あくまでも私の印象に過ぎないのだが、世の中はMacに対する偏見と揶揄の言葉に満ちあふれている。たとえばこんな逸話。
- Macユーザーは、自分のマシンのことを「この子」と言う。
- Macなら、遅かったり重かったりしても愛の力で許される。
- とある人が初めてMacBookを買い、外に持ち出して使っていたら、見知らぬおじさんがやってきて「ふーん、キミ、いつから?」と馴れ馴れしく話しかけてきた。つまり、Macユーザーにはよく分からない連帯感とヒエラルキーが存在する。
- Macからメールを送られると、必ず「(月)(火)……」と、曜日が記述されている(メールにマル付き数字を使うとこうなる)。
とまあ、根も葉もない(あるものはあるか?)こうした話はしかし、私のMac観みたいなものを形成するには十分に作用していたし、実際自作PC雑誌出身であり、MS-DOSから始まってWindowsを長年使っている身としては、どーしても細かい部分でMacに対してイヤ~な感じを持っていた。
たとえばHDDのアクセスランプがないから、マシンの処理が重くなった際に何が起こっているのか全く想像できない点。HDDが動いているかどうかが分かるだけでも、相当違うのに。
当然マウスボタンが1つである点も納得いかない。それから、「特別」メニューって何!? アイコンをドラッグするだけのインストールだって、コピーしているんだかインストールなんだか分からないじゃないか!?
そもそもMacが存在するからデザイナーさんとのやりとりでいつまでもLZHを使わなければならないし、文字化けだ何だとよく分からないことが起こるし!
世の中のクライアントパソコンは全部Windowsに統一! WebブラウザもIEでキマリ! そうなれ! と、半ば本気で思っていたフシもあった (とはいえ、今はFirefoxもありますがね)。
いろいろ誤解していた
しかし、今私はMacBook Airを肌身離さず持っているのである(Apple Storeへのリンク)。
この原稿も当然、MacBook Airを使って書いている。仮想化ソフト「VMware Fusion 2」の上にWindows XPをインストールしてはいるが、Windowsアプリは滅多に使わないのである。上記した私の「イヤ~」な点は、すでに解決されていたり、ある意味そもそもが思い込みだったりしたのである。
だいたい、Macでも「Microsoft Office 2008」が使えるし、ウェブブラウザーはSafariでもいいがFirefoxも用意されている。IMEはATOK 2008がある。テキストエディタも、「Jedit X」というシェアウェアがあって、Windowsで使用している「秀丸エディタ」とは使い勝手は違うものの、キーバインドを自分好みにカスタマイズできる。圧縮ファイルもZIPが標準だ。正直、普段使いする分には、Windowsとの違いがなさ過ぎてつまらないくらいだ。
しかも、MacBook Airは、持っていて楽しい! キーボードは、今まで使っていたThinkPadとは全然違う「味」ではあるものの、打ち心地がいい。薄いから鞄に入れやすい(まあ、以前使っていたシャープのMuramasaだって、薄くて使いやすかった。持ち運びやすいって言えば、初代のVAIO C1も小さくてよかった。嗚呼、軽さと言えば、1.1kgの富士通「FMV-BIBLO NC」もあった……)。
見た目も美しく、数m離れて眺めたり、自分の腕の中に抱いていると気持ちイイ(もちろん、初期ロットを予約して買ったThinkPad s30だって美しかったけど)。
カッコ書きの中で、今まで使ってきたWindowsマシンの思い出をついつい語ってしまったが、いずれにせよ、MacBook Airは、モノとして優れていると思う。まあ、「まずモノとして美しい」というのが、Macというヤツなのでしょうね。
さて、ここでは、DOSとWindowsしか知らない筆者が、初めて本格的にMacを使って驚いた点などをレポートしたい。Macユーザーにとっては常識である事柄も多いはずだが、「ボーナスでMac買おうかどうしよか」というWindowsユーザーにとっては、そこそこ参考になるのではないかと思う。
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