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マイクロソフト(株) : 奥津 和真氏

Windows 2000チーム徹底インタビュー (その6) Internet Explorerのゴールは表示された、すべてのものにアクセスできるようにすることです~Internet Explorer 5.5~

2000年12月13日 01時05分更新

文● 聞き手、構成:MSDN Magazine編集部

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[編集部] 「Internet Explorer 5.0」をインストールして、各パッチを当てていくのならば、「5.01」をダウンロードしてインストールすることによって、バグフィックスを含めた最新の環境が整うというわけですね。では、開発者向けリリースが開始された「Internet Explorer 5.5 Platform preview」には、どのような特徴があるのでしょうか。
[奥津] 「Internet Explorer 5.5」では、たとえ「5.01」から「5.5」になっても、たとえば、かつて「4.0」が「5.0」になった時のように、エンドユーザーが使う上で、劇的に変化する部分は非常に少なくなる予定です。当然のことながら、現在はまだ「Platform Preview」ですので、今後どのように仕様が変更され、機能強化や新機能の追加が行なわれるかは、はっきりと分からない部分もあります。しかし実際は、UIなどは何ら変化がない。また、「インターネットオプション」を見ても、ユーザーは大きな違いに気がつかないでしょう。綿密に比較すれば、オプションの中に一項目増えていたりするかもしれませんが、あってもその程度なのです。

 エンドユーザーにとって、現在の「Platform Preview」でメリットとなる機能としては、「印刷プレビュー」機能が搭載されたことでしょう。Webページの印刷というのは、昔からの課題だと思っています。個人的には、これも完全な解決策ではないと思いますが、やはり現実的に難しい部分がありますから、印刷する前に確認できるということは非常に有意義でしょう。印刷してしまってから、印刷されない部分があったり、自分の思ったイメージどおりに見えないというトラブルを防ぐという意味では、「印刷プレビュー」機能は大きな進歩だと思います。また、Scripting Engineが「5.5」になったことも大きなポイントでしょう。

 では実際に、「Internet Explorer 5.5」で何が変わるかというと、どちらにしても単なるブラウザとしては、ある意味で完成の域に達している。これ以上ブラウザとしての機能をどうやって拡張するかという問題ではなくて、今までの機能をどれだけ洗練させていくかという段階に来ていると思います。そういった意味も含めて、大きな変更は、DHTMLなどの開発者に対してメリットのある機能強化がメインになるということです。

 具体的な例を挙げましょう。たとえば「5.0」の時に「DHTMLビヘイビア」が搭載されました。「5.0」の「DHTMLビヘイビア」では、個々の機能を「HTMLコンポーネント(HTC)」としてコンポーネント化できるようになりました。そのコンポーネントを使う場合には、CSSの中でアタッチしていたわけです。特定のCSSのクラスに割り当てる方法か、もしくは既存のタグのCSSの中に混ぜる方法で行なっていた。しかし、これらの方法では、問題が発生する場合のあることが分かった。つまり、運用上の問題と開発に関連する問題です。

 CSSにビヘイビアへの関連付けが入っていて、それを使用している場合、たとえば、このビヘイビアのタグが、何を目的としているのかが分からないデザイナの方がページを編集した時、ビヘイビアのタグを修正してしまったり、誤って消してしまうといった事故が起こっていた。この原因を考えてみると、ビヘイビアの指定がCSSと混ざっているために、区別が付け難いから起こるということです。そこで「5.5」では「エレメントビヘイビア」という機能が拡張され、完全にオリジナルのタグを作ることができるようになりました。CSSで関連付けるのではなく、そのビヘイビアを利用するHTMLに、特定のIMPORTタグを置いて、そこでHTMLコンポーネントのファイルをインポート指定します。こうすることによって完全にオリジナルのタグを、下のHTMLの中で、あたかも標準のHTMLのタグを使うかのように利用できるようになるわけです。ですからCSSの部分を、たとえばスクリプトなどの知識のないWebデザイナの方が、スタイルを変更しようとした場合に、ビヘイビアのタグを見て、「何だこれ?、消しちゃえ!」といった場合の事故が起こらなくなる。さらに、完全に新しいタグを作ることができますから、非常に開発がしやすくなったということです。

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