Debian GNU/Linux (slink)のバイナリCD-ROMは2枚組。Storm Linuxは1枚だ。つまり、1枚ぶんソフトウェアが少ないのだが、前述したStorm Package Managerから容易に追加インストールできるので、大した問題ではないだろう。
Storm Linuxをインストールした状態は、他のディストリビューションと同じく見なれたKDEやGNOMEが起動しているだけで、特に目立ったところはない。では、Storm Linux独自のツールの使い勝手はどうだろうか?
Storm Package Manager
これはパッケージをインストール・アンインストールするためのツール“apt-get”のフロントエンドだ。パッケージのリストをインターネット上のサイトから取得して、リストから選ぶだけでインストールできるツールである。もし選んだパッケージが別のパッケージに依存していれば (たとえばGNOMEはXに依存しているなど)、イモヅル式にインストールすることが可能だ。
パッケージをダウンロードするサイトは複数指定できる。左の画面で、StormixのサイトとDebianのサイト両方が指定されているのが分かるだろうか。このような能力によって、Debian GNU/LinuxとStorm Linux両方のアップグレードに追従することができ、どちらからも新しいパッケージをインストールすることができるのだ。試しにここにDebian-JPを追加してMewやkterm、日本語フォントなどをインストールしてみたが、予想通り何の問題もなく動作した (日本語環境構築は、Stormixサイトのドキュメント「Storm Linux 2000 SE 英語版で日本語を!」が参考になる)。
Storm Package Managerと同じ目的を持つDebian GNU/Linuxのdselectと比べると、GUIで操作できるStorm Package Managerのほうが初心者にとってかなり使いやすいだろう。ただしすべての設定がGUIでできるわけではなく、Proxyを指定するには/etc/apt/apt.confをエディタで編集しなければいけなかった。
Storm Linuxの管理ツール“SAS”
SAS (Storm Administration System)は、モジュール化されたシステム管理ツールだ。ユーザーインターフェイスが”SIL”(Simple Interface Language)というインターフェイス記述言語で統一的に扱われているので、ネットワーク経由でリモートからでもGUIにより管理できる。SASはStormix Technologiesが開発して、GPLの元でリリースしている。
しかし、いまのところSASはその本領を発揮していない。なぜなら、モジュールとして用意されているのは「ダイアルアップ」「ネットワーク」「ユーザー管理」の3つだけだからだ。また、ユーザーインターフェイスもGTKを使ったものしか存在しないのも原因だ (つまりWebインターフェイスなどがない)。少なくともいま存在するモジュールは使いやすいので、これから対応を増やしていくのがStormix Technologiesにとっての課題だろう。