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“LinuxWorld Conference&Demo Tokyo/2000”開催、基調講演は日本IBM社長

2000年10月31日 15時36分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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Linux専門の展示会“LinuxWorld Conference&Demo Tokyo/2000”が東京ファッションタウンで開催された。今回のLinuxWorldはコンファレンス&デモ展として、Linuxのビジネスモデルや製品に関する講演やディスカッションを中心に展開される。

日本IBM社長が基調講演

本日の午前中は、日本アイ・ビー・エム(株)代表取締役社長の大歳卓麻氏が、“e-ビジネスと企業経営”と題した基調講演を行なった。

初日に基調講演を行なった日本アイ・ビー・エム(株)代表取締役社長の大歳卓麻氏

同氏は、国内のBtoC市場は2003年には3.2兆円、BtoB市場は68兆円になるとの調査機関の予測を紹介、これらに対応するため、企業はIT向けにシステムを再構築する必要があると説明。「ITにより企業間取引の形態は変化する。1対1から1対nとなり、また、ほしい製品を世界中のサプライヤー提示し納札してもらえる。このe-marketplaceは複数の買い手と売り手で構成されており、インターネット上で常に最新情報を提供できなければバリューチェーンからはじき出されるだろう」と語った。

e-ビジネスにおいては、1:企業は自社の強みを正しく見極め、そこに自社の経営資源を集中する、2:インフラの元で新しいビジネスモデルを構築する、3:プロセスの簡素化と標準化、4:リアルとバーチャルの融合によりビジネスを完結させる、5:アウトソーシングを活用し、他者がやったほうがうまくいくビジネスプロセスはそちらにやってもらう、6:ITと経営戦略の統合が重要と説明。「ITを前提に経営戦略を作成するのが経営者の役割。CEOはチーフe-ビジネスオフィサーに変えてもいい」

技術の保有から利用へ

また同氏は、現在、既存の企業がプロセスごとにe-ビジネスへ対応している状況であり、その後業界全体の変革、さらに行政/医療/教育といった社会の変革があると説明。このような環境を踏まえ、企業の価値観が、自分で技術をすべて保有するのではなく、必要なものは他から利用するという“保有から利用へ”に変わりつつあるという。同氏は今後、インターネットデータセンターやISP/ASP、アウトソーシングといった新しいサービス形態が拡大するとしている。

さらに、ITが社会インフラになるための課題として、誰もが簡単に安心して何時でも使えることが重要と語り、そのためのシステムは連続可用性や拡張性、可搬性を備え、標準化に準拠し、高い品質と安定稼動を備えたものが必要だと説明。オープン&スタンダードを前提に、業界標準準拠のシステム構成として、開発環境にJavaやXML、ミドルウェアにWebSphere、DB2、MQ、DOMINO、OSにLinuxを挙げている。

流れを止められないのなら先頭に立つ

IBMは昨年よりLinuxに力を入れてきたが今年5月に全方位戦略を発表、全サーバーおよびミドルウェアのLinux対応、サポートセンター設立など、本格展開を開始している。また、「今後はアプリケーションの充実がLinux普及の鍵」とし、開発キットの無償配布も行なっている。

同氏は、「Linuxはまだこれからの世界だが変化のスピードは速い。LinuxはサーバーOS市場でシェア24.4%、2004年には全OS市場の38%を占めるといわれる。流れは止められない。ピーター・ドラッガー氏の言葉で“変化はコントロールできない。われわれができるのはその先頭に立つことだけだ”というのがある。IBMはそういう環境の中でe-ビジネスパートナーとして市場に貢献し、先頭に立って変化をリードしていきたい」と締めくくった。

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