
紙の端を挟んでスライドさせるだけで、糊が付く「ドットライナー ホールド」。大量の糊付けが必要な用途に欠かせない
手もオフィス机も汚れない糊の最終形
封筒を閉じたり、紙に領収書を貼り付けたりするのに欠かせない糊。オフィスでは当たり前のような存在だが、その形状の進化度合いはなかなか激しい。特に最近目立った進化といえばテープ糊だろう。テープ糊製品は国内文具メーカー各社が競合して投入してきているだけあってバリエーションも豊富だが、基本的なしくみは共通である。
内蔵されたカートリッジにはテープが巻かれ、ヘッド部分を紙に押しつけて引くだけでテープに乗っかった糊が紙に転写される。実際に使ってみても指が汚れることはなく、転写される糊はまずまず均一、テープ状に巻かれているので糊が乾くこともない。
テープ糊の難点としては、ローラー状のヘッドを用いるため曲線を描いて糊を塗布するのに向いていないことなのだが、オフィスにおいてはそのような用途は比較的少ないだろう。
進化と形態の変化が続いている糊
現在の最強の糊がテープ糊で決まりだとして、少し糊の進化を考えてみると、なかなか驚かされるものがある。
まず幼稚園時代や小学生時代の工作で使った人も多いであろう、不易糊工業の「フエキ糊」。登場はなんと1895年と100年以上前のこと。天然のでんぷん(現在はコーンスターチ)を原料として用いながら(なので子供が使っても安心)、微量の防腐剤を添加することで長期間腐らずに糊製品としての流通を可能にした点が大きな進化だったのである。
とはいえ、現在オフィスで見るのは速乾性のある樹脂系接着剤が主流。こちらの定番はスティック状の液状糊「アラビックヤマト」で、スティック状スクィーズボトルと独特のスポンジキャップのデザインはある意味完成されている。ただし、このタイプはスポンジキャップに染み込んだ糊が固まってしまって出にくくなるのが弱点だった。
その問題を解決しつつ、さらに進化したのが固形糊を使うスティック糊である。水分が少ないため薄めの紙でもシワになりにくいメリットも大きい。最近では糊に色が付いており、乾燥すると透明になるなどの細かな利便性向上が続いている。ただし、塗りたい部分から糊がはみ出してしまいがちなので、糊付けの際に紙などを敷く必要などが生じる。この問題すら解決したのがテープ糊となる。
