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あなたが知らない家電の世界 第3回

日立「守るんでシュー」冷蔵庫をバラして実験!

2008年10月03日 09時00分更新

文● 正田拓也、トレンド編集部

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ポンプ

思考戦車「タチコマ」のような形をした、低気圧状態を作るポンプ部。砲塔(?)の上部にあるのが気圧を測るセンサー

象が踏んでも壊れない?! 超頑丈なチルドルームのヒミツ

 次の課題は「構造」だった。前述のとおり、気圧を下げることで外からの力は数百kgfにも及ぶ。それだけの圧力に耐える素材を見付けてこなければならない。

 初代の真空チルドルームは鉄板を敷くことで補強したが、重量がかさみ、冷蔵庫そのものに負荷がかかってしまう。そこで新たに素材を探したところ、ヘリコプターのプロペラなどに使用する特殊な強化プラスチックが目にとまった。

強化プラスチック

新製品の真空チルドルーム上部にはヘリコプターのプロペラなどに使用する強化プラスチックを採用

フタの補強

前面のフタにも補強がある。ぴったり閉めると、上下の圧力を支える柱となる

 強化プラスチックを採用し、ケース全面に凹凸をつけることで圧を分散。「鉄」に変わる新しい強化構造を実現したのだ。前面にあるフタも分厚い透明プラスチックで作られ、閉まった状態で上下からの力を支える仕組みだ。

 さらに重要なのは、低気圧環境を作るためのポンプ部。空気を抜く際の「静かさ」「速さ」の両立に頭を悩ませたという。まず、安心感のある動作スピードを実現するために同社製の特注モーターを採用した。モーターのことならお手のものという同社ならではの工夫だ。

ポンプはしっぽのように伸びたケーブルでチルドルームと接続している。防振のための3本のゴム足がついている

実際にはケースに収まって冷蔵庫内に装着される。今回はメーカーにお願いしてバラしていただいた

 次に、サイレントな動作を実現するため、モーターの振動が伝わらないように3本のゴム足をつけた。それを外側から防音ケースで覆うという二重の静音構造になっている。

 ポンプも手当たり次第に空気を抜くわけではもちろんない。上部のセンサーで気圧を監視しながら、庫内の状態に最適なスピードで空気を抜いているのだ。

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