文化庁などが主催する、第1回文化庁メディア芸術祭の授賞式、作品展示、シンポジウムなどが、東京オペラシティ、新国立劇場で開催された。
同芸術祭は、新しい表現技法を開拓したメディア芸術作品を表彰し、また、そのメディア芸術の鑑賞機会を提供することで、メディア芸術の振興を図るべく設けられたもの、デジタルアート・インタラクティブ(ゲームソフト、ホームページ)、デジタルアート・ノンインタラクティブ(動画、静止画)、アニメーション、マンガの各部門ごとに、1作品に大賞(賞金60万円)、4作品に優秀賞(賞金30万円)が、文部省政務次官の森田健作氏より授与された。
各部門の受賞作品は、以下のとおり。
デジタルアート・インタラクティブ部門
【大賞】
・近森基氏によるインスタレーション『KAGE』
【優秀賞】
・(株)スクウェア『ファイナルファンタジーVII』
・(株)シナジー幾何学『空にとけるルビーになりたい』
・(株)ソニー・コンピュータエンタテインメント『IQ~インテリジェント
キューブ』
・長藤寛和氏(ホームページ)『image dive SITE』
デジタルアート・ノンインタラクティブ部門
【大賞】
・(株)ナムコのゲーム『Soul Blade』(日本名Soul Edge)のオープニングCG映像
【優秀賞】
・鷺義勝氏の個人制作のCG静止画『SCENE#97-GENERATED AFTER』
・(株)富士テレビジョンと(株)関西テレビ放送のTV番組中に使われたCG画像『SMAP×SMAP
SPECIAL EFFECTS IN THE TRIBUTE SONGS』
・ウイグル総司令本部のプロモーション用CG映像『私は私が大好き』
・保田紀之氏と安田好孝氏による個人制作のCG映像『hana』。
アニメーション部門
【大賞】
・(株)徳間書店、スタジオジブリ・カンパニー、日本テレビ放送網(株)、(株)電通劇場公開作品『もののけ姫』
【優秀賞】
・日本放送協会のTV放送短編作品『プチプチアニメ~ニャッキ~』
・又吉浩氏の個人制作短編作品『BUGS』
・GAINAX、EVA制作委員会による、TV放送および劇場公開作品『新世紀エヴァンゲリオン』
・個人、団体の基金により制作された長編作品『どんぐりの家』
マンガ部門
【大賞】
・(株)中央口公論社の22人のマンガ家によって古典文学をマンガ化した『マンガにホンの古典』
【優秀賞】
・岡崎武士氏の『精霊使いーエレメンダラー』
・沙村広明氏の『無限の住人』
・小山ゆう氏の『あずみ』
・浦沢直樹氏の『MONSTER』。
また、午後1時30分からは岡田斗志夫氏、押井守氏、高城剛氏、菅野嘉則氏の4人をパネリストに迎え、同芸術祭の審査委員長で、筑波大学助教授のCGアーティスト河口洋一郎氏がコーディネーターとなり“メディア芸術の将来像について”をテーマにシンポジウムが行なわれた。
席上、若い世代のクリエイターが育っていない状況をどうすべきか、という問題が中心となり、岡田氏は「すべての人が、平均的に“ほどほどにクリエイティブ”なことをして、“ほどほどに個性的”な世の中がユートピアだ。クリエイターなんていらない」と現状を述べ、対照的に高城氏は「日本の住環境と教育環境が、日本人のクリエイティビティーを妨げている」と問題提起をしていた。
また、海外で評価の高い作品を作る押井氏は「日本が今誇れる、アニメやアニメーションは、虐げられほっておかれたからここまで伸びた。これが古典芸能のように守るべきものになってしまったらだめだ」とこれからのアニメについて語った。(報道局 庄田恵美)
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