流行することもなかっただろう。本作の楽しみとは、線路上の特定の場所に待ち受けているさまざまなワナをあらかじめ完全に把握しておき、それらを冷静かつ見事な手さばきで軽快に突破しつつ、ゴールである停止線に数cm単位の誤差で、キッチリ止め切ることにあるのだ。



これが最悪のペナルティ「ATS作動」。中級以降は、直線ばっかり延々と続いていたり、駅区間がえらい長かったりして、油断したつもりはなくてもぶんぶん飛ばしてしまう。そこに速度制限のワナが! 「速度制限が間に合いませんでした」というお姉さんは、なぜかペロリと小舌を出し、片目をつぶっている。さ、さては姉貴の仕業だな! (被害妄想中)

 さまざまなワナとは、一定の区間に定められた速度制限のことで、これをオーバーした状態で走行を続けようものなら、たちまちATS(Automatic Train Stop)が作動し、汽車が急停止してしまうのだ。といって、現在の速度と速度制限に差がありすぎると、標識を見てからブレーキを掛けてもぜんぜん間に合わない。結局ATSが作動して急停止、大幅なタイムロス&持ち時間が10点減点になる。その反動からびくびくゆっくり走っていると、今度は、到着時刻に間に合わなくなる。

チュートリアルの時は優しい気分で聞けるが、ゲームオーバー時の「ブレーキが強すぎますぅ」のセリフは若干だが殺意を催させる。ブレーキしないと間に合わないっちゅーねん!
踏切前で汽笛を鳴らしたらボーナス時間1秒をゲット。よーし、すべての踏切で汽笛だ。じゃんじゃん鳴らせ。あとは急な曲がり角の手前でもボーナスが貰えるみたい。

 すなわち、速度制限区間は、その位置を“完全に覚えておく必要がある”のだ。「えー! そうなの?」と思った貴方は甘い、甘すぎる(って私もそう思ったひとりですが)。冷静に考えてみれば、プロの方たちの日常業務をこなすだけの話なのである。また、路線の一定の箇所で汽笛を鳴らすと、「警笛ボーナス」が貰えることがあるなど、ゼビウスにおけるソル探し的な遊びも盛り込まれており、思わず汽笛を鳴らしまくってしまうのだが(別段、これに関するペナルティはない)、これがなかなか楽しませるのである(笑)。こういったゲーム的要素の巧みな挿入もあって、ぐんぐんはまってしまう。本作は、シミュレータと遊びの双方のツボをうまく抑えた名作といえるだろう。



PC版はジョイスティックによるプレイが楽しいぞ

 汽車でGO!のゲームの紹介についてはこれくらいにして、PC版について説明していこう。
 概要については、2000年12月14日のニュースでご紹介したとおり。さまざまなゲームデバイスに対応するほか、ゲームデバイスとキーボードによるふたり協力プレイが目新しい特徴だ。内容的にはPS版とまったく同じである。

コントローラ設定画面。図示されているのでわかりやすい。初心者の貴方と私は、汽車の加速と減速、それと警笛の3つから覚えましょう。

 ゲームデバイスについては、ゲームパッド、ジョイスティック、そして同社より発売されているUSB接続の「電車でGO!」専用コントローラだ(8800円)。こだわり派の方には、この専用コントローラでのプレイをオススメしたいが、ジョイスティックでもガコンガコンと逆転機を動かす感覚は味わえる。ちなみに評価の際に使用したジョイスティックはマイクロソフトの「Force Feedback2」。スティックを握ったまま出発許可のシグナルを待っていたら、「知らせ確認ミス」になることがたびたびあった。許可が出る前に発車すると表示される警告で、スティックのわずかな動きを感知したものと思われる。本作は、Force Feedbackに対応しているわけではなく、普通のアナログスティックとしての使用になるが、ジョイスティックは、このアナログ的な弱点を除けば、手軽に本格的操作感が味わえるので、特にオススメのデバイスだ。くれぐれもシグナルが出るまでスティックに触れないように心がけよう。



ムービーはなかなかの迫力で見応えがある。とにかく煙突からの煙と、側面からばんばん吹き出されるドレインの水蒸気がもの凄い。

 専用コントローラに関しては、インストール時に「汽車でGO!」専用のドライバが自動的に組み込まれるため、「電車でGO!」ユーザーなら、コントローラを差すだけですぐに使用できる。加えて、ゲームパッドやジョイスティックでのキー操作もあらかじめプリセットされているのも親切。プリセットされたキー配置を変更することできないが、キーボードでのプレイを除けば、特に不満は感じなかった。  グラフィックスに関しては、PS版がそのまま利用されている。モニタで見ると、特に低速進行時のジャギーが目立ち過ぎて、かなりツライ。もう少し改良できなかったものだろうか。加えて、SL写真館は、画像圧縮による画質の劣化がもろに出ているのも残念だ。データ集に関しては、PC向けに完全作り直しとはいかなくても、せめて低圧縮のJPEGかBMPファイルとして、CD-ROM内に収録するぐらいの丁寧さが欲しかったところだ。



「つうぎぃわー、あーきはばらー、あきはばらーー」と首都圏在住の方にはお馴染みの口調で行われる車内アナウンスがどうしようもなく可笑しい。出発前にも、例の爽やかな“ドア締まる直前のテーマ”が流れるなど芸が細かい。この京浜東北線は、初級者向けで遊びやすく、比較的短時間でクリアできる。オススメ。

 おっと、危なく書き忘れるところだったが、収録路線は「京浜東北線」(品川-上野間)、「磐越西線」(新津-津川、郡山-会津若松)、信越線(高崎-軽井沢)の4路線。収録車種は「D51」を筆頭に「C57」「C58」の3タイプが用意されている。ゲームのおもしろさに関しては折り紙付きなので、未体験者はまずはPC版を試してみるといいだろう。

開発元 (株)タイトー/(株)アンバランス
発売元 (株)アンバランス
問い合わせ先 03-5283-3625
価格 5980円(2月9日発売予定)
対応OS Windows 95/98/Me+DirectX 7a
CPU PentiumII-300MHz以上
メモリ 64MB以上(128MB以上を推奨)
ビデオ 640×480ドット/6万色以上
HDD 200MB以上(510MB以上を推奨)
CD-ROM 4倍速以上(起動時必須)

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