森山大道が撮った「すっぴん」の銀座
7日から、森山大道が銀座「RING CUBE」で初のデジカメ写真展「銀座/DIGITAL」を開催している。モチーフは新宿ではなく、そのもの「銀座」だ。森山さんが昨年の11月末から12月の間にで撮りためた写真から65枚を展示している。
知らない人に紹介するなら、森山さんは都市にわきたつ「人間」そのものの匂いと孤独を撮りつづけている写真家だ。細江英公に師事し、「アレ・ブレ・ボケ」と表現されるガリガリの高コントラストとゴリゴリした粒子の粗い構図がよく知られている。
以前GR DIGITALオフィシャルサイト内のギャラリーで「新宿」をモチーフに撮っていたときも「アナログとデジタルの差異は感じなかった」と語っていた同氏。初となる「プリントアウトした状態で」の展示はどんなものか気になっていたので、さっそく足を運んできた。
森山さんがフィルム時代からのリコー「GR」ユーザーということはよく知られている。同社からのインタビューに「手に21mm、ジーパンのおしりのポケットに28mm」と答えていたことも記憶に新しい。
今回の企画展では、オンラインギャラリーではおさえめだった(と思う)コンパクトデジカメならではの生々しさが表れているように感じた。なんというか「彼女、服の下は全裸だぜ」と言われているようなエロティックさがある。フィルム時代の荒々しさともまた違う、東京の「すっぴん」が撮られているのだ。
展示は9Fでも開催している。こちらはこれまでに撮りためていたものからの出展(左)。また、同階はリコーがこれまでに発売したカメラの約3分の1が揃うギャラリースペースにもなっている(中央)。傍らに「リコーフレックス」の特設コーナーも設けられていた(右)。ちなみに最も古い展示品は1934年(昭和9年)の「オリンピック B型」。当時の販売価格は15円で、現在の値段に換算すると7~9万円程度?)
近作「新宿+」「ハワイ」(いずれも月曜社)などで衝撃を与えつづける同氏の写真世界。まともに何かを見づらくなった時代にこそ、森山さんが「デジカメ」で撮影したカットは新鮮な視線を与えてくれるはず。企画展はもちろん入場無料で、2月1日までの開催。冬晴れの銀座を散歩がてら、立ち寄ってみてください。
