e-businessという造語が広く使われていることは好ましい
続いて講演を行なったIBMの大歳社長は、「e-businessという造語は3年ほど前にIBMが作った。その造語が今ではあちこちで使用されている。昔であれば自分たちだけで使っただろう。今IBMはオープン、スタンダードといったことを掲げている。e-businessという言葉が広く使われることは好ましいことだ」と、語った。
IBMの大歳社長 |
「インターネットが、世の中のルールを根本的に変えている部分があると思う。消費者主導への転換がそうだ。eコマースの利用者のうち、57パーセントが取り引きを完了することなく中断している。システムに障害があれば42パーセントがそれ以降利用しないというデータがある」
「ネットが社会のインフラといえるかというと、サービスが中断したり侵入されたりと現時点ではまだまだだ。改善していかなければいけない部分はたくさんある」と、IBMもベンダーとして頑張らなければいけないと語った。
10年後には人間の頭脳レベルに
情報技術の動向について大歳社長は、「大きく分けて、“ディープコンピューティング”と“パーベイシブコンピューティング”の2つがある。ディープコンピューティングは、膨大なデータを迅速に分析、加工することだ。徹底的に深く掘り下げる。チェスで人間のチャンピオンに勝ったとき、トカゲの頭脳の速さだった。今日はねずみぐらい。10年後には人間の頭脳と同程度の速さになるだろう」
「もう一方のパーベイシブコンピューティングは、いたる所に浸透するコンピュータのことだ。将来的にはあらゆる物に埋め込まれることになるだろう。たとえばWebサーバは近いうちに埃の大きさを実現できるだろう。この“スマートダスト”をバリウムの代わりに飲めば、サーバが診断したり、さらには治療できるようになるかもしれない」と、未来を予測してみせた。
「IBMは、ITがいつでも誰でも安心して使える社会インフラとなるように、豊かな社会に向けて活動していく」と締めくくった。