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混ぜればゴミ、分ければ資源 ― 第3回

都市鉱山を掘れ!! (その3)

2008年11月17日 14時36分更新

文● 清水真砂 写真●中野義樹

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日本が資源大国になると話題になった「都市鉱山」。廃棄された電子機器や製造工程のスクラップなど、ゴミの山に埋もれた資源を掘り出して、リサイクルする取り組みのことだ。この都市鉱山がいま、現実のビジネスとして動き始めている。その現状を探った。

その1その2から続く)

工場スクラップから資源を生み出す

バッテリー1 バッテリー2
大阪・ティーエムシーが回収したバッテリー類。バッテリーの製造工程では約4割が不良品となり、同社がリサイクルしている。これは、国内の家庭や企業で廃棄されたバッテリーを回収するよりはるかに多いという

 そういった、都市鉱山における問屋のような機能を持つ企業の1社が、大阪のティーエムシーだ。同社はレアメタルを中心に、リサイクル資源の回収と精製、販売を行っている。

 もっとも、同社は廃棄された家電などではなく、メーカーの工場の製造工程で出る「プロダクションスクラップ」を主として回収している。

合金
回収したさまざまな金属・合金からティーエムシーが 精製した、鉄とニッケル、コバルト、銅の合金。「アルニコ磁石」という永久磁石の原料となる

 回収した金属類は、一定の量をそろえて出荷するほか、違う形状や組成に精錬するなどして販売するが、合金からニッケルやクロムといった個別の元素に分離したりはしない。これは、完全に元素ごとに分離して販売しても、使う側が結局合金に混ぜ合わせるからだ。そのため、回収した合金や金属は同社側で混ぜ合わせ、ニーズのある別の合金として出荷するという。

 さらに、同社はコバルトの精錬も子会社で行っている。その1の冒頭で紹介したコバルト工場がそうで、リチウムイオンバッテリーに使われるコバルト酸リチウムから、金属コバルトを回収している。

 一般に、リチウムイオンバッテリーを生産する際の歩留まりは6割といわれる。つまり、全体の4割はスクラップとなる。

 「コバルトを1トン作るのに、約1000トンの鉱石が必要になり、総エネルギー量はバカになりません。スクラップからのコバルトのリサイクルは、環境にもやさしいのです」と語るのは、同社社長の田中一誠氏。

コバルト
不良品となったリチウムイオンバッテリーから回収した金属コバルト。再びバッテリーの原料となる

 同社の工場の金属コバルト回収能力は、1日あたり約1トン。99.6~99.7%の高い純度でコバルトを抽出できる。再生した金属コバルトは、もう一度電池原料として再利用される。

 こうしてリサイクル資源は再び市場へと送り出されるが、こちらも価格面に課題がある。

 「欧米では同等の価格で買い取ってくれるのに、日本では、スクラップからの買い取りは、バージンメタルに比べて安いのです。“資源ゴミ”という表現がありますが、資源はゴミではない。分別されたものは鉱山から掘られたのと同じ資源だと認識してほしい」(田中氏)。

 同社は現状、リチウムイオンバッテリーのリサイクルで、コバルトは回収するが、リチウムは回収できていない。このリチウムについても回収すべく、研究開発を行っているという。

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