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混ぜればゴミ、分ければ資源 第2回

都市鉱山を掘れ!! (その2)

2008年11月10日 03時30分更新

文● 清水真砂 写真●中野義樹

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日本が資源大国になると話題になった「都市鉱山」。廃棄された電子機器や製造工程のスクラップなど、ゴミの山に埋もれた資源を掘り出して、リサイクルする取り組みのことだ。この都市鉱山がいま、現実のビジネスとして動き始めている。その現状を探った。

その1から続く)

人の手による分解・分類

分類済みのパソコン

ネジ1本まで細かく分類。CPUクーラーは銅100%のものが多く、そのまま資源として再利用できる。アルミ製のファンも同様だが、一方で乾電池類のリサイクルは難しいとか

 それでも、徐々にではあるが、都市鉱山への関心は高まっている。2008年5月、東京都は使われなくなった携帯電話の回収事業に、都道府県として初めて参画することを発表した。携帯電話に関しては、キャリア各社がすでに回収事業を行っている。ソニーは9月に北九州市と共同で小型電子機器の回収実験を開始し、またビックカメラをはじめとする量販店も店頭での機器回収を強化している。

 こうしたリサイクル資源はさまざまなルートで回収され、中間処理業者にわたされる。この中間処理業者が、素材ごとに分類するという都市鉱山の最も難しい部分を担当している。そこで分類された資源は、新日鐵やJFEといった精錬業者によって再び金属製品となる。

 東京エコリサイクルも、そんな中間処理業者の1社だ。同社は洗濯機や冷蔵庫といった家電のほか、パソコンなどの中間処理を行っている。

 同社のパソコンを分解するプラントを実際に見てみると、分類用のケースが所狭しと並べられ、CPUだけ、メモリーだけといった感じで、パーツ・素材ごとに細かく分類されている。副工場長の岩下 真氏によると、「リサイクル以前にまずリユースとして、パーツのまま再利用されるものもあります。メモリーやCPUはその比率が高い。プラスチックや基板類は再資源化されます」という。

 再資源化する場合、アルミ、銅といった素材ごとに分類しなければならない。どうやって判別するのかというと、「人間の目」なのだそうだ。製品の分解も「人間の手」で行っており、実際にパソコンの分解を担当するスタッフの仕事ぶりを拝見すると、すごいスピードで、さまざまな種類の製品をテキパキと分解・分類していく。まさに職人芸といったところ。こうして、人間の手によってネジの1本まで分別されていく。

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