![]() | Linuxのための『XFree86入門』 |
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発行(株)アスキー(http://www.ascii.co.jp/)
Linuxを使うとき、サーバにでもしなければ、通常はXウィンドウを動かして、その上で作業をするのが普通でしょう。Xの画面を見て、「これがLinuxですね」なんていう人もいるくらいですが、FreeBSDでももちろん動きます。ウィンドウベースのGUIとして、LinuxではXFree86を用いるのが極めて一般的で、インストールすると勝手に入ってしまうことでしょう。
Xウィンドウをどこまで使いこなすかは利用者のレベルや、やりたいことによって大いに異なります。しかし、さまざまな機能を知ってくると、今まで不可能と思っていたこととか、面倒な方法でやっていたことが、簡単にできるのが分かったり、楽しい使い方などができるようになります。そういうわけで、Linuxを使うためのGUIであるXウィンドウをよく知ることはLinuxユーザーにとって重要です。
本書は、Linuxを使い始め、Xウィンドウでの操作が一応できる程度の人が、もうちょっと詳しく知りたいと思ったときに読むとよいレベルでしょう。Xについてのさまざまな設定が中心に紹介されており、コマンドのオプションなどを中心に、かなり表が多い本です。入門書ということからか、解説は比較的少なく、設定のやり方とその結果の画面表示などはかなり多いです。そういう構成なので、いろいろ詳しく知りたいと思う人には物足りなさが残るでしょう。
範囲は、歴史からはじまり、
- インストール手順
- 一般的な設定
- 各ウィンドウマネージャの解説
- ネットワーク
と一通り網羅しています。しかし、日本人に重要な漢字フォント関係については、翻訳書ということもあり、まったく解説はありません。画面も英語版のままですから、当然市販や付録についているLinuxのCDを入れた場合とは表示が違います。
私はもう10年以上もX Window Systemを使い続けています。今はX11R6ですが、本格的に使い始めた頃はまだX11R3の時代で、X11R4対応のX端末を作るために、Xのプログラムを読んで、安いハードでも動作するようにプログラムに手を加えたことがありました。本書は、Xウィンドウ対応プログラムを書くための説明はありませんので、Xのライブラリを使ってプログラムを組んでみたい人は、何分冊にもなっている非常に分厚いマニュアルと戦う必要がありますが、実際にそういうレベルでプログラムを組むことは今では極めて少なく、GTKなどを使うことになるでしょう。
Xウィンドウの素晴らしいことは、10年前も今も、それほど変化がないことです。これだけさまざまな技術が急激に進歩している時代に、本質的な変更なしで文句なく使い続けることが可能だったウィンドウシステムは、Windowsがその間に次々と大幅な変更をして継続性が断たれたことと比較すれば、いかに素晴らしい設計思想に基づいているかが分かるでしょう。
藤原博文
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