ビジネス向けのSNS「desknet’s SNS」を導入して2ヵ月以上が経とうとしている。前回のレポートでは、インストールから設定まで、主に導入作業が簡単である点をレポートしたが、今回はSNSでユーザー同士がどのようなコミュニケーションを行なったか? をレポートしたい。
せっかくSNSを導入しても、使われなければ意味がない。SNSは部署を越えて、硬軟取り混ぜたコミュニケーションが容易にできるという優れた特徴を持つが、その一方でスケジューラやメーラのように絶対必要なツールとしては認識されにくい。
では、どうやって使ってもらうか? もちろん、「連絡や企画立案は今後すべてSNS上で行ないますよ」と、業務フローの中にSNSを入れてしまうのが最も効果的ではある。しかし、慣れていない人たちに強制すると、義務感ばかりが増し、せっかく参加メンバーが仲良くなれるSNSのユルい魅力は半減してしまうだろう。もっと、雑談の中から新たな発見などをしたいのである。それがSNSの魅力といえるからだ。そのあたりが、グループウェアとの使い方の違いであろう。
いずれにせよ、SNSの管理者兼運営者として、まずは多少ユルい話題でもいいから、使ってもらうことを第一目標とした。そこで、私はある密命を部下であるT女史に下したのである。
最初のメンバーは顔見知りから
T女史への密命その1(その2もあるのだが後述)は、「社内の友達/顔見知りをSNSへ誘え」である。今回は試験的運用であるため、たとえば全社員に「SNSに入ってくれ」とアナウンスできる状況ではない。それに、義務でなければそうしたアナウンスは効果がない。もちろん、普段業務上つながりのある編集部内の人員、他の編集部員、営業部の面々は強制加入というか、最初からSNSに入ってもらったが、そのほか普段の業務ではほぼやりとりのない人たちに入ってもらってボーダレスなコミュニケーションをしないと、コミュニケーションの幅が広がらない。
メンバーの加入は、前回紹介したとおり招待メールで簡単に行える。このあたりの感覚はコンシューマ向けSNSと同じである。しばらくすると、最初から登録されているメンバー以外、ぱらぱらと5、6人ほどの参加が確認できた。筆者の知っている人もいれば、知らない人もいる。メンバー構成としては、近すぎず遠すぎずでほどよいところであろう。
前回のおさらい――desknet’s SNSを調べるなら
ネオジャパンのdesknet’s SNSサイトでは、「すぐ始められる社内ネットワークシステム」としてdesknet’s SNSの機能を事細かに解説している。導入を検討される向きは、一度アクセスされたい。
密命その2
メンバーが揃ったら、お次はいよいよコミュニケーションである。そして、ここからがおそらく、運営面で難しいところであろうと予想していた。SNSは、面白くなかったらまず書き込みは行われない。面白くするには、扱うネタもさることながら、書き込んだ日記に対してコメントが付いてくれるかどうかが、最重要である。
そこでT女史への密命その2である。「誰かが書き込んだら、絶対にコメントを付けること」。絶対コメントが付く……コレ、重要であり、かつ言われたことをやり続けないと気が済まないマメなT女史が適任なのである。特段興味のない内容の日記にも、コメントを付けてもらわねばなるまい。ウンウンと唸りながらコメントを考えるT女史の事を思うと気の毒だが、もともと彼女にメンバーを集めてもらったのも、“密命その2”への布石である。
T女史というアクティブユーザーを作れば、彼女をハブにしたコミュニケーションが、きっと花咲くことになるであろう。今後想像されるT女史の苦労をよそに、思わずニヤリとしてしまうのである。そしてついに、書き込みが始まった。
ビジネスSNSなのに、食い物ネタから始まった!
「まず使ってほしい」という意図から、最初のコミュニケーションは、私は雑談レベルのユルユルでいいと思っていた。しかし、である。ユルさにも限度というものがあろう。なんと最初に活性化したのは、「お昼ご飯どの店がいい?」という内容のコミュニティ「西新宿昼飯のすすめ」である。あまりにもビジネスに関係ないじゃん! しかもなんと、コミュニティを作成したのはT女史である! なにやってんだT! 方向性が違うぞ!
“ビジネス”SNSの運営者である私にとっては、ここはIT業界的な、ちょっと知的でお洒落で論争もあり……といった場を夢想し、そうしたコミュが立つことを期待したのである。しかしまあ、そのあたりをコントロールしたらみんなが白けてしまうし、私も以前初台で仕事をしていた事もありこの辺のメシ事情には一家言あるので、とりあえず参加してしまった。それに、ユーザーが自主的にコミュニティを立ち上げたという事実は、とりあえず1つハードルをクリアしたと言える状況ではある。
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