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10億の顧客、42万5000のパートナー企業、競合も巻き込む!

マイクロソフトのグリーンITが地球を救う!?

2008年10月07日 23時48分更新

文● 新 淳一/企画報道編集部

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ロブ・バーナード氏

米マイクロソフトの最高環境戦略責任者ロブ・バーナード氏

 今や、ITの力でどれだけエネルギー効率や生産性を向上できるかどれだけ二酸化炭素を削減できるか、あらゆるハード/ソフトウェアベンダーがことあるごとに自分たちの技術を喧伝する時代。押しも押されもせぬグローバルIT企業であるマイクロソフトも負けてはいられない。10月7日、米マイクロソフトの最高環境戦略責任者ロブ・バーナード氏の来日にあわせて、環境への取り組みに関する記者説明会を開催した。

 マイクロソフトが新しく環境戦略部門を作り、環境への取り組みを本格化させたのは約1年前。マイクロソフトは、環境に対していい影響を最も効果的に与えるべく、次のような使命をまとめたという。まず、マイクロソフトのみならず顧客がソフトウェアの力を活用して、環境上の課題に取り組めるように支援すること。そして、マイクロソフトの企業活動や製品が環境に与える影響を軽減させ、世界に対して模範を示すというものだ。聞けば、マイクロソフトの顧客は10億人以上、パートナー企業は42万5000社あるそうで、マイクロソフトが本気で環境保護活動におけるリーダーシップをとるならば、効果も相応に期待できそうだ。

エネルギー効率向上に向けた戦略

マイクロソフトのエネルギー効率向上に向けた戦略

 バーナード氏は、テクノロジー以外に企業の行動パターンの変化が必要である点や、マイクロソフトが掲げる大枠の戦略についてひととおり説明すると、より具体的な取り組みについていくつか紹介してくれた。

 まずはクライアントのWindows Vistaの話。Vistaには36の省エネ機能が最初から搭載されているそうだが、いちばん大きな変化は、Vistaが初期設定状態で、使った後(操作がないと)20分後にスリープモードに入ることなのだという。100Wくらい使っているPCがスリープモードになると3Wで済むようになるため、台数が10万、20万台と多くなれば、電力削減効果も非常に大きくなる。ちなみに、次のWindows 7では、さらなる省エネ機能が搭載される予定だという。

 また、Windows Server 2008ではエネルギー効率が10%以上向上しているそうだが、さらに仮想化した環境でアプリケーションを走らせることでエネルギーの効率化が図れる。仮想化により過去2年の間に、3~5倍くらいのエネルギー効率を実現できたという。

 そのほか、ITを使って石油などの利用削減ができることにも言及した。たとえば、コミュニケーションのプラットフォームをより効率化できれば、わざわざ会社に行かなくても家で仕事ができるようになるわけだ。実際、英ブリティッシュ・テレコムではマイクロソフトのテクノロジーを使って、従業員の40%の人が在宅勤務を実現しているという。40%の人が車や電車に乗らずに済み、その分石油資源の使用を削減できることになる。

 マイクロソフトは以上のようなエネルギー効率の高い製品の開発に注力する一方で、「とりわけ環境の領域では、顧客やパートナー、競合他社などとの大々的な協力が不可欠である」(バーナード氏)という考えも持っている。競合といえば巨大なデータセンターを抱えたグーグルなどが思い浮かぶが、具体的に競合とどんな取り組みができるのか聞いてみると、たとえばグーグルには、Climate Savers Computing Initiative(CSCI)への参加を働きかけたという答えが返ってきた。CSCIは、マイクロソフトやグーグルのほか、インテルやデル、HP、IBM、レノボ、WWFなどといった企業や団体がメンバーとなり、2010年までにコンピューターの電力消費量を50%削減する目標を掲げて活動している団体だ。

 マイクロソフトはほかにも、Green Grid Consortiumという別の団体のボードメンバーでもある。Green Gridは、データセンターの省電力化に向けた調査、分析、新技術の精査・研究、指標の定義などといった活動をしている。バーナード氏の話では、両者の活動はこれからもっと目立ってくるだろうとのことだった。

 マイクロソフトの環境への取り組みは、米マイクロソフトの環境のページで詳しく紹介されている。マイクロソフトの持つ省エネに関するノウハウも“透明性”の高いテクニカルガイダンスとして提供されているのだが、現時点で日本語化はされていない。日本における環境部門の責任者であるマイクロソフト 業務執行役員 社長室室長 冨沢高明氏によれば、今月中に日本のサイトもリニューアルをし、今後、テクニカルガイダンスなども含めて積極的に情報を発信していくという。

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