
フリクションボールの登場で知名度がグッと上がった“消えるボールペン”。実は他社からも複数の製品が出ている
シャープペンシルや鉛筆が消しゴムで修正できるのに対し、ボールペンは訂正しない、または書き替えるべきでない場面で使う筆記具という使い分けの常識を打ち破ったのが、“消せるボールペン”の中でも昨年登場してヒット商品となったパイロットの「フリクションボール」だ。
しかし消えるボールペンはフリクションボールが元祖ではない。2002年発売の三菱鉛筆「ユニボール シグノ イレイサブル」(以下、シグノイレイサブル)、米Papermateの「ペーパーメイト リプレイマックス」(以下、リプレイマックス)といった異なる特徴を持ったペンも以前から存在する。
最後のリプレイマックスは国内メーカー製でないこともあり、若干店頭で見掛ける機会が少ないが、油性インクを用いているがゆえの利用場面の広さ(他は水性)と普通のボールペンと近い書き味で、オフィスでも大変使い勝手のいいペンだ。
同じように消えても、原理が異なる“消えるペン”
さて、これらの消えるペンは同じような製品に見えて原理はかなり違う。まずフリクションボールは、約65度で透明になる特殊インク“フリクションインク”を用いる。
つまりインク自体はそのまま紙の上に残って、色だけ消えてるのだ。一度透明になれば常温に戻しても色が戻らないという点も特徴的である。
次にシグノイレイサブルはゲルインクと呼ばれるタイプで、インク粒子がゲル状に溶液の中に浮遊している仕組みになっている。そしてペンで書いた後もインクが紙の繊維にまで入り込まず表面に残る。この状態で消しゴムでこすれば、剥がれて消せるというわけ。
最後の「リプレイマックス」は詳細は不明だが、単に加熱してみただけでは消えなかったので、方式としてはシグノイレイサブルと同様に紙の表面に残るタイプのようだ。
またリプレイマックスは、書いた直後は消せるものの、1日程度経つと紙に定着して消せなくなる(消えにくくなる)という特徴を持つ。
確かに書き直しをする場面のほとんどは書いた直後だろうし、時間が経てば消せなくなるのであれば“記録として残せる”というボールペン本来の利点も兼ね備えているとも言える。
時間が経つと定着するのは粒子が小さくなって紙の繊維に入り込むような工夫がなされていると考えられる。
