マイクロソフト(株)クライアントWindowsマネージャー : 御代 茂樹氏
Windows 2000チーム徹底インタビュー (その1) 僕たちはWindowsにロックオンしておく~Windows 2000 Professional~
2000年11月08日 02時39分更新
たとえばXMLやSOAPといった規格は、今までのコンピューティングじゃなくて、新しい何かの間口になって、そのための顔の提供と中味の提供ができる。今までは顔だけだったじゃないですか。これからは中味まで提供できる、そこがPCだけじゃなくて、類する機器すべてに共通して表われてくる、すごい大きなアプリケーションですよね。特に携帯系にとってはね。
インターネットからサービスが落ちてくるということに対して、それで全部が解決できるかというと、それはできない。ここにはきちんとした経験があって、ローカルで何でもできるという利便性というのは、単にインターネット上のアプリケーションでメールができればいいというだけで物事が語れるほどマーケットは狭くないんです。もの凄くたくさんの使い方がある。だから、Windowsの環境にきちんとロックオンしておいて、必要なものが必要な時に、いろいろな場所で手に入れることのできる手段を提供していかないと、本当の満足度はないんですよ。
もっと多様なはずだから、エンドユーザーを決してなめちゃいけない。すごくたくさんの趣味と、用途と場面で働いているコンピュータがあるということをなめちゃいけないと思っている。僕も本当にこんなこと言えるようになったのは、組み込みのWindows CEやWindows NTでの経験からです。いろいろな場面のコンシューマに近いところで動いているのを見た時に、そのプログラミングモデルって一体何なんだろうって考えたんです。
以前、カーナビの開発環境を経験したことがあります。1つのアプリケーションまではよかった、そして通信機能の拡張まではよかった。しかし、インターネットに加えて、さらにいろいろな要求が加わった時に、1つのメモリ空間で作って、そこにタスクプライオリティごとにグループを作ってアプリケーションを入れて、プライオリティを2倍、3倍にすることだけでシステムを回しているっていうのでは、もはやバグフィックスの余地がない。
一時期、止まるカーナビをけっこう見るようになってきたぞ、みたいな印象があった。確かに速くはなったけれど、プログラミングモデルの究極までカーナビは来てしまっているんですよね。だから、これからはきちんとしたスレッドモデルというか、アプリケーションが同時に動いて、リアルタイムも必要とされるんだけれど、プログラミングモデルこそが大事なんだということが分かった。あの地図を表示する1つの機能だけに10年間走ってきたカーナビが、新しいファンクションや単体のカーステレオが入った瞬間に、エアコンなどのコントロールと一緒になり始めたり、ディスプレイとして地図を出す以外のファンクションを持たせたいとメーカーさんが考えた瞬間に、プログラミングモデルを変えなければならないという壁にぶち当たってしまった。
製品としてお見せできるのはもう少し時間がかかりますけれど、今、Windowsプログラミングモデルを、あの業界の人たちも見直してくれているのはそういうところにあるんです。僕らは、ベネフィットというのは、きちんとWindowsにロックオンして、何かが出てきても、何に根ざして何を考えるべきなのかを考えて、単機能の良さに惑わされちゃいけない。きちんと要求されたものは提供しなければいけないんだと改めて思ったんです。
それまでは非常に流されがちだった。最初は、あれがいいんじゃないか、これがいいんじゃないかと。コンピュータの世界から一歩出ると、いろいろなものが存在しますからね。こんな数十KB~数百KBで動くOSって必要なんだなあなどと、いろいろ考えるわけです。しかし、現在では単機能で終わっているものから、そうでないものまでの進化というのが、デバイスでも求められている。
そして、1つのデバイスを一から作り上げることよりも、標準のプラットフォームを望んでいる。この業界の人たちにとって、部品の調達からアーキテクチャまでが非常に大事であるとともに、ハードウェアエンジニアがソフトウェアのことが分からないのは共通の悩みなんだな後。そういう悩みをみんなが抱えていて、それぞれが作っていて共通のものがない。
そこで共通のアーキテクチャ、まあカーナビは、これからのアーキテクチャを望んでいるんだろうけれど。そういうものを提供して、安いパーツで組み立てられた。こういったことは、どの業界の人たちにも大事なことだから、やはりWindowsにきちんとロックオンをしておくことは、とても大事なことなんだと改めて分かったんですよ。
それともう1つ、次のステップにおけるの良さというものを、もう一回考え直したほうがいい思う。Linuxがいいって言うのは、あの20年前のUNIXがいいって言う同じことの繰り返しをしているだけなので、Linuxが本当に画期的でなければならなかったんだけどそうはならない。Javaはプログラミングモデルとしては素晴らしいけれど、残念ながらオールマイティではない。そうなると、やはりSun Microsystemsが考えているよりも何倍も先に進みたい人や、何かに組み入れたい人たちは、待てないし持たないということになった。
そこで、その仕様をどこに収束させるのが一番よいのかということにSun Microsystemsもジレンマを抱えている。もっとオープンなディスカッションの場にするほうがいいのか、もしくは自分たちが本当に引っ張っていく戦術にぐっと引き戻すのがいいのか、現在何かが求められている。そこには、ワークステーション止まりの先を、今後どうやっていったらいいのかという、次のステップがあるんでしょうね。それは僕らも同じだし、いろいろなコンピュータ系から始まったメーカーすべてが抱える問題だと思います。
次は、どうなるんでしょう。リアルタイム系のOSも確かに難しいとは思いますけれど。でも、やはり彼らも、そのプログラミングモデルだとか、プラットフォームに対するサポートのことなどを真剣に考えている。ここがOSメーカーの勝負のしどころですからね。