年末年始になると、必ず「今年の10大ニュース」や「今年を振り返る」という話題になります。オラクルの宮原さんに先を越されてしまって、ちょっと残念です。それでもお約束ですから、当社なりに1999年のLinux業界を振返りながら2000年を展望します。
今年一年Linux業界は、さまざまな出来事や事件がありました。よく考えてみると、Linux業界が形作られた年だったのかもしれません。JLA(日本Linux協会)発足のニュースに始まり、レッドハット(株)に続き、ターボリナックス ジャパン(株)もパートナー募集開始と、組織絡みの話題に暮れた1年といった感じでしょうか。さまざまな組織や団体が作られるのは、インターネットとともに歩んでいるLinuxの特性ともいえます。また、イベントの盛り上がりは、印象深いものがあります。3月のLinuxWorld Conference Japan '99を皮切りに多くのイベントが開催されました。さらに、出版業界のLinuxブームは、過剰なものを感じます。コンピュータ書籍の棚に「Linuxコーナー」が誕生し、月刊誌も花盛りです。気がかりなのは、過剰な出版が冷えたときに「Linux」そのものが冷えたと感じられてしまう点です。
昨年(1998年)までは、Linuxを業務で利用するために、データベース製品の対応を待ち望んでいました。望みは完全にかなえられています。特にOracleは、「Oracle8 Workgroup Server for Linux」に始まり「Oracle8i Workgroup Server for Linux」で暮れた感じです。来年(2000年)は、IBMの「WebSphere」もLinux版の噂など、アプリケーションサーバ本命として大きく期待がかかります。
トップニュースを選ぶとすると、Red Hat の日本法人、レッドハット(株)の設立ではないでしょうか。この話は、3月から囁かれていました。それでも、実際にレッドハットが設立されると、大きなインパクトとなりました。反発の声も聞かれますが、日本のSIの歴史を考えると当然のシナリオではないでしょうか。ターボリナックス ジャパンも同様のビジネス展開を発表しているので、この方向性は確かなものになりそうです。ただし、コンシューマ向けの製品は、今まで通りの形態で販売されるようです。また、Red Hat Linuxは、これまでどおりインターネット上に公開されるので、心配されている方はご安心ください。
しかし、Linuxも外圧(海外勢力)に押される形で、新たなビジネスがスタートしたのは日本の国民性でしょうか。この動きは、来年も継続するでしょう。Red Hatに続き、ビジネスLinuxを掲げて上陸する企業が現われるはずです。来年は、龍のごとくLinuxビジネスが力強く躍進する年となりそうです。