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「ハイブリッド取引システムを米国に先駆けて導入」――ナスダック・ジャパンの佐伯社長

2001年01月19日 20時54分更新

文● 編集部 佐々木千之

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ナスダック・ジャパン(株)は19日、都内で報道関係者を集めて新年記者懇親会を開催した。席上で代表取締役社長の佐伯達之氏が今年にかける意気込みを述べた。

ナスダック・ジャパン、代表取締役社長の佐伯達之氏
ナスダック・ジャパン、代表取締役社長の佐伯達之氏

デビュー戦としてはまあまあの出来

佐伯氏は「昨年はいろいろ失敗をしたが、今年は日本証券市場の活性化の一因となるよう努力したい」と切り出し、「(昨年6月の)取引開始にあたって私は「毎月10社程度の上場を期待している」と述べたが、残念ながら現時点で45社にとどまった。9月に12社が上場し、取引高が1280億円に達したときは、多少有頂天になって「これはいけるな」と思ったが、10月から日米両国で株価が下がって上場企業も減ってしまった。しかし、1社平均の取引高で見れば18億円と、東証2部の5倍、マザーズの5割り増しの数字で、デビュー戦としてはまあまあだったのではないだろうか」と、昨年を振り返った。

新取引システムや外国株は年内に

そして、今年のナスダック・ジャパンの事業展開として「2年目となる今年は、いよいよナスダックらしい差別化を行なう年と考えている。まずはハイブリッド型取引システム(※1)の導入。これはナスダックが2年間開発してきた、投資家に視点を置いた最も進んだ売買方式だ。私もまだ勉強中だが、このシステムが動き出せば株式の流動性が爆発的に大きくなる。今年の暮れには、米ナスダックに先駆けて日本で動き出す。次に外国株の取り扱いだが、これは新しいナスダック銘柄を取り込むためにも年内に発表したい」という、2つの目標を揚げた。

※1 例えばある株を買いたいという客がいた場合に、その株を売り注文のうちで、客にとってベストプライスとなる売買を強制して行なわせるシステム。これによって株価が大幅に変動しているような状況でも、強い流動性が確保できるという。

さらに佐伯氏は「今年は210~230社が株式の上場を目指していると予想されているが、このなかである程度のシェアを取っていきたいと考えているが、数よりも大型株上場を狙って営業体制を作っていきたい」と、数よりも銘柄を重視するという意向を明かした。また「サービスのクオリティーも上げていきたい。ウェブサイトについても現在の1日あたり200万ページビューが増えるように強化していきたい」としている。

そして「あるテレビ番組を見ていたら、日本が10年後にリーダーシップをとることができるかという質問に、75%の人たちがムリだと答えていた。そしてその理由のトップは日本の金融システムが変わらないからというものだった。答えていた一般の人たちまで金融システムが問題だと考えている。ナスダック・ジャパンは日本の金融システムを率先して変えていきたい」と締めくくった。

昨年から引き続く株価の低迷で、新規上場銘柄の額面割れといったことが珍しくなくなり、上場を予定していた企業も、しばらく様子見といった形で上場延期をするところも出てきている。自らを“素人”という佐伯氏だが、専門家でないからこそ可能な思い切った手腕が期待されている。

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